Rookie Eyes

レースセンス抜群 輝く卒記チャンプの称号
山本修平(ヤマモト シュウヘイ)   在籍地 東京都 在校2位
【タイム】200m:11秒15 400m:22秒77 1000m:1分07秒60 3000m:3分50秒26
 高校時代から自転車競技をはじめると、日本大学時代には学生選手権の1kmTTを優勝。「コツコツやるのが好き」と努力を積み重ねて力を付けてきた。そして、競輪選手になる夢を実現させるため輪界の門を叩く。学校時代は自身の力を最大限に生かして白星を量産。在校成績も上位に付けた。
 「高校2年生で選手になりたいと思いました。加速力には自信があります。学校時代はまくりと先行を中心にやり、自力を出すことにこだわってきました」
 信念を貫いたことで、レースセンスは更に磨かれた。卒業記念では1走目こそ4着も、2走目から修正し連勝で優出。決勝は準決と同様に2センターから仕掛けて直線を強襲。最後のレースで金メダルを手にした。
 「(第1回、第2回のトーナメントの決勝が共に2着で)同期からはシルバーコレクターと言われていました。(決勝までに)3走して準決で、あのコースが伸びたので。しっかりと、そのルートを辿ってゴールしました。最後に勝負強さを見せられたかなと思います」
 今後も努力を欠かさず、次の目標に向けてまい進。115期の卒記チャンプとして大いに存在をアピールする。
 「今は体作りとか基礎練習をやっています。新人なので先行で活躍したいし、先行力も強化しないと。(目標は)1年目にS級へ特進。そこから、記念競輪とかGレースで活躍できる選手になりたいです」

貫いた己の信念 二刀流で道を突き進む
小原佑太(オバラ ユウタ)   在籍地 青森県 在校7位
【タイム】200m:10秒79 400m:22秒20 1000m:1分07秒01 3000m:3分46秒76
 アマ時代は全日本選手権の1kmTT、国体のスプリントを優勝と溢れる才能を存分に発揮。そのポテンシャルはナショナルチームから加入の誘いを受けるほど。それでも、「大学時代は脚力を磨く時間だと思ってたので過信せず」と目指す競輪選手になるため気を引き締めた。
 在校時代も、その信念は変わらず。先を見据えた積極的な競走で存在感を示し、HPD教場入りも果たした。
 「師匠(佐藤康紀・73期)に学校の成績は気にせず、自分のスタイルを作れるようにと言われていて。どうなりたいか考えながらやっていました」
 集大成となった卒業記念レースの決勝では、同期のライバルを相手に先行で真っ向勝負。結果は3着で優勝を逃したが、ブレずに攻めの走りを貫いた。
 「準決で小さいレースをしてしまったし、自分のスタイルである先行を曲げたくなかった。優勝できる距離から踏み出して、結果が3着。残り100メートルが課題ですね。でも、これからも信念を曲げずにいきます」
 卒業後はナショナルのBチームに加入し、脚力を強化中。今後は多忙を極めるが、競輪と競技の二刀流で頂を目指す。
 「大学の時にナショナルチームに声をかけてもらったんですけど。その時は膝を怪我して離脱してしまいました。今後は小さい大会に出たりして、Aチームに入れるように。競輪はビッグも走りたいので、S級に特進できるよう頑張ります」

在校ナンバーワン 並外れたスピード
坂井洋(サカイ ヨウ)   在籍地 栃木県 在校1位
【タイム】200m:10秒89 400m:22秒45 1000m:1分07秒25 3000m:3分47秒60
 作新学院高校から日本大学、自転車の名門校で磨かれた原石に偽りはなかった。
 「高校の時はタイトルを獲れなくて、大学では絶対に優勝って。それでプロになろうと思ってました」
 大学対抗ではスプリント、チームスプリントでともに優勝。そして競輪学校の第2回記録会では、ゴールデンキャップも獲得した。「充実した1年間でした」と、振り返った競輪学校生活でも、自らを律して、決して妥協することはなかった。
 師匠の星野辰也(95期)も、その類まれな身体能力の高さはもとより、プロ向きの性格に目を細める。
 「なによりも先を見据えた意識の高さ。もっと質の高い練習をしたいっていうところがある。それと最高速が高い。このバンク(宇都宮)で自力で駆けて、70キロまで上げられる選手はいないですから」
 卒業記念の決勝は、接触による車体故障のアクシデントに見舞われ8着。悔しさを滲ませた。
 「高校の大先輩である神山雄一郎さんが目標です。持ち味のスピードを生かした先行で、安心して前を任せてもらえる選手になりたい」
 GIを16V、〝生きる伝説〟として走り続ける神山を遠くに見る坂井。在校ナンバーワンでの卒記チャンプは逃したが、偉大な先輩の背中を追いかけ、スター街道を突き進む。

抜群の身体能力 限りない可能性
佐々木悠葵(ササキ ユウキ)   在籍地 群馬県 在校6位
【タイム】200m:10秒94 400m:22秒41 1000m:1分08秒75 3000m:4分01秒36
 大学4年まで13年間、バスケットボール一筋。競輪学校には、適性で入校した。
 「自転車を本格的に乗り始めたのも、去年の2月からです。自転車経験が浅いけど、技能の人になにかしらで勝ちたいっていうのはありました」
 200、400メートルFDではともに五指に入り、身体的なポテンシャルは同期でトップと言っても過言ではない。
 「大学の時もバスケットの関東一部で、30メートルのタイムが1位だった。学校のワットバイクの数値も、日本記録じゃないかっていう数値が出た」
 バスケットボールで培われた強靭なバネを武器に、適性組トップの在校6位。卒業記念もオール連対の準Vで、技能組の上位陣と互角に渡り合った。
 師匠の矢口啓一郎(86期)も、大いなる素質を肌で感じ、期待を寄せている。
 「乗り方にしてもそうですけど、やっぱりまだまだですよね。基礎ができてないんで、そこを卒業して一からやっていかないと。そうすれば、すぐにS級にいってGIでも戦える。久々に群馬から、いい先行選手が出てくれるんじゃないですか」
 デビューまで師匠と二人三脚で土台作りに励む日々だろう。
 「グランプリに出たい。もっと乗り込めば、それもできるんじゃないかと思ってる」
 まずは師匠と同じS級のステージへ。A級は通過点だ。

卒業クイーンの称号を携え 憧れの競輪選手に
鈴木樹里(スズキ ジュリ)   在籍地 愛知県 在校2位
【タイム】200m:12秒33 400m:25秒05 1000m:1分15秒78 2000m:2分45秒83
 〝競輪選手になりたい〟。その強い思いが、金子貴志、深谷知広らが卒業した名門、桜丘高校へと鈴木を向かわせた。
 「いままではチーム競技のソフトボールをやってたので、個人の競技をやってみたかった。それで競輪選手になりたくて、桜丘に行きました。ただ、(自転車部に入部して)初めのころは全然ダメで、辞めたいって思うこともありました」
 自転車経験のない鈴木にとって、名門校の練習はあまりにもハードだった。それでも持ち前の勝負根性で食らいついた。
 「負けず嫌いなところがあるし、自分で競輪選手になるって決めたからには」
 メキメキと力をつけ、徐々にその素質が開花。全国高校選抜のケイリン種目、インターハイの500メートルTTをともに2位の実績を残した。
 「自分のセールスポイントは瞬発力です。まくりが得意ですけど、先行もまくりも追い込みも。全部できたらいいなって思っています」
 師匠の小林信晴(83期)も「体は小さいけどパワーはありますからね。まだまだ粗削りな感じなんで、もっと強くなる要素がある」と、鈴木の将来性に期待を寄せている。
 愛知県登録としては、初めての卒業クイーンに輝いた。152センチと小柄ながらもピカイチの切れ味で、唯一無二の存在感を放っていく。

先行スタイルで魅せる 適性から鹿児島の星へ
南円佳(ミナミ マドカ)   在籍地 鹿児島県 在校4位
【タイム】200m:12秒24 400m:25秒66 1000m:1分14秒59 2000m:2分40秒06
 小学生からバレーに打ち込み、自転車経験はゼロ。それでも、自身と同じ競技者が活躍しているガールズケイリンを知り、輪界入りを決めた。
 「バレー経験者の小林優香(106期)さんと、児玉碧衣(108期)さんの特集を見て知りました。自転車はママチャリくらいしか乗ったことがなかったです。でも、努力次第で結果を残せるところに魅力を感じました」
 在校時代は、瀧澤教場で基礎を築くと、「一番かっこいい」と話す先行を主戦法にメキメキと上達。バレーで培った強い精神で在校成績を上位に付けた。
 「児玉さんを目標にしているし、私もそういう風になりたいと思ってます。ただ、経験者に比べて整備のやり方とかわからないところもあるし、走行技術もまだまだですね」
 集大成となった卒業記念レースでは、持ち味を発揮して唯一の無傷優出。決勝は優勝こそ逃したが、信念を貫く先行勝負で経験者達と互角に渡り合った。
 「鈴木さんが来て踏み直したけど、合わせられる脚がなかったです。教えていただいた瀧澤校長先生に恩返しをしようと思っていたけど、脚力が伴ってなくて逃げ切れなかった」
 7月からいよいよデビュー戦。尊敬する児玉ら強豪が相手でも、スタイルは崩さない。
 「今後も先行を貫いていきたいです。そして、ケイリンで鹿児島を盛り上げたい」

更なる伸びしろ秘める ポテンシャル抜群の在校1位
山口伊吹(ヤマグチ イブキ)   在籍地 長崎県 在校1位
【タイム】200m:12秒16 400m:25秒59 1000m:1分14秒90 2000m:2分40秒92
 兄・龍也(111期)の影響で自転車競技をはじめると、眠っていた才能が目を覚ます。高校選抜でケイリンを優勝、日本代表として参加したアジア選手権のチームパーシュートで2位。輝かしい成績を引っさげてガールズケイリンの門を叩いた。
 「競技をしていた兄の大会を見に行って。家族が笑顔になってたし、私もやってみたいなと。やってみたら楽しかったですね」
 在学中も第2回記録会でA評価を獲得など高いポテンシャルを発揮。まくりを主体に白星を量産して在校1位に輝くも、本人は冷静に自己ジャッジする。
 「最初は勝ちを意識して自力で走れなくて。卒業間近に自力を出すことを心掛けました。在校成績は1位になってますけど、先行を貫いた人の方が脚力は上がっていると思います」
 卒記は優出するも、結果は準V。絶好の2番手を確保したが、自力経験の差がアダとなった。
 「完璧な位置でした。最後の2コーナーで踏もうと思ったけど1回待ってしまって。その時に鈴木さんに来られてしまいました。いつも気持ちが弱くて、行けるところで行けない」
 卒記クイーンの座は逃したが、この経験が力になることだろう。本当の勝負はこれから。目標の「ガールズGP優勝」に向けてデビュー戦から存在感を示す。
 「相手に合わせてまくりだけにならないように。先行を含めてやっていきたいです」