シューティング・スター・プレス vol.12
ついに素質が開花!「四国は一つ」を自らの脚で証明する!
渡部哲男が松山記念で記念初優勝を飾った。それは本人だけでなく、四国地区にとっても価値ある優勝だった。「ラインのため」そのことだけを考えて走りつづける渡部哲男に四国の未来を担う大きな期待が懸かっている 渡部哲男 愛媛・84期
地元で飾った記念競輪、初優勝!そこにあった一つの「わがまま」

   02年のヤンググランプリを制して、一躍トップスターの仲間入りを果たした渡部哲男。だが高まった周囲の期待に対し、なかなかその答えを出せずにいた。
「そのときは焦ってましたね。ヤンググランプリの初代の荒井(崇博)さんはヤング獲ってから、特別クラス級で頑張っているのに、自分はというと特別で予選落ちしたりとかしてて。他人と比べてはいけないんでしょうけど、つい比べてしまって。『自分はなにやっとんのかな』っていうのはありましたね。このまま自分は記念も獲れずに終わるのかなって」
  今年3月、松山競輪場。新しく生まれ変わった地元バンクでの初めての記念開催で、渡部は「記念初優勝」という最高の形で、再びその光を取り戻した。決勝の並びはなんと佐々木則幸−小倉竜二、渡部−星島太−和田誠吾と四国別線。そこには一つの譲れない「わがまま」があった。

  「前日のコメントで濱口(高彰)さんが四国の分断に来ると言ってたのでね。それでも則さんは連係したいと言ってくれたのは、すごく嬉しかったんです。でも僕も調子よかったですし、力を出し切れずに終わるより、お互い力を出し切った方がいいんじゃないかっていう話をしたんです。だからレース後には、僕のわがままで別線になってしまったんで、そういう形になってしまってすいませんとは言いました。だけど、記念初優勝は嬉しかったですね。地元ファンの声援も大きかったですし。結果的には四国別線という形になってしまいましたけど、ゴールしたら四国ワンツースリーで、僕のラインも4、5着で12345独占というのは良かったですね。あのメンバーで決勝戦まで勝ち上がれたということと、決勝戦で捲って勝ったということは、自分にとってすごい自信になりました」
  優勝後は「レースも落ち着いてできるようになった」という渡部。今年から完全な好調モードだが、そのキッカケは「原点回帰」にあった。
「昨年の12月からフレームとセッティングを戻したんですよ。末の粘りがよくなってきて。いろいろ悩んでセッティングとかいじりすぎてたんです(笑)。ちょっとずつ調整していたら、いつしかそれが全く違う方向にいってたんですよ。これだけ練習していじっても何も変わらないのなら、振り出しにもどろうと。そしたら生き返ってきたんですよね。それに400の新バンクになって練習の幅が増えましたね。バリエーションに富んだ練習が最近は出来てるのもいいですよね」
吉岡さんにはオールスターの決勝の舞台で恩返しがしたい
常に「ラインで上位独占」を第一に考える渡部だが、最近のレースでは変化も見られてきた。3月の高知記念の準決勝では高原仁志(徳島)の番手からの勝負を選択している。
「今まででハコ回ったのは3回目くらいかな。最近の四国地区の流れからいって『四国は一つ』だと思ってるんです。別線になるのが嫌だったんで、僕が競られても、最近先行でも頑張ってる高原君の後ろで頑張ろうと思ってね。四国はなかなか前で頑張る選手がでてこないんですけどね(笑)。頑張ってくれるんなら、前を任せたいとは思いますけどね。でも基本的にはまだまだ先行で頑張りたいんで! とにかく松山のように別線になるのはもう嫌ですからね」

3月の松山記念(GIII)で記念初優勝。その時の表彰式の様子。終始、地元のファンの大歓声に包まれていた。
徹底したライン戦へのこだわりで、四国を引っ張り、連係を強固にしていくのが当面の目標だ。また不動會で世話になっている吉岡稔真への恩返しも今後の目標の一つにあげる。
「吉岡さんには記念を勝って『おめでとう。これでまた一つ上に上がったので、そのプレッシャーに打ち勝つように』と言われました。
ただ今までまだ恩返しができてないんですよね。吉岡さんはオールスターを獲ってないし、それでグランドスラム達成なんですよね。だから、なんとかオールスターの、それも決勝の舞台で恩返ししたいなって思ってるんで。これが僕の身近な夢、希望ですね。これからは成績の波をなくすことが課題の一つでもあるんです。記念なら優出、ビッグなら必ず準優に乗る安定した走りをしたいですね。今は本当にレースをするのが、楽しいんですよ!」

(月刊競輪 2005年5月号)


渡部Photo PROFILE
渡部哲男(わたなべてつお)
昭和54年11月29日生まれ。A型。師匠は三木裕次(愛媛・56期)。競輪学校在校順位は83勝を上げ1位。最近の練習は「午前中乗り込んで、午後モガキ中心。あとはウエイトしてるくらい。ずっとこの練習は変えていないです」
BACK