解説&分析

賞金争いの真っただ中、Vラッシュに期待
浅井康太(三重・90期・SS)
 一戦一戦、これからも大事な戦いが続いていく。浅井康太の8月21日現在の獲得賞金ランキングは第9位。もちろん本人も「グランプリ賞金争い」を強く意識しており、松戸記念のときも「これからは全部優勝していくくらいのつもりで」と意気込んでいた。今年の前半戦は、ビッグレースでの決勝進出もなく低調だったが、中盤戦から一気にペースアップ。5月には宇都宮記念、6月には前橋記念を優勝、7月の寬仁親王牌でも決勝に進出した(8着)。サマーナイトフェスティバルでは2日目に落車をしてしまうが、その不安を一掃するかのように松戸記念では連日、強烈なタテ勝負を見せて、決勝でも8番手から豪快に捲って賞金の上積みを成功させた。これでもまだ新車と馴染んでいない中での結果なのだから恐れ入る。勝率は41.9%、3連対率も70.9%まで上昇してきており、今後はグレードレースが続いていくが、Vラッシュが大いに期待できそうだ。もちろん、ドリームレースからスタートのオールスターは大注目だろう。

※8月22日現在直近4カ月集計データ
勝率 41.9%
連対率 64.5%
3連対率 70.9%
バック本数 3本
平均競走得点 117.46
出走予定
岐阜GIII 8月31日~9月3日
オールスター 9月12日~16日
向日町GIII 9月21日~24日
地元オールスターも攻めの一手
後閑信一(東京・65期・S1)
 地元オールスターを、上昇カーブを描いたまま臨む。近況の後閑は自力自在型にシフトチェンジしており、とにかく前々に攻めるスタイルが定着してきている。もちろん今年43歳を迎える後閑にとって容易ではないことは間違いないが、幾度となく困難を乗り越えてきた男は、計り知れない闘争心と研究心で己の道を歩み続け、さらなる「進化」を果たそうとしている。7月の豊橋記念は準決勝で、川村晃司、神山拓弥、鈴木裕といった自力型を相手に、一歩も引かず最終的に主導権を奪取して押し切ってみせた。「前々の気持ちが良かった。イメージ通りでしたし、体がやっと動いてくれました」と手応えを掴んでいた。また、8月の川崎FIでは、決勝で脇本雄太を追走してゴール前で差し脚を伸ばし今年2度目の優勝と好ムードが続いている。地元・京王閣でのオールスター、その大舞台での後閑の走りから目が離せない。

※8月22日現在直近4カ月集計データ
勝率 21.7%
連対率 34.7%
3連対率 47.8%
バック本数 4本
平均競走得点 108.39
出走予定
岐阜GIII 8月31日~9月3日
オールスター 9月12日~16日
流れ一転、今後は上昇あるのみ
園田匠(福岡・87期・S1)
 近況はグレードにかかわらず、準決勝が壁になっていた。日本競輪選手会理事長杯スタートだった寬仁親王牌は準決勝5着、そこから平塚、高松の両FIでも決勝進出を逃すなど悔しいレースが続いていたが、8月の松戸記念でようやくその流れを払拭できた。準決勝は小埜正義-成田和也の人気ラインが主導権を握る中、果敢に捲りで攻めて3着入線を果たした。意外ではあるが、決勝進出は5月の大垣FI以来3か月ぶり、記念決勝となると昨年12月の伊東記念以来の進出となった。「ずっと調子が良かったから結果を出したかった」と語る園田だが、もちろんこれで流れは好転していきそう。松戸の決勝では浅井康太をマークして2着に入線、優勝できなかったことには「悔しい」とするも、新たに課題も見つけ、さらに地元の競輪祭の権利も獲得とくれば、上昇気流はさらに加速するだろう。持ち味の鋭脚で、再びグレード戦線をにぎわす。

※8月22日現在直近4カ月集計データ
勝率 15.1%
連対率 30.3%
3連対率 54.5%
バック本数 0本
平均競走得点 111.15
出走予定
岐阜GIII 8月31日~9月3日
オールスター 9月12日~16日
地元で2度目のS級優勝、G戦線での活躍も期待
鈴木庸之(新潟・92期・S1)
 常に「一発」の期待が持てる選手のひとりだろう。8月の弥彦FIでは、初日特選9着でスタートも、準決勝は鮮やかに捲って1着突破。迎えた決勝では、渡邉一成に人気が集まる中、三谷竜生が主導権取りで、最終ホームは渡邉が中団、鈴木は8番手になってしまうが、そこから早めのスパートを見せると、小倉竜二の牽制もかいくぐり、最後は追走の矢口啓一郎を振り切るという強い内容で地元Vを果たした。S級優勝は、昨年2月の宇都宮での初優勝以来2度目だった。次のステップとしてはグレードレースでの活躍を望みたいが、近況の記念開催では二次予選での敗退が続いており、一歩一歩前進をしていきたい。まだまだ成績ムラはあるものの、直近4カ月の成績でも3連対率は60%にまで上昇しており車券貢献度も上々だ。1着時の2車単平均配当は1992円だが、今後は上位陣を相手に好配当演出の機会も増えていきそうだ。

※8月22日現在直近4カ月集計データ
勝率 23.3%
連対率 46.6%
3連対率 60.0%
バック本数 17本
平均競走得点 105.10
出走予定
前橋FI 9月9日~11日
小松島FI 9月18日~20日
3連対率は85%にまでアップ中!
才迫開(広島・101期・A2)
 迫力ある自力戦で、一戦ごとに力をつけている印象だ。昨年7月に佐世保でデビューして、今年2月にA級2班に特別昇班。5月の高松で1・2班戦での初優勝を捲りで決めると、6月には小倉ミッドナイトを優勝、さらに7月には地元・広島で無傷の3連勝・完全優勝を成し遂げた。高松での初優勝後は完全に波に乗っており、7場所を走って、向日町の準決勝と富山の決勝の2戦以外はすべて車券に絡む安定感を見せており、成績的にも直近4か月の集計では、勝率69.2%、連対率73.0%、3連対率84.6%と「超」が付くほどのハイアベレージを記録している。1着時の2車単平均も793円と人気集中。現在は2班なので、予選スタートとなっており、初日はほぼ無傷の連勝街道をまっしぐら。まだ21歳の若武者だけに、伸びしろも十分で、現在の勢いからコンスタントに白星を積み重ねていけば特別昇級も狙えそう。今後も要注目だ。

※8月22日現在直近4カ月集計データ
勝率 69.2%
連対率 73.0%
3連対率 84.6%
バック本数 13本
平均競走得点 94.26
出走予定
久留米FII 9月7日~9日
小松島FI 9月18日~20日
武雄FII 9月26日~28日
在校2位の新鋭、特別昇班の可能性も大
長尾拳太(岐阜・103期・A3)
 今年7月にデビューを果たした新鋭だ。デビュー節の地元大垣では、初戦を逃げ切りも、準決勝ではバックを取るものの、九州勢の捲りに捕まり3着で決勝進出を逃した。だが、そこからは一気呵成。2戦目の7月・名古屋では捲りで3連勝して初優勝を達成(決まり手は捲りだが、3日間ともバックを獲得)、続く豊橋も3日間捲りで1着1着2着、さらに8月の富山では予選を逃げ切り、準決勝と決勝は捲りで、2度目の完全優勝を決めて見せた。在校成績は28勝で2位、卒業記念レースでは5着だったが、練習環境抜群の大垣バンクで汗を流し、チャレンジはすぐにでも卒業する可能性は大きい。現在は3連勝中なので、出走予定の9月松阪、一宮は必見のシリーズとなろう。ちなみにここまでの1着時の平均配当は2車単472円、3連単は3974円。7月の名古屋初日以外は、すべて2車単オール一番人気という結果となっている。

※8月22日現在直近4カ月集計データ
勝率 83.3%
連対率 91.6%
3連対率 100%
バック本数 8本
平均競走得点 77.66
出走予定
松阪FII 9月9日~11日
一宮FII 9月25日~27日