解説&分析

グランプリ出場権争い中、賞金上積みなるか
山崎芳仁(福島・88期・SS)
 グランプリ出場権争いが徐々に話題となってくる10月、山崎芳仁もその渦中にいる一人だ。9月26日現在で、獲得賞金ランキングは第11位につけており、最終決戦となる競輪祭に向けても、10月・11月の開催でしっかりと賞金の上積みを図りたいところだ。今年これまでのビッグレースでは、決勝進出は3月の日本選手権のみ(3着)。先日のオールスターでもドリームレースからのスタートだったが二次予選で敗退を喫してしまった。近況は、番手を回るレースも増えてきており、自力&番手の両面での安定感が求められるところだが、岐阜記念では準決勝で先行策を見せ、アクシデントもあったが2着で決勝進出。京都向日町記念でも、準決勝で菅田壱道をマークから直線鋭く伸びて1着に突き抜けている。「自分が思っているよりも車輪が出ている」と答える通り、調子的には問題なし。10月は防府記念と千葉記念に出走予定なので、要注目のシリーズが続いていく。

※9月26日現在直近4カ月集計データ
勝率 23.0%
連対率 30.7%
3連対率 34.6%
バック本数 6本
平均競走得点 111.60
出走予定
防府GIII 10月5日~8日
千葉GIII 10月17日~20日
賞金ランク8位、3年連続GP出場がかかる
長塚智広(茨城・81期・SS)
 賞金ランキング11位の山崎芳仁、9位の浅井康太が追う立場なら、追われる立場なのはランキング8位の長塚智広だろう。今年のグランプリ賞金枠は3枠(GI優勝者が全て異なる場合)で、長塚はまさにそのボーダー上にいる。4月の共同通信社杯を制したものの、今年ここまでGIでの決勝進出は無し。9月のオールスターでも、3日目のシャイニングスター賞を制するものの、準決勝は8着に終わった。だが、近況の動き自体は良好で、8月の富山記念では池田勇人の先行を差し切って優勝、続く小田原記念でも矢口啓一郎の先行を利して記念連続優勝を遂げている。3年連続のグランプリ出場へ、まさにここからが正念場で、10月は熊本記念と一宮記念に出走予定となっている。ちなみに9月26日現在で、通算288勝。300勝達成も間近となっている。

※9月26日現在直近4カ月集計データ
勝率 25.0%
連対率 40.0%
3連対率 50.0%
バック本数 1本
平均競走得点 116.00
出走予定
熊本GIII 10月12日~15日
一宮GIII 10月26日~29日
後半戦に急上昇!勝率も50%オーバー!
石井秀治(千葉・86期・S2)
 後半戦に入り、急上昇しているのが石井秀治だろう。7月の一宮FI決勝は田中孝彦の番手回りで捲りを放ちS級初優勝を達成した。そこから快進撃がスタート。FI戦は優勝こそ逃したものの、福井、小倉、玉野とオール決勝進出。9月の岐阜記念では勝ち上がりこそ二次予選で逸するも、シリーズでは3勝を挙げた。さらに圧巻だったのが、9月の京都向日町記念だろう。一次予選、二次予選は捲りで快勝、準決勝では藤木裕-村上義弘の地元ラインに対して主導権取りに出て、番手奪取した木暮安由も振り切り、そのまま逃げ切った。記念決勝は03年以来2度目だった。逃げて良し、捲って良し、「冷静にレースが出来ている」ことが好循環をもたらしている。決勝は位置へのこだわりを見せて5着に終わるも、直近4カ月の勝率は54.5%にまで上昇しており、どこまで上位戦線に食い込んでいくか非常に楽しみだ。

※9月26日現在直近4カ月集計データ
勝率 54.5%
連対率 63.6%
3連対率 75.7%
バック本数 6本
平均競走得点 109.66
出走予定
松戸FI 10月1日~3日
西武園FI 10月30日~11月1日
好機を逃さずに、FI戦で連続優勝!
渡辺十夢(福井・85期・S1)
 後半戦は寬仁親王牌の一次予選で失格を喫するなどリズムは良くなかったが、ここに来て流れを掴んでいる。8月の広島FIでは決勝こそ6着に敗れるも、予選と準決勝を連勝。続く大宮FIはあと一息だったが、9月の玉野FIでは、決勝で中村一将をマーク。直線に入り石井秀治と磯田旭が詰め寄ってくるが、中村の番手から優勝を決めた。続く富山FIでは決勝で地元の北野武史をマーク。北野が先行する守澤太志の番手を奪取し、天田裕輝の捲りに合わせて出たところにポッカリとコースができると、渡辺はそこを突いて逃げる守澤を捕え連続V。3連単は20万円台の高配当となった。今年これまでの勝ち星が9勝、そのうち4勝が8月の広島以降なのだから好調ぶりがうかがえる。3カ月ぶりのグレードレースとなる一宮記念は、穴党ファンを中心に要注目したい。

※9月26日現在直近4カ月集計データ
勝率 20.6%
連対率 31.0%
3連対率 48.2%
バック本数 0本
平均競走得点 107.92
出走予定
向日町FI 10月2日~4日
一宮GIII 10月26日~29日
今期A級降格も、力の違いを見せつける
松田優一(茨城・90期・A1)
 今期からA級に降級してしまった松田が力の違いを見せている。降級初戦の7月取手では、準決勝で落車棄権し欠場と心配されたが、そこからしっかり立て直すとエンジンはフルスロットル。6月函館から9月いわき平まで6場所を走って、オール決勝は当然のこととして、優勝3回、準優勝2回と圧倒的な数字を残している。9月伊東では中団確保から捲りに出て、合わせて番手から捲り出た及川裕奨を飲み込んで押し切りV。いわき平でも近藤寛央の突っ張りに対して、冷静に対処して、すぐさま巻き返しの捲りを放って優勝。出し惜しみせずにしっかりと仕掛けられており、直前の6月前橋記念でも決勝に進出している通りS級でも十分に通用する脚力があるだけに、この好成績も頷ける。今期は20走して11勝、連対を外したのは落車の取手準決勝と青森決勝のみ。「黙って松田」から狙うのがしばらくは定石となりそうだ。

※9月26日現在直近4カ月集計データ
勝率 41.9%
連対率 74.1%
3連対率 80.6%
バック本数 9本
平均競走得点 102.20
出走予定
大宮FII 10月2日~4日
川崎FII 10月25日~27日
デビュー4場所で2度の完全V、成長に期待
日野博幸(愛媛・103期・A3)
 チャレンジレースから推奨は愛媛の日野博幸だ。在校時は9勝で17位、卒業記念レース決勝6着。今年7月に防府競輪場でデビューを果たし、予選、準決勝を逃げ切りで連勝すると、決勝は決まり手こそ捲りだったが、3日間バックを取るレースで完全優勝を果たした。7月小松島の決勝では、最終ホームから仕掛けるも前団を捕えきれず7着と大敗を喫してしまうが、次の8月熊本決勝では4番手からの捲りで後続を3車身離す圧勝劇で再びの完全優勝を果たした。地元・松山決勝で稲葉一真を捕えきれず準Vと悔しい結果にはなったものの、ここまで4場所12走して1着10回、2着1回とほぼパーフェクトな数字(9月26日現在)。もちろんまだ12走のみなので、今後の走り次第で数字は大きく変動するが、今のところ予選・準決勝ではオール1着を取っており、「鉄板レーサー」と言えるだろう。特別昇班する可能性も十分で、成長度も含めて、注目していきたい選手だ。

※9月26日現在直近4カ月集計データ
勝率 83.3%
連対率 91.6%
3連対率 91.6%
バック本数 9本
平均競走得点 77.5
出走予定
高知FII 10月10日~12日
久留米FII 10月27日~29日