解説&分析

グランプリ覇者が迎える正念場
金子貴志(愛知・75期・SS)
 今年のGIも競輪祭を残すだけとなり、昨年のグランプリ覇者・金子の走りに俄然注目が集まっている。10月13日現在の賞金ランキングは10位につけているので、競輪祭までの記念開催で少しでも上位との差を縮めておきたいところだろうし、何よりも昨年のグランプリで同乗した深谷知広は寬仁親王牌を制して権利をゲット、浅井康太もGI優勝者を除いた賞金順では最上位なので、共に再度グランプリを走るためにも、今がまさに正念場だ。今年ここまでを振り返ると、ビッグ戦線では準決勝で惜敗するシーンが続いており、歯車は噛み合ってこなかった。だが、8月の富山GIIIを浅井康太との連係で制すると、9月のオールスターではさらに上昇。初日のドリームを深谷の番手から1着奪取すると、シャイニングスター賞は深谷の落車というアクシデントもあったが連勝。準決勝では浅井を差し切ってワンツーを決め、ようやく今年のGI決勝進出を決めた。決勝は7着に終わったが、連覇を目指す競輪祭に向けても、これで流れが変わってくるか? GP覇者として求められるものも大きいが、変わらぬストイックな姿勢でグランプリ争いを戦い抜く。

※10月13日現在直近4カ月集計データ
勝率 42.3%
連対率 46.1%
3連対率 61.5%
バック本数 4本
平均競走得点 115.46
出走予定
防府GIII 10月25日~28日
高松GIII 11月13日~16日
小倉競輪祭 11月21日~24日
7度目の決勝進出で初の記念優勝を掴む
石井秀治(千葉・86期・S1)
 これまで幾度となくチャレンジしてきた記念決勝。惜しくも手が届かずに逃してきた石井だったが、10月の大垣GIIIで見事に初優勝を成し遂げた。初日特選こそ5着だったが、二次予選を快勝すると、準決勝では村上義弘の先行を捕えて連勝。決勝では南関勢が5車結束し、先頭の近藤隆司が果敢に攻めて主導権を握った。番手回りの石井がまくりを打って抜け出すと、追走の新田康仁を振り切って優勝ゴールに飛び込んだ。南関の結束と初優勝に、表彰式では感極まるシーンも見られた。昨年から大ブレイクした。今年前期までS級2班だったが、予選から必ず優勝争いに加わってくる姿に「最強の2班」とまで呼ばれた。その快進撃がファンにも認められて、オールスターでは初のドリームレースにも選出された。今後はビッグ戦線でも今まで以上に上位陣を脅かす存在になっていくだろう。それにしても、今年は南関勢が悲願の記念優勝を果たすシーンが目立つ。和歌山の林雄一にはじまり、松坂英司(花月園メモリアル)、桐山敬太郎(小田原)、そして石井が記念を制した。大垣でも5車が決勝に進んだように、着実に地区の力はアップしてきているようだ。

※10月13日現在直近4カ月集計データ
勝率 44.8%
連対率 58.6%
3連対率 72.4%
バック本数 14本
平均競走得点 113.37
出走予定
千葉GIII 10月18日~21日
松山GIII 10月31日~11月3日
小倉競輪祭 11月21日~24日
ビッグで連続決勝進出!高配当も連発!
天田裕輝(群馬・91期・S1)
 絶好調をキープしている。7月に4日開催の前橋FIを完全優勝すると、8月のサマーナイトフェスティバルでは初日予選で池田勇人をマーク。まくってきた根田空史を好牽制し、内をすくってきた中村浩士も凌いで見事に1着、ビッグレース初の決勝進出を果たした。決勝は関東4車の先頭を走るも9着に終わるが、9月・地元前橋で開催されたオールスターでさらにその名を全国区に響き渡らせた。一次予選はまくりで2着、二次予選では平原康多をマークして1着で準決勝に駒を進めた。その準決勝では、新田祐大や村上義弘らS班勢を相手に、混戦を断つまくりで1着突破、初出場のオールスターの舞台でGI初の決勝進出を決めた。上位戦線を連続で経験して自信も深まったか、10月の武雄FIでは今年3度目の優勝を決めた。しかも完全優勝のおまけつきだ。サマーナイトでの予選1着は3連単10万円オーバー、オールスターの準決勝1着も3連単は6万円台と大物食いをしての高配当演出は見逃せないところで、今後も大暴れを大いに予感させる。

※10月13日現在直近4カ月集計データ
勝率 52.0%
連対率 60.0%
3連対率 68.0%
バック本数 9本
平均競走得点 113.36
出走予定
富山FI 10月22日~24日
京王閣FI 11月1日~3日
松山FI 11月10日~12日
小倉競輪祭 11月21日~24日
気持ちの入ったレースでGPを目指す
稲垣裕之(京都・86期・S1)
 7月の地元京都向日町GIIIで自粛欠場から戦列に復帰すると、今まで以上に気持ちのこもったレースで力走を見せている。その向日町GIIIでは決勝で松岡健介の番手からまくりに出て、村上義弘(優勝)とワンツー。サマーナイトフェスティバルは予選8着で勝ち上がりを逸するも、8月の豊橋GIIIでも初日特選から2着1着1着で決勝まで勝ち進んだ(決勝は4着)。9月のオールスターでは準決勝で藤木裕と連係するも4着で決勝進出は叶わなかったが、9月立川、川崎、そして10月青森FIではすべて優勝を果たしている。3連対率は82.6%に達しており、出し惜しみしない前々に攻める稲垣本来の走りが、さらにブラッシュアップされてきている印象だ。現在、賞金ランキングは19位。今年の近畿勢は、村上義弘・博幸兄弟に、稲川翔と3名がGIを制した。年末のグランプリの開催地は岸和田。もちろん、近畿勢全員が目標とするところだ。最後の決戦の地・競輪祭まではFI戦が続くが、今まで通り一戦一戦にすべてを注いでいく。

※10月13日現在直近4カ月集計データ
勝率 60.8%
連対率 73.9%
3連対率 82.6%
バック本数 10本
平均競走得点 115.43
出走予定
函館FI 10月18日~20日
別府FI 11月7日~9日
小倉競輪祭 11月21日~24日
初日と準決勝はここまでオール掲示板
藤井栄二(兵庫・99期・A1)
 先行勝負を貫いて、昨年末にはヤンググランプリに出場を果たした。さらに活躍の場を広げていきたいところだったが、今期から1年ぶりにA級生活となってしまった。もちろんここから再浮上を狙って気合を入れ直していきたいところで、7月の降級からここまで7場所を走ってオール優出と力を見せている。近況も9月の奈良FIIを初日特選、準決勝で先行逃げ切り、決勝は逃げて2着。続く防府でも初日特選、準決勝で逃げ切り、決勝も先行勝負で2着とレースを支配し続けている。7月から21走して3連対率は85.7%に及んでいる。まだ7場所で準優勝が3回と優勝がないのは気になるところではあるが、初日特選、準決勝では車券にすべて貢献しており、内容面での充実度とともに、A級戦線ではますます注目度が上がっていきそうだ。師匠は近畿を代表する自力型の一人である中村一将。再び同じステージに立つためにも、先行で今まで以上にしっかりとした地盤を作ってパワーアップを図っていく。

※10月13日現在直近4カ月集計データ
勝率 47.6%
連対率 71.4%
3連対率 85.7%
バック本数 17本
平均競走得点 97.04
出走予定
岸和田FI 10月22日~24日
福井FII 10月30日~11月1日
広島FII 11月7日~9日
松阪FII 11月25日~27日
地元戦で特別昇班に再度チャレンジ!
堀兼壽(岐阜・105期・A3)
 7月に富山競輪場でデビュー。ここまで21走してバック本数は15本、連対時の決まり手は逃げが79%と積極的なレースで力をつけてきている。もちろんしっかりと結果も残しており、7場所中5度の優勝を経験、着外は2回だけで勝率は90%をオーバーした。惜しかったのは8月の和歌山FIIだ。7月のデビュー戦を完全優勝、次場所の大垣でも連続完全優勝。迎えた特別昇班場所の和歌山でも、予選、準決勝とホームバックをしっかり取る先行で逃げ切り勝ちを決めてリーチをかけた。だが、決勝では打鐘で仕掛けたところを同期の野口正則に突っ張りきられて、外で粘るも力尽き7着大敗。特班を逃す結果となった。それでも気持ちを切り替え、9月の四日市では決勝で石塚輪太郎を破り完全優勝すると、続く豊橋でも勝ち星を3つ並べて、再度特別昇班のチャンスを掴んだ。注目の開催となるのは、10月22日初日の岐阜。7月に20歳になったばかりの新鋭だが、次々と特別昇班を決めている同期に、そして師匠である永井清史に早く追いつくためにも、ここはリベンジを決めたいところ。
(※特別昇班した場合は、以降のあっせんが変更になります。ご注意ください)

※10月13日現在直近4カ月集計データ
勝率 90.4%
連対率 90.4%
3連対率 90.4%
バック本数 15本
平均競走得点 77.71
出走予定
岐阜FII 10月22日~24日
別府FII 10月31日~11月2日
岸和田FII 11月7日~9日
小松島FII 11月17日~19日