解説&分析

輪界屈指のオールラウンダー
平原康多(埼玉・87期・SS)
今年1月からギア倍数が4.00未満に制限されたことで、選手は対応すべく試行錯誤を続けているが、平原は「自分の競走に合っている」と自己分析する。今年初戦となった大宮GIIIでは、勝ち上がり段階は池田勇人や相川永伍といった後輩の番手を回ってオール1着。自力戦となった決勝では、南関勢が強力ラインを形成して主導権を握るも、中団からのパワーまくりで捕え、見事に地元戦で完全優勝を果たした。今年最初のGI・全日本選抜では特選3着、スタールビー賞は武田豊樹マークから2着、準決勝は木暮安由との連係で、木暮が最終バックで落車するアクシデントもあったが1着で突破。決勝こそ武田の前で主導権を取り9着に終わったが、勝ち上がり段階を見ても、オールマイティに攻められるレーススタイルで爆発力と安定感を共存させている。ギアに合わせて肉体改造も続けており、その走りにますます磨きがかかっていく。関東開催となる京王閣ダービーも非常に楽しみだ。

※2月15日現在直近4カ月集計データ
勝率 47.0%
連対率 70.5%
3連対率 82.3%
バック本数 2本
平均競走得点 121.11
出走予定
四日市GIII 2月21日~24日
名古屋GIII 3月7日~10日
日本選手権GI 3月17日~22日
初タイトルに今、最も近い男
稲垣裕之(京都・86期・S1)
 昨年は自粛欠場もあったが復帰してからは今まで以上に気持ちの入ったレースで勝ち星を量産している。11月の競輪祭でも決勝に進出して、最後の最後まで逆転のグランプリ出場を目指したが、6着に終わった。それでも悔しさをバネに、すぐ気持ちを切り替えると、次場所の松戸GIIIでは川村晃司マークから抜け出して08年以来となるGIII優勝を果たした。グランプリ出場は叶わなかったが、同時開催のS級戦・寺内大吉記念杯(FI)では近畿地区の主役の一人として、しっかりと優勝を果たした。今年初戦の和歌山GIIIでは準決勝4着で決勝進出はならなかったがシリーズ3勝を挙げ、2月の奈良GIIIは準決勝で伊藤信と連係して1着突破(決勝は9着)。2月の全日本選抜では初日の特別選抜予選を逃げ切りで1着、準決勝では稲毛健太の先行を利して1着。決勝は中団から仕掛けるも武田豊樹に合わされて5着に終わったが、自転車のセッティングも良くなり好ムードが続く。強力な自力戦に加えて、番手回りのレースも増えてチャンスは倍増。初のGI優勝へ、機は熟している。

※2月15日現在直近4カ月集計データ
勝率 54.5%
連対率 66.6%
3連対率 66.6%
バック本数 12本
平均競走得点 116.15
出走予定
広島FI 3月8日~10日
日本選手権GI 3月17日~22日
先行でビッグレースでも頭角を現す
早坂秀悟(宮城・90期・S1)
 ビッグレースでも、存在感を徐々に増し始めている。2月の奈良GIIIでは初日特選で主導権取りから逃げ粘って2着。番手の佐藤慎太郎が1着で強力なメンバー構成の中、ワンツーを決めた。さらに圧巻だったのが準決勝だろう。後ろ攻めから上昇して先頭に立つと、深谷知広の仕掛けに徹底応戦して突っ張り切る。そして、そのまま逃げ切り勝ちをおさめた。決勝では天田裕輝の大まくりには屈したが、先行して稲垣裕之を不発に終わらせ、自身も4着入線と内容のある一戦だった。その勢いは本物で、全日本選抜でも大いに沸かせた。一次予選は中村一将のまくりには敗れたが2着入線、二次予選は同型がひしめく中でも主導権は譲らずに3着で自身初となるGI準決勝に進出した。準決勝は先行7着で勝ち上がりは逸したが、経験も含めて収穫は大きかったであろう。ギア制限が始まったことも追い風になっているが、組み立て面でも、力任せだけではないクレバーさが出てきており、連係する北のマーク陣の信頼も厚い。台風の目になっていく可能性も大いにあるだろう。

※2月15日現在直近4カ月集計データ
勝率 17.2%
連対率 34.4%
3連対率 37.9%
バック本数 18本
平均競走得点 109.03
出走予定
大垣FI 2月25日~27日
広島FI 3月8日~10日
日本選手権GI 3月17日~22日
成績は高位安定、小倉ではS級初優勝!
佐藤龍二(神奈川・94期・S2)
 昨年末は12月小田原FIが準決勝敗退、続く静岡FIも準決勝敗退で最終日に失格と流れは良くなかったが、今年に入ると成績一変でハイアベレージを刻んでいる。初戦の平塚FIでは予選をまくりで1着、準決勝では小松崎大地の番手に飛びついて奪取すると直線で交わして連勝、決勝はゴール前勝負で敗れたものの僅差の2着。勢いは加速して、いわき平GIIIでも一次予選、二次予選を連勝すると、準決勝では小埜正義の番手を回って3着に入りGIII初の決勝進出を果たした。決勝では南関ラインの先頭で先行勝負に出て9着に終わったが、連日の動きの良さは際立っていた。するとチャンスはすぐ訪れた。2月の小倉FI決勝では、3番手外並走から打鐘で前に踏むと、内を突いた黒川茂高の番手にうまく入り込む。黒川の先行を追って直線で抜け出すと、欲しかったS級初優勝のゴールに飛び込み、正真正銘の「優勝ガッツポーズ」を披露した。自在戦も板についてきており、ギア制限も問題なし。予選はほとんど取りこぼしもないし、今後も要チェックだろう。

※2月15日現在直近4カ月集計データ
勝率 31.0%
連対率 55.1%
3連対率 65.5%
バック本数 3本
平均競走得点 106.92
出走予定
千葉FI 2月25日~27日
名古屋GIII 3月7日~10日
静岡FI 3月27日~29日
直近4カ月の3連対率は90%オーバー
渡邉雄太(静岡・105期・A2)
 昨年7月に函館でデビューすると、いきなりの完全優勝。その後、9月に弥彦で特別昇班を決めて、A級2班に昇格した。徐々にA級1・2班戦のレースにも慣れてくると、決勝の常連にまで成長。特に昨年末からの好成績は特筆すべきものがあり、12月の取手FIこそ1着1着4着に終わるが、静岡FIは連勝で勝ち上がって決勝2着。今年に入ると初戦の千葉FIIは予選・準決勝と逃げで連勝、決勝は千葉勢とは別線となったが、中団からまくりを打つと、一人だけ違う脚勢で2着を6車差離す圧勝で1・2班戦初優勝を遂げた。次の京王閣FIも予選・準決勝と連勝で勝ち上がり、決勝はまくりで準優勝。四日市は欠場となったが、2月の西武園FIIでは逃げ切り3連発で完全優勝を果たした。千葉決勝で見せたような「まくり」も得意だが、地脚強化に伴って、今は先行にこだわりを持っており、連対時の決まり手も逃げが76%、直近4カ月のバック本数は18本をマークしている。驚異的なのは直近4カ月の3連対率で、91.6%まで上昇している。昨年12月に20歳になったばかりのルーキーだけに、今後の成長も楽しみな逸材だ。

※2月15日現在直近4カ月集計データ
勝率 66.6%
連対率 87.5%
3連対率 91.6%
バック本数 18本
平均競走得点 96.16
出走予定
川崎FII 2月27日~3月1日
伊東FII 3月17日~19日
取手FII 3月28日~30日
強力なダッシュで勝ち星量産中!
岡本総(愛知・105期・A3)
 昨年7月に豊橋競輪場でデビューした。高校時代は自転車部に所属しており、その後就職するも、高校の後輩であった深谷知広の活躍を見て一念発起。プロの道に飛び込んだ。在校時は8勝24位に終わったが、昨年9月に富山でチャレンジ初優勝を達成。さらに年末には、12月の久留米で完全優勝、岐阜では決勝で6番手から豪快にまくりを決めて自身3度目の優勝をマークと成績は上昇カーブを描く一方だ。今年に入ってもレースぶりは安定の一途で、初戦の佐世保こそ2着2着4着に終わったが、続く高知が1着1着2着、そして大垣が3連勝、2月の武雄が2着1着1着で2場所連続優勝を決めた。得意のダッシュを武器に前団を一飲みするシーンを連発しており、数字的にも直近4カ月の成績は勝率60.0%、連対率は80.0%にまで及んでいる。ダッシュ強力なので、オーソドックスだが番手が付ききれるかどうかがポイントになろう。同期の多くが特別昇班を決めている現状だけに、岡本も早く追いついていきたいところだ。

※2月15日現在直近4カ月集計データ
勝率 60.0%
連対率 80.0%
3連対率 86.6%
バック本数 16本
平均競走得点 76.93
出走予定
豊橋FII 2月26日~28日
奈良FII 3月5日~7日
防府FII 3月14日~16日
松阪FII 3月26日~28日