解説&分析

川崎でバンクレコードタイ、復活目前!
深谷知広(愛知・96期・SS)
 ついに復活カウントダウンだ。昨年のオールスターで落車負傷して以来、リズムが崩れてしまったが、ようやく歯車が噛み合ってきた。伊豆で短期登録の選手とも汗を流すなど、さまざまな地に出稽古もおこなって、感覚を取り戻した。その兆しがはっきりと見えたのが4月の川崎GIIIだろう。初日特選は郡司浩平の先行を3番手確保からまくると、2着の神山拓弥を5車身引き離す圧勝。2日目優秀では、8番手から2角まくりを放つと、先まくりの平原康多を飲み込んで連勝を決めた。弾きだした上がりタイムは10秒7で、これは川崎のバンクレコードタイだった。準決勝ではダッシュ鋭い早坂秀悟をホームで叩いて先行して、浅井康太とワンツー(深谷が2着)。決勝もゴール前で諸橋愛の強襲にあい2着に終わったが、脇本雄太の先行をまくり切っており、シリーズを通して動きの良さは群を抜いた。もちろん「復活」は、ビッグレースでの活躍もあってこそ。力を出し切る豪快なレースが深谷の一番の持ち味であり、ファンがもっとも望んでいるところ。現在は勝率26%に甘んじているが、これもどんどん上昇していくことだろう。再び表彰台の頂点へ、これからの深谷の走りから目が離せない。

※4月19日現在直近4カ月集計データ
勝率 26.4%
連対率 41.1%
3連対率 55.8%
バック本数 14本
平均競走得点 112.26
出走予定
共同通信社杯 4月26日~29日
松阪GIII 5月8日~11日
全プロ記念競輪 5月16日~17日
武雄GIII 5月30日~6月2日
鋭脚発揮で再びグレードレースを賑わせる
渡邉晴智(静岡・73期・S1)
 ギア規制もさることながら、A級戦線で活躍を続ける渡邉雄太ら弟子たちとのハードトレーニングで成績アップ中だ。マーク選手なので勝ち星だけでは測れない部分もあるが、昨年1年で6勝、勝率14%だったが、今年はすでに6勝、勝率もここまで25%と倍近くになっている。1月の和歌山GIIIでは勝星こそなかったが4着3着3着3着で、伸び脚は際立っていた。また、3月の広島FIではこちらも近況復調している海老根恵太をマークして、差し切り優勝。見事なワンツーを決めた。3月の日本選手権では二次予選で勝ち上がりは失敗するもシリーズ2勝をあげており、渡邉がビッグレースで2勝以上をあげたのは11年のオールスター以来でもある。また次場所の西武園GIIIでもきっちりと決勝に駒を進めた(5着)。「南関はひとつ」を誰よりも意識する渡邉。南関勢のビッグレース制覇は2010年の競輪祭を海老根恵太が制して以来、途絶えてしまっている。活きのいい若手有望株の成長とベテラン勢の頑張りが相乗効果を生み出して、今まで以上にビッグ戦線を賑わせることができるか。

※4月19日現在直近4カ月集計データ
勝率 25.0%
連対率 37.5%
3連対率 54.1%
バック本数 0本
平均競走得点 111.95
出走予定
小田原FI 4月29日~5月1日
岐阜FI 5月18日~20日
向日町FI 5月27日~29日
柔軟なレース運びで今年3度の優勝
稲村成浩(群馬・69期・S1)
 日本選手権をも制した実力者ではあるが、43歳とベテランの領域に入った今でも近況の成績はしっかりとまとまっており、好調ぶりがうかがえる。2月の前橋FIでは古屋琢晶マークで挑んだが、内に包まれる厳しい展開。最終バックで落車アクシデントもあったが、自力に転じてまくりを打つと好スピードで抜け出し優勝。3月の高松FI決勝は同県の矢口啓一郎と連係。打鐘から動いた矢口が前団を捕えきれないと、稲村は内に切り込んで3番手を確保。さらに内をすくって番手を奪取すると直線で抜け出して優勝。さらに4月千葉FI決勝では根田空史-海老根恵太-萩原孝之と南関勢が盤石の布陣で先行態勢を築くが、8番手から鈴木庸之が豪快にまくって南関勢を逆転。マークした稲村がゴール前で鈴木を交わして今年3度目の優勝を完全Vで決めた。「前の選手の頑張りのおかげ」とコメントするが、前橋、高松では厳しい展開を覆す巧さを見せていたし、訪れたチャンスをしっかりとものにするあたりはさすがの一言だ。勢いに乗る実力者に今度も要注目したい。

※4月19日現在直近4カ月集計データ
勝率 26.6%
連対率 50.0%
3連対率 60.0%
バック本数 0本
平均競走得点 110.83
出走予定
和歌山FI 5月13日~15日
武雄GIII 5月30日~6月2日
ハイスピードで上位陣を脅かす存在に
和田真久留(神奈川・99期・S1)
 急上昇中の和田に注目だ。昨年末はインフルエンザなどで一息入ったが、今年からのギア規制も問題なく体調回復とともに、強烈な自力戦を各地で見せている。とくにインパクトが大きかったのは2月の豊橋FI決勝だろう。松岡篤哉が先行して、和田は最終ホーム8番手におかれる。中団から鈴木謙太郎がまくりを放つと、そのさらに外を豪快に和田がまくって捕えてあとは一人旅。2着の鈴木を7車身引き放つ圧勝だった。その後も、2月松戸FI、3月小田原FIでともに決勝3着と優勝争いを繰り広げ、4月の防府FIで今年2度目の優勝を果たした。その決勝でも西村光太が主導権を握り、和田は7番手。まくりを放つと圧倒的なスピードで前団に迫り、西村マークの山口富生の牽制をパスして、一番人気に応えて見せた。勢いは止まらずに、4月の高知GIIIでは準決勝2着で2度目の決勝に進んでいる(7着)。ナショナルチームでの経験も確実にプラスに作用しており、今後ますます上位陣を脅かす存在になりそうだ。

※4月19日現在直近4カ月集計データ
勝率 26.9%
連対率 50.0%
3連対率 61.5%
バック本数 13本
平均競走得点 109.23
出走予定
共同通信社杯 4月26日~29日
いわき平FI 5月4日~6日
全プロ記念競輪 5月16日~17日
武雄GIII 5月30日~6月2日
まくり脚も冴えて、今期すでに6度の優勝!
宮越孝治(富山・82期・A1)
 13年9月に9連勝(3場所連続完全優勝)でS級戦線に復活したものの、今期から再度A級生活に戻ってしまった。それでもA級では実力的にも格上の存在だし、実際に抜群の成績で人気に応え続けている。降格初戦の1月松阪は1着1着3着でスタートすると、ここまで9場所を走って、全てで決勝に進出して6場所で優勝、準Vが1回。直近4カ月の数字を見てみても、勝率66.6%、連対率77.7%、3連対率は85.1%と車券貢献度は極めて高い。久留米の決勝では5番手からまくって優勝を遂げているように、得意のまくりも冴えわたっており、同地区の自力型との連係時は言うに及ばず死角が少ないのも魅力的だ。この信頼度だと富山の準決勝のようにライン決着で3連単690円と低配当になるのは仕方ないが、7月からはS級への昇級が決まっているので、A級での「鉄板選手」として狙えるのもあとわずか。

※4月19日現在直近4カ月集計データ
勝率 66.6%
連対率 77.7%
3連対率 85.1%
バック本数 9本
平均競走得点 97.33
出走予定
小倉FII 5月10日~12日
岐阜FI 5月18日~20日
抜群のスタミナでチャレンジ戦線をリード
中島将尊(群馬・105期・A3)
 在校順位は5勝で18位に留まったが、3000mTTでは常にトップタイムを計時していた。昨年7月に函館競輪場で完全優勝と華々しくデビューを飾ると、続く立川でも3連勝の完全優勝。特別昇班場所となった8月弥彦でも予選、準決勝と連勝してリーチをかけるも、決勝ではあと一歩届かずの2着で大魚を逃した。その後は11月の川崎で優勝があるが、同型との兼ね合いもあり、デビュー当時のような連戦連勝とまではいかなかった。それでも今年に入ると、3月の地元・前橋決勝では師匠である吉松賢二とワンツーを決める優勝。先行力と展開に応じたロングまくりにも磨きがかかり成績は安定してきた。次場所の松山では3連勝の完全優勝、3月の取手では準決勝で失格の被害に遭い6着で決勝進出を逃すもシリーズ2勝、4月松戸は1着1着2着とまとめた。さらに4月の久留米では予選を逃げ切り、準決勝はまくりで後続を8車身離す圧勝、決勝では当場所連勝対決となった同期・岡本総を振り切って完全優勝を果たした。来期はA級2班への昇班は決まっているが、同期の多くは2班に特別昇班しているだけに期待も高まる。

※4月19日現在直近4カ月集計データ
勝率 72.2%
連対率 88.8%
3連対率 88.8%
バック本数 12本
平均競走得点 77.00
出走予定
弥彦FII 4月30日~5月2日
高知FII 5月23日~25日