解説&分析

短期登録で初の100勝達成目前!
シェーン・パーキンス(オーストラリア・S2)
今年も短期登録制度で日本の競輪に参戦して、相変わらずの強さを見せつけている。初戦の岸和田FIは2着1着7着。決勝はボティシャーの前で自力勝負して7着、いきなりの優勝は逃したが、ボティシャーが連係崩れる中でも優勝を遂げた。続くいわき平FIは予選、準決勝と連勝して優出を決めるも、決勝では9番手におかれる厳しいレースとなり5着に敗れた(優勝は坂本貴史)。だが、パーキンスの一番の強みは「対応力」。大ギア全盛の昨年も、9月岸和田、防府を連続完全優勝するなどエンジンがかかってくるともう止まらない。今年1月からギア規制があった日本の競輪にも、一戦ごとに順応。そして5月の京王閣FIでは抜群のスピードまくりで、予選、準決勝を連勝すると、決勝ではドミトリエフの後位を選択。ドミトリエフが最終ホームでカマして主導権を握ると、そのまま余裕を持った追走から直線で抜け出した。今年初優勝は、通算99勝目でもあった。短期登録制度初の100勝は、青森での達成が濃厚だろう。

※5月23日現在直近4カ月集計データ
勝率 66.6%
連対率 77.7%
3連対率 77.7%
バック本数 2本
平均競走得点 109.88
出走予定
青森FI 6月5日~7日
宇都宮FI 6月12日~14日
和歌山FI 6月24日~26日
川崎で10年半ぶりの記念優勝
諸橋愛(新潟・79期・S1)
 絶好調といっていいだろう。4月の川崎GIIIでは準決勝で平原康多と連係。平原のまくりを稲川翔が牽制したときにあいた内を突いて1着、平原が2着となりワンツーが決まった。決勝では金子幸央-平原の3番手回り。最終的に自力に転じた平原を追って最終4コーナーであいたコースを突くと、ゴール前で落車アクシデントもあったが、粘る深谷知広を捕えて優勝を果たした。04年青森以来、実に10年半ぶりの記念優勝だった。続く4月共同通信社杯では一次予選、二次予選と連勝で準決勝に進出した。準決勝は7着で久々のビッグレース優出はならなかったが、連日の動きの良さは特筆すべきものだった。そして前橋FIでは、決勝で金子哲大と連係。ボティシャー-ペルビスの外国勢が人気となったが、ボティシャーの先行で金子が浮いて後退してしまうと、ペルビスの後位にスイッチ。最終バックで一瞬の隙を突いて内からペルビスをすくうと、逃げるボティシャーを捕えて優勝。ガッツポーズも飛び出した。ベテランらしいコース取りに鋭い差し脚、そして競輪への志の高さ。10年高松宮記念杯以来となるビッグ決勝の可能性も今の充実度から楽しみだろう。

※5月23日現在直近4カ月集計データ
勝率 28.0%
連対率 52.0%
3連対率 72.0%
バック本数 0本
平均競走得点 115.40
出走予定
取手GIII 6月6日~9日
高松宮記念杯 6月18日~21日
寬仁親王牌 7月17日~20日
外国勢に善戦、さらにタテ脚強化へ励む
櫻井正孝(宮城・100期・S2)
昨年7月にS級初昇格した100期の新鋭だが、近況は1着ラッシュで勝率も直近4カ月で46%とハイアベレージを残している。4月の岸和田FIでは予選を1着突破して、準決勝ではパーキンスに敗れたものの先行2着に粘って決勝進出。決勝ではパーキンス-ボティシャーと連係した外国勢に対して、最終ホームで追い上げて分断に成功。パーキンスの番手に入るとすぐさま仕掛けて先頭に躍り出た。直線で末を欠いて4着に終わったが見せ場十分のレースだった。5月の京王閣FIでも予選を1着で通過、準決勝では最終ホームからカマすと、成田はブフリを好牽制。櫻井はそのまま成田を振り切って1着、ワンツーを決めた。決勝では先行するドミトリエフ-パーキンスを相手に3番手奪取から仕掛けると、パーキンスは捕えきれなかったが3着に入線した。レースぶりから攻め幅が多彩にうつるが、本人としてはもっとタテ脚を強化したいとのこと。まだS級優勝はないが、それは時間の問題だろう。さらに上のステージを狙うためにも地力を上げていく。

※5月23日現在直近4カ月集計データ
勝率 46.1%
連対率 61.5%
3連対率 65.3%
バック本数 11本
平均競走得点 107.80
出走予定
玉野FI 6月10日~12日
静岡FI 6月27日~29日
ようやく復調気配、予選から要注目!
矢口啓一郎(群馬・86期・S2)
 完全復調も目前だろう。昨年末から低空飛行が続いてしまっていたが、ようやくすべてが噛み合ってきてトンネルの出口が見えてきた印象だ。取り上げたいのは5月の平塚GIIIだ。一次予選では愛敬博之の先行を最終ホーム5番手から仕掛けると前団を一気にまくって1着。二次予選は打鐘から上昇するも、稲毛健太が突っ張り。矢口は咄嗟の判断で3番手に降りて好位置を確保すると、まくりを打って2着。圧巻は準決勝だ。脇本雄太-村上義弘の近畿ラインが人気の中心に推される中、先行した岩本俊介に対して中団を奪取。7番手の脇本が仕掛けてくる前に先まくりを打つと、岩本の番手でレースを進めた桐山敬太郎の仕掛けも突破して1着入線。追走の岡田征陽とワンツーで、記念決勝に駒を進めた(決勝は9着)。次走の小倉FIは準決勝敗退もシリーズ2勝を挙げており、今期は2班に甘んじているが、レース脚は戻りつつあり、それに比例して成績良化中で連対率も55.5%にまで上昇している。今は予選スタートが多いので、調子や格的にも人気に推されるが、しっかりとその人気にも応えてくれるだろう。

※5月23日現在直近4カ月集計データ
勝率 25.9%
連対率 55.5%
3連対率 55.5%
バック本数 9本
平均競走得点 106.14
出走予定
宇都宮FI 6月12日~14日
別府GIII 6月27日~30日
豪快な自力戦は将来性も高い!
坂本周輝(青森・100期・A1)
けれん味ない豪快な自力戦でA級戦線をリードしている。坂本勉(57期・引退)を父に持つだけに、デビュー前から大きな期待をかけられていたが、100期生として11年8月にデビューすると着実にステップアップ。今年の優勝回数は今のところ2回に留まっているが、初日特選は3月川崎以来の6場所中、逃げ切りで5勝を挙げているように、その走りは将来性も高く評価できるし、出し惜しみしない攻めの走りはインパクトも大きい。5月函館FIIでは初日特選で同期の齋藤宗徳らを相手に堂々の逃げ切り勝ち、さらにラインでの上位独占も果たした。準決勝は本哲也の先行をまくりで仕留めて、地元の小原伸哉とワンツー。見事に2車単250円の圧倒的人気に応えた。決勝は飯田憲司の先まくりに屈して準Vに終わったが、近況は凡走も少なく3連単率は80%を超えており、車券貢献度は限りなく高い。7月からは定期昇級により初のS級昇格が決定済み。S級での活躍も大いに期待できるが、まずは残り少ないA級戦線での「鉄板レース」に注目したい。

※5月23日現在直近4カ月集計データ
勝率 51.8%
連対率 66.6%
3連対率 81.4%
バック本数 13本
平均競走得点 96.37
出走予定
川崎FII 6月19日~21日
静岡FI 6月27日~29日
連対率は92.5%とハイアベレージをマーク
西田将士(長崎・105期・A3)
 在校順位は6勝で8位、昨年7月に松山競輪場でデビューした。生みの苦しみか、なかなか初優勝に手が届かない状況が続いていたが、今年3月の福井決勝で3番手確保から前団の主導権争いを冷静に見極めてのまくりで初優勝を決めた。決勝に進むこと14度目にしての念願の初Vだった。その後も決勝での惜敗が続いてしまっているが、注目したいのはその安定したレースぶり。まくりを主武器に、近況3場所も4月和歌山が1着2着2着、5月高松は1着1着2着、続く豊橋は1着1着2着と連対を続けており、直近4カ月の勝率59.2%も十分高いが、連対率は驚異の92.5%にまで達している。ちなみに3連対率も92.5%を示しており、直近4カ月では3着が無いのも興味深いデータだ(着外は2回)。6月末には別府記念の最終日に行われるレインボーカップチャレンジファイナルにも参戦が決まっており、来期は定期昇級によりA級2班に昇格することが決まっているが、特別昇班のラストチャンスを掴めるか。社会人経験もある西田が、歩み始めた競輪人生。多くの同期が特班を決めてA級1・2班戦で奮闘を続けているだけに、西田も追いつけ追い越せだ。

※5月23日現在直近4カ月集計データ
勝率 59.2%
連対率 92.5%
3連対率 92.5%
バック本数 13本
平均競走得点 77.11
出走予定
向日町FII 6月3日~5日
佐世保FII 6月13日~15日
別府レインボーカップ 6月30日