解説&分析

再び訪れる地元地区での大舞台!
村上義弘(京都・73期・SS)
 再び地元地区の大一番が控えている。今年の村上は1月の立川記念優勝から幸先よくスタート。全日本選抜、日本選手権、共同通信社杯とビッグレース3場所では決勝進出は逃しているが、ファンを熱狂させる走りは健在だ。5月の平塚記念決勝では、先行した新田祐大をまくりで猛烈に追い上げる。成田和也のけん制もかいくぐって先頭に立つと、岩津裕介の直線強襲も振り切って優勝ゴール。各選手が持ち味を発揮した壮絶なレースに、ファンの熱い声援が鳴り響いた。5月の宇都宮記念では決勝で松岡健介、稲川翔の3番手を回って4着、近畿の連係にも選手層の厚みが増してくるとともにバリエーションが増えてきており、今後のビッグレースへ繋がっていきそうだ。そして6月には地元・近畿地区の岸和田で高松宮記念杯が行われる。昨年末に初めて岸和田グランプリが開催され、村上は全身全霊をかけて迎えたが結果は3着。近畿の総大将として、再度訪れたGIという大舞台への思いは誰よりも強いはず。競輪が持つ魅力を最大限表現する村上が、どんなドラマを今度はファンに見せてくれるのであろうか。

※6月6日現在直近4カ月集計データ
勝率 26.9%
連対率 42.3%
3連対率 61.5%
バック本数 2本
平均競走得点 116.57
出走予定
高松宮記念杯 6月18日~21日
小松島GIII 7月2日~5日
寬仁親王牌 7月17日~20日
四日市GIII 7月30日~8月2日
ビッグレースでも大きな羽ばたきなるか!?
北津留翼(福岡・90期・S1)
 見せ場十分だったのは6月の宇都宮記念だ。初日特選は中団にうまく入るも仕掛けを逸して9着大敗。だが二次予選では森山智徳の番手を回って、松岡健介のまくりに合わせて抜けだすと直線で迫る村上義弘の追撃も抑えて1勝をもぎとった。これで流れも一変したか、準決勝では7番手から前団のもつれをひとまくりの快勝劇。昨年9月の岐阜以来となる記念決勝に勝ち進んだ。決勝は小林大介が主導権を握る意外な展開となったが、うまく3番手を回って最終バック前から仕掛けて抜けだす。マークの佐藤慎太郎に差されはしたものの、2着入線を果たした。続く6月西武園FIでは725着に終わったが、準決勝、決勝とボティシャーが相手だった。ビッグレースの出場は毎年コンスタントにしているが、決勝進出は地元ファンがニュースター誕生と歓喜した09年の競輪祭(9117着)以来なし。調子の波が読みづらい選手ではあるが、潜在能力は間違いなくトップクラスなので、再びビッグレースを賑わせる存在になってほしいと願うファンは少なくないだろう。能力的に「羽ばたく」時期がすぐ訪れてもおかしくない。

※6月6日現在直近4カ月集計データ
勝率 26.0%
連対率 43.4%
3連対率 43.4%
バック本数 3本
平均競走得点 109.08
出走予定
広島FI 6月13日~15日
別府GIII 6月27日~29日
寬仁親王牌 7月17日~20日
小倉FI 7月27日~29日
松阪で記念初優出、初優勝の快挙
鈴木庸之(新潟・92期・S2)
 今ブレイクしている選手といえば、鈴木の名前が必ずや挙がることだろう。特筆すべきは5月の松阪記念だ。一次予選は逃げ切って関東ラインで上位独占に成功、二次予選は7番手におかれるもまくり追い込んで3着。準決勝は長島大介-池田勇人の後位を固めていき、池田のまくりに続いての2着入線で決勝進出。決勝は池田の前で自力戦を選択。吉本卓仁と松谷秀幸のつばぜりあいを、8番手から一気にまくって初優勝を達成した。記念決勝進初出で初優勝の大仕事をやってのけた鈴木だが「(仕掛けたときに)いけると思った」と振り返る。この飄々とした感じも鈴木の魅力のひとつかもしれない。そしてもうひとつの魅力は「高配当」。この決勝も3連単は19万円台。ちなみに松阪記念の前走・共同通信社杯でも最終日に1着、ビッグレース初勝利だったが配当は3連単12万円台だった。5月の立川FI、6月の西武園FIもしっかりと決勝進出、西武園ではボティシャーには破れたが決勝2着と善戦しており好調はキープしている。松阪記念の優勝で初のGIレース出場も大きく手繰り寄せたが、来期も格付けはS級2班。しばらくは「最強の2班」がキャッチフレーズとなろう。

※6月6日現在直近4カ月集計データ
勝率 37.0%
連対率 51.8%
3連対率 74.0%
バック本数 11本
平均競走得点 107.15
出走予定
静岡FI 6月27日~29日
川崎FI 7月10日~12日
弥彦FI 7月27日~29日
特別昇級クリア!どこまで強くなるか
渡邉雄太(静岡・105期・S2)
 大注目のホープが、期待に違わぬ活躍で早くもS級までステージをあげてきた。昨年7月に函館でデビューした渡邉雄太は、8月千葉から9月弥彦までチャレンジ9連勝、特別昇班でA級2班に上がった。在校時代はダッシュタイプの印象が強かったが、師匠である渡邉晴智との猛練習で総合的な脚力アップに成功し、先行でもしっかりと結果が伴うようになっていく。今年1月の千葉で1・2班戦初優勝を遂げると、快進撃が始まる。実に前期だけで1・2班戦8度の優勝を遂げた。5月立川、前橋、そして6月川崎で3場所連続完全優勝を達成。レインボーカップA級ファイナルにもエントリーされていたが、それを待たずしての105期一番乗りのS級昇格を決めた。だが、S級初戦となった6月の取手記念の一次予選は、主導権を握ることができず巻き返しも不発で7着と勝ち上がりを逸した。S級の厳しさを味わった格好だったが、これがまたカンフル剤になろう。南関を、そして輪界を代表する大型先行となるか。今後もホープの走りから目が離せそうにない。

※6月6日現在直近4カ月集計データ
勝率 86.3%
連対率 86.3%
3連対率 90.9%
バック本数 18本
平均競走得点 96.81
出走予定
大宮FI 6月15日~17日
弥彦FII 7月1日~3日
青森FI 7月13日~15日
大ケガから復帰して、ただいまブレイク中
一戸康宏(埼玉・101期・A2)
 12年7月に小田原競輪場でデビュー。順風満帆にチャレンジで優勝を重ねたが、13年3月に練習中に事故に遭って長期欠場を余儀なくされた。復帰までに1年4ヶ月を要したが、復帰戦となった昨年7月弥彦チャレンジでいきなりの逃げ切り優勝。その後も安定した成績を残して12月の広島で行われたレインボーカップチャレンジファイナル出場の切符を掴んだ。レースでは同県の野中祐志の番手を選択すると、野中の先行を利してまくりで抜け出して昨年8度目となる優勝とともにA級2班への特別昇班を決めた。だが、ここからが本格化のスタートだった。1・2班戦でも変わらずに強気の自力戦で着実に成績をアップしていくと、3月の取手決勝では6番手からまくりを打って、直線では武井大介の猛追を振り切って1・2班戦初優勝。さらに次の武雄でも豪快にまくって連続優勝を果たした。取手から5月立川まで7場所連続で決勝に進んでおり、競走得点もグングン上昇。目標とする初のS級入りも時間の問題だ。2班格につき予選スタートとなるが、予選は3月取手から7連勝中。ここも見逃せない。

※6月6日現在直近4カ月集計データ
勝率 52.3%
連対率 80.9%
3連対率 85.7%
バック本数 10本
平均競走得点 95.14
出走予定
小田原FI 6月22日~24日
函館FII 6月29日~7月1日
宇都宮FI 7月14日~16日
平塚FI 7月30日~8月1日
今期優勝4回、3連対率は90%オーバー
藤原悠斗(岡山・91期・A3)
 実績上位の藤原に注目したい。今期からチャレンジレースへと降格してしまったが、元々はS級にも在籍しており前期もA級1班と格上の存在だ。もちろん成績的にもそれを証明しており、今期は4度の優勝、勝率70.8%、3連対率は91.6%と抜群の車券貢献度で推移している。十八番は好スピードのまくりだが、3月の防府決勝では打鐘から一気に仕掛けて主導権獲り。道中で落車のアクシデントもあったが、そのまま逃げ切って優勝も遂げている。また、6月高松決勝では当時5連勝中だった新鋭・岡本総と対戦。岡本が先行態勢に入ると、内をすくって3番手を確保。すると今度は外から追い上げる形で番手に入ると、逃げる岡本を捕らえて優勝と柔軟な攻めを見せていた。チャレンジでは番手を回る選手が藤原の仕掛けに付ききれるかどうかが一番のポイントになろう。来期もA級3班だが、実力的には9連勝の特別昇班してもおかしくはないので、今後も要注目だ。

※6月6日現在直近4カ月集計データ
勝率 70.8%
連対率 79.1%
3連対率 91.6%
バック本数 5本
平均競走得点 77.41
出走予定
前橋FII 6月19日~21日
高知FII 7月11日~13日
豊橋FII 7月21日~23日