復活を果たしたマーク職人
佐藤慎太郎(福島・78期・S1)
職人が躍動している。5月の宇都宮GIIIでは、2着1着3着で決勝に勝ち上がると、同地区の目標選手がいない状況だったが北津留翼の番手を選択。その北津留が3番手からまくりを打つと、直線で交わして記念優勝を果たした。記念優勝は11年6月の高知以来で、実に3年11カ月ぶりだった。続く6月の高松宮記念杯は予選からのスタート。一次予選は早坂秀悟マークから1着、二次予選は渡邉一成マークで2着、準決勝は新田祐大との連係となったが、その新田が道中で落車(失格)のアクシデント。しかしうまくリカバリーして3着に入り、13年3月以来となるGI決勝の舞台に戻ってきた。さらに決勝では平原康多-武田豊樹の後位を選択して3着に入線とうまく流れを掴んでいる。今年1月からギア規制がはじまって、持ち味である職人気質の動きが復活。多くの若手機動型を擁する北日本地区にあって信頼関係も強く、チャンスがどんどん巡ってきそうな気配だ。宇都宮や高松宮記念杯のように勝利を手繰り寄せる選択も冴えわたっているが、決め脚も確か。賞金ランキングは12位まで上昇してきており、グランプリ争いにも加わっていくか。
※7月12日現在直近4カ月集計データ
勝率 |
35.0% |
連対率 |
50.0% |
3連対率 |
75.0% |
バック本数 |
1本 |
平均競走得点 |
116.05 |
出走予定
寬仁親王牌 |
7月17日~20日 |
四日市GIII |
7月30日~8月2日 |
高松FI |
8月10日~12日 |
サマーナイトF |
8月21日~23日 |
競りも鋭脚もさらに磨きがかかる
磯田旭(栃木・96期・S2)
ヨコの強さとシャープな差し脚を兼備しており、今後はビッグレースでも大暴れしそうな予感が漂う。5月熊本FI決勝では八谷誠賢の実質先行一車となると、番手宣言。八谷が先行態勢に入ると番手を奪取して、直線で抜け出して優勝を決めた。7月の小松島GIIIでも動きが軽快だった。一次予選は同県の後輩・金子幸央をマークして差し切り1着で栃木ワンツー。二次予選は吉澤純平-芦澤大輔の3番手を固めてレースを進めると、ゴール前3番手から伸びて連勝ゴール。準決勝は平原康多-芦澤の3番手を回って2着に入り関東ラインが上位独占で決勝進出を決める。決勝も準決勝と同様の連係になり、平原が苦しい展開を凌いで内から抜け出して優勝すると、磯田は3番手から外を踏んで2着に入線してオール連対でシリーズを終えた。今期からS級2班に降級しただけに、予選スタートなら連軸としての信頼度はますます上がりそうだし、もちろんグレード戦線での「一発」も大いに期待できよう。
※7月12日現在直近4カ月集計データ
勝率 |
21.4% |
連対率 |
32.1% |
3連対率 |
46.4% |
バック本数 |
0本 |
平均競走得点 |
109.75 |
出走予定
取手FI |
7月22日~24日 |
佐世保FI |
8月2日~4日 |
松阪FI |
8月10日~12日 |
サマーナイトF |
8月21日~23日 |
地元FIを縦横無尽の立ち回りで完全V!
松浦悠士(広島・98期・S2)
成績ムラは否めないが、近況は機敏な動きで勝負強さを発揮しており侮れない。5月和歌山FIは初日予選で金子幸央や川口聖二といった機動型に敗れて5着。薄氷を踏むギリギリの勝ち上がりとなったが、準決勝では川口をマークして、松坂洋平のまくりを牽制。直線で差し脚を伸ばして1着突破を果たした。決勝は佐川翔吾をマーク、吉田敏洋が力でまくりきるも、その外を松浦が伸びて逆転優勝。これがS級初優勝となった。また7月の地元・広島FIでも魅せた。予選を1着でクリアすると、準決勝は野原雅也-池田良の3番手を固めて、直線一気伸びを見せて連勝。決勝は後閑信一や石井秀治など上位級が相手だったが、混戦と見るや縦横無尽に前々へ勝負して、抜け出した後閑、室井健一らを鋭い差しで捕らえて地元戦を完全Vと最高の形で締めくくった。広島では準決勝が3連単8万円台、決勝は12万円台という高配当決着だった。穴党は覚えておいて損はない選手であろう。今期も2班だが、この2Vで道は大きく拓けていくだろうし、今後も大物食いが大いに期待できるだけに軽視は禁物だ。
※7月12日現在直近4カ月集計データ
勝率 |
21.4% |
連対率 |
32.1% |
3連対率 |
50.0% |
バック本数 |
0本 |
平均競走得点 |
103.82 |
出走予定
取手FI |
7月22日~24日 |
富山GIII |
8月13日~16日 |
熊本FI |
8月23日~25日 |
京都に移籍して再出発をはかる
山本伸一(京都・101期・S2)
101期の卒業記念レースを制した逸材で、12年7月にデビューして14年1月にはS級入りを果たしたが、半期でA級に降級してしまう。弾ききれない現状が続いていたが、出身地である京都でも練習を重ね、今年3月に京都に移籍すると、歯車が一気に噛み合いだした。フルに力を出し切る競走を今まで以上に積み重ねて、今年前期のA級では2度の優勝。直近4カ月の成績では勝率は48%、3連対率は80%を超えるハイアベレージを残した。確固たるステップアップを経て、今期から再びS級に返り咲き。期待も高まる中でのS級再昇格となったが、その期待に大きく応えている。初戦となった前橋GIIIでは一次予選で堂々の逃げ切りを決めると、二次予選でも主導権を握って先行勝負。池田勇人-矢口啓一郎の関東連係や、大西祐らを相手に逃げ切って連勝した。準決勝では5着に終わったが、連日猛アピールを見せた。けれん味ない自力戦でどこまで上昇していくか楽しみは尽きない。
※7月12日現在直近4カ月集計データ
勝率 |
47.6% |
連対率 |
71.4% |
3連対率 |
80.9% |
バック本数 |
11本 |
平均競走得点 |
96.28 |
出走予定
取手FI |
7月22日~24日 |
松阪FI |
8月10日~12日 |
松戸FI |
8月24日~26日 |
A級降格も初戦は大まくりで優勝
山下一輝(山口・96期・A1)
昨年7月にS級に昇級したが、今期から再度A級生活となった。今年前半のS級戦は大苦戦。予選突破もままならず、準決勝に勝ちあがれたのも1回のみだったが、一般戦を中心に持ち味のスタミナを発揮した自力戦で5勝を挙げていた。今期A級初戦となったのは7月別府だったが、そこではしっかりと主役を演じた。初日特選では打鐘で前を押さえると、そのまま先行態勢に入っていった。番手の土井勲にはゴール前で差し切られたが、2着に粘りこんでライン上位独占。準決勝では利根正明-山崎岳志-澤亀浩司の地元ラインが主導権を握るも、山下は6番手からまくり発進すると外をグングン伸びて直線で九州勢を捕らえて1着ゲット。一番人気に推された決勝は、岡嶋登が先行して山下は8番手におかれてしまうが、最終2コーナー過ぎから踏み込むと、中団からまくる佐藤健太のさらに外を伸びて最終4コーナー過ぎに先頭に立ってそのまま押し切った。A級では格上の存在ではあるが、しっかりと初戦で優勝という「結果」を残した。今回の優勝劇もありA級戦では重い印を背負っていくことになるだろうが、力で圧するレースで再挑戦スタートだ。
※7月12日現在直近4カ月集計データ
勝率 |
22.5% |
連対率 |
25.8% |
3連対率 |
35.4% |
バック本数 |
11本 |
平均競走得点 |
96.00 |
出走予定
富山FII |
7月23日~25日 |
高松FII |
8月17日~19日 |
岸和田FII |
8月28日~30日 |
107期で完全V第一号!特別昇班へ突き進む
吉田拓矢(茨城・107期・A3)
衝撃的なデビュー戦だった。吉田拓矢は7月1日からの弥彦FIIから競輪人生がスタート。初戦のチャレンジ予選では伊藤隼人の先行を5番手から仕掛けると、あとは一人旅。大差をつけての初勝利でデビュー戦を飾った。準決勝では田村英輝の先行に対して、最終2コーナー5番手から一気にまくって4車身つけての連勝。決勝でも菊谷信一の先行を6番手から大まくりで捕らえて2着に5車身差をつけて難なく完全優勝を果たした。デビューの開催が最も早かったこともあり、107期で最初の優勝者となった。父は哲也(51期・引退)という2世レーサーであるが、競輪学校在校時の第一回記録会で男子史上11人目となるゴールデンキャップを獲得して一気に注目を集めた。卒業記念レースを制した新山響平とは良いライバル関係にあり、先行主体の競走を貫いたことで在校順位は21勝の6位止まりだったが、潜在能力の高さは折り紙つき。このままデビュー3場所での9連勝特別昇班の可能性も十分あるだろうし、必ずや今後の競輪界を賑わすひとりに成長していくはずだ。どこまで強くなっていくのか、今から目が離せない。
※7月12日現在直近4カ月集計データ
勝率 |
100.0% |
連対率 |
100.0% |
3連対率 |
100.0% |
バック本数 |
1本 |
平均競走得点 |
79.66 |
出走予定
静岡FII |
7月24日~26日 |
取手FII |
8月9日~11日 |
京王閣FII |
8月30日~9月1日 |
※特別昇班を決めた場合は、あっせんが変更になります。ご注意ください。