解説&分析

これから佳境を迎えるグランプリ出場争い
神山雄一郎(栃木・61期・SS)
今年ここまでは優勝回数1回ながら、その1回が価値ある4月の共同通信社杯。47歳でのビッグレース制覇は最年長記録の更新となった。その後もベテランらしいハンドル捌きで7月寬仁親王牌を優出、武田豊樹をマークして決勝3着。後半戦に入ってから2度の落車があったものの、「レジェンド健在」を強く印象つけるレースを展開し続けている。ドリームレースからのスタートとなるオールスターの結果は現時点では定かではないが、9月13日現在では獲得賞金額で6位につけている。今年のGIタイトルを奪取した選手を除外した賞金順では、浅井康太、平原康多についでの3位となっており、グランプリ出場圏内に入っている。だが逆転可能の差で稲垣裕之(賞金ランキングは7位)、村上義弘(8位)も猛追しており、今年のグランプリ出場争いも白熱していきそうだ。昨年は賞金枠順で5年ぶりにグランプリの舞台に帰ってきた神山ももちろん譲れないところ。関東勢にとっては、ケガで戦列を離れていた平原が青森記念で復帰してきたことは追い風になるし、百戦錬磨の神山が勝負強さを見せ付けるか、その一挙手一投足から目が離せない。

※9月13日現在直近4カ月集計データ
勝率 8.3%
連対率 29.1%
3連対率 33.3%
バック本数 0本
平均競走得点 113.86
出走予定
オールスター 9月19日~23日
千葉GIII 10月17日~20日
地元記念で兄弟子・浅井康太とワンツー
柴崎淳(三重・91期・S1)
近況は戦法の幅も広がってきており、様々な展開に瞬時に対応することで常に上位争いを演じている。直近4カ月の成績を見てもそれは一目瞭然で、3連対率は78.9%にまで上昇。6月高松宮記念杯は5331着、続く7月寛仁親王牌は7322着と両開催とも準決勝進出にはいたらなかったが、シリーズを通して3度確定板に載るなど好調をキープ。そして迎えた8月地元四日市GIIIでは自信みなぎる仕掛けが際立っていた。初日特選で先行2着、優秀は村上義弘の先行を中団から追い込んで1着、準決勝では先行して、兄弟子の浅井康太が1着、柴崎が2着に粘って地元ワンツー。決勝でも上手く立ち回って先行する村上の3番手を奪取すると、まくりを打って再度浅井とのワンツーを決めた(浅井が優勝)。8月の小田原GIIIの準決勝では近藤龍徳の番手回りから1着で決勝に進出すると、決勝では小松崎大地-高橋陽介-林雄一と結束する東のラインに対して、番手狙いの分断策に打って出た。結果はもつれたところを池田勇人にまくられて、7着に終わったが新境地を開くべく懸命なレースを見せた。グレード戦線をもっと賑わす存在へ、柴崎の挑戦が続く。

※9月13日現在直近4カ月集計データ
勝率 21.0%
連対率 57.8%
3連対率 78.9%
バック本数 3本
平均競走得点 114.68
出走予定
オールスター 9月19日~23日
小松島FI 10月10日~12日
豊橋FI 10月21日~23日
青森記念は関東4番手から差し脚一閃!
芦澤大輔(茨城・90期・S1)
6月の地元・取手GIIIは初日特選で落車を喫して欠場、次の高松宮記念杯は一次予選から準決勝まで勝ち上がるものの再度落車の憂き目。だが7月から流れは一転。7月小松島GIIIは準決勝で平原康多の番手から1着に伸び決勝進出(決勝5着)すると、名古屋FIでは新鋭・金子幸央の先行を利して優勝を遂げた。そして8月のサマーナイトフェスティバル(GII)では、初日予選を3着でクリアすると、準決勝では竹内雄作-浅井康太の後ろを選択。これがズバリ決まって3着入線で12年東王座戦以来となる3度目のビッグレース決勝に進んだ。決勝は単騎戦で最後は内を突いて伸びるも3着まで。悔しさをあらわにした。だが、鋭さを増してきた差し脚は青森で炸裂する。9月青森GIIIは準決勝で平原-牛山貴広の3番手を固めたが、最終バックで連係が離れてしまい何とかリカバリーして3着。薄氷を踏む勝ち上がりの反省も踏まえて、決勝は平原を先頭に関東ライン4番手を回るとコースが空いたワンチャンスを逃さずに直線で鋭く伸びて見事に12年5月平塚以来のGIII制覇を成し遂げた。ラインを最優先して、己の仕事に徹する職人肌のレースは自力型の信頼も厚くなる。次はGIのファイナルへ、その技にさらに磨きをかける。

※9月13日現在直近4カ月集計データ
勝率 20.0%
連対率 36.0%
3連対率 60.0%
バック本数 0本
平均競走得点 113.08
出走予定
オールスター 9月19日~23日
向日町GIII 10月1日~4日
弥彦FI 10月21日~23日
シャープな決め脚で今年3度の優勝
和田圭(宮城・92期・S1)
好展開をしっかりとものにする決め脚は信頼度抜群だ。5月大宮FI決勝が鮮烈だった。最終ホーム9番手に置かれてしまったが、追走した郡司浩平のまくりに乗って直線で大外一気に伸びて久々のS級優勝を果たした。7月の函館FI決勝でも切れ味が光った。南関勢が岡村潤-片寄雄己-東龍之介-山田幸司と結束して主導権取り。目標とする永澤剛の仕掛けが片寄、東の牽制で不発になるも、抜け出した片寄をゴール前で捕らえる鋭差しを見せて優勝。さらに続く青森FI決勝では、北日本勢が阿部力也-飯野祐太-和田-伊藤大志-荒澤貴史と5者並び。阿部の番手から飯野がまくりを打って、ゴール前で和田が逆転のV差しを決めて連続優勝。確かな決め脚に流れの良さも手伝って、ついに3連対率は80%を突破した。グレードレースでも8月富山記念で2362着と勝ち上がりは準決勝敗退も3度車券に絡み、続くサマーナイトフェスティバルでも準決勝進出は逃したが、336着と2度確定板に載った。今後は上のステージでも今まで以上の大暴れが期待できそうだ。

※9月13日現在直近4カ月集計データ
勝率 36.3%
連対率 59.0%
3連対率 81.8%
バック本数 0本
平均競走得点 113.00
出走予定
オールスター 9月19日~23日
千葉GIII 10月17日~20日
小倉FI 10月29日~31日
久々のA級戦も実力は一枚上
古屋琢晶(山梨・90期・A1)
今期から久しぶりのA級戦降格となってしまった古屋だが、長らくS級戦で奮闘を続けてきた実力者だけに、格上的存在であることは間違いない。降格初戦となった7月松戸では初日特選をまくり快勝して江連和洋と一番人気に応えるワンツー、準決勝では一転して先行策に出ると須賀和彦には交わされたものの、2着に粘ってワンツー。しかし一番人気に推された決勝は、道中で落車棄権とほろ苦い初戦となってしまった。だが、そこからは気持ちを切り替えて1着量産に入っている。7月静岡は114着、8月宇都宮では豪快なまくり3連発で完全優勝を遂げた。とくに決勝は最終ホーム6番手から仕掛けると、スピードよく一気に前団を捕らえて2着に6車身差の圧勝劇を見せた。その後も8月大宮114着、9月伊東では121着で今期2度目の優勝を果たしており、これでA級戦は15走した時点で10勝、2着2回と抜群の成績をキープしている。もちろんS級復帰は時間の問題だろうし、A級戦では「鉄板レーサー」として追いかけたい。

※9月13日現在直近4カ月集計データ
勝率 45.8%
連対率 62.5%
3連対率 62.5%
バック本数 8本
平均競走得点 99.34
出走予定
函館FII 9月24日~26日
立川FII 10月10日~12日
青森FII 10月21日~23日
特別昇班が続く同期に追いつけ追い越せ
小林史也(和歌山・107期・A3)
在校成績は30位と低かったが、これは「先行」を貫き通した結果。妥協を許さぬトレーニングで知られる和歌山の池田グループで汗を流し、着実に蓄えてきたパワーをデビューから爆発させている。デビュー戦は7月の松阪で、決勝は同期の廣田敦士に主導権を奪われたて5着に終わったが、予選、準決勝とホームバックをしっかりと取って逃げ切り連勝を決めた。初戦の反省も踏まえて次場所の富山では、予選から逃げ切り3連勝。初優勝を完全Vで達成した。そこからは一気に流れに乗る。地元バンク初登場となった8月和歌山は予選こそマークの奥出健士郎に差し切りを許したものの、準決勝、決勝と逃げ切って優勝。嬉しい地元Vを決めた。さらに8月福井、9月大垣でも優勝を果たし、デビュー2場所目から4連続優勝中と強さを見せている。ここまでの5場所15走でバックを取ったレースは13本と徹底先行ぶりもいかんなく発揮、ライン決着が多いのも魅力的だ。すでに同期の中からは吉田拓矢を筆頭として、5名がA級2班に特別昇班を決めている。その背中を一歩ずつ追いかけていく。

※9月13日現在直近4カ月集計データ
勝率 80.0%
連対率 93.3%
3連対率 93.3%
バック本数 13本
平均競走得点 78.86
出走予定
向日町FII 9月24日~26日
四日市FII 10月8日~10日
奈良FII 10月24日~26日