解説&分析

グランプリ出場へ、勝負駆け
村上義弘(京都・73期・SS)
11月15日現在で獲得賞金ランキングは8位につけている村上。今年のGIでは決勝進出を果たしたのが6月高松宮記念杯(4着)のみだったが、1月立川、5月平塚での記念優勝をはじめ各地で好勝負を演じ続けてきた。新田祐大が2つのタイトルを獲っているため、賞金枠は現在のところ4枠。今年のGI優勝者を除いた賞金獲得順では、神山雄一郎、浅井康太、平原康多、稲垣裕之がボーダー内に入っており、村上は5番目。もちろん「優勝」のみを狙って競輪祭に挑むが、確定組や賞金上位選手が競輪祭を優勝した場合でも村上が現状の位置をキープしていれば出場権を獲得することができるので競輪祭は勝負賭けといえよう。近況の村上はオールスター後の向日町GIIIで決勝3着、10月千葉GIIIは初日特選でまさかの落車を喫して欠場を余儀なくされたが、11月の函館GIIIでは初日から3連勝で決勝に進出しており(決勝は7着)、競輪祭までにはさらに調子を上げていきそう。近3年の競輪祭では決勝進出を逃しているが、勝負駆けの今年、その走りは初日からいつも以上の注目を集める。

※11月15日現在直近4カ月集計データ
勝率 30.0%
連対率 50.0%
3連対率 60.0%
バック本数 3本
平均競走得点 116.47
出走予定
小倉競輪祭 11月20日~23日
伊東GIII 12月12日~15日
「優勝」の二文字のみグランプリに繋がる
深谷知広(愛知・96期・SS)
現在、賞金ランキングは18位とグランプリ圏外に置かれており、11年から4年連続で出場してきたグランプリ出場に黄色ランプが灯っている状況だ。昨年の落車の影響が尾を引く形で、なかなか本来のパフォーマンスをフルに発揮できなかったが、ようやくここに来て「完全復調」の兆しが見え始めた。ファン投票1位に推されながら9398着と悔しい結果に終わったオールスターの次戦となった10月千葉GIIIでは1829着で決勝進出、準決勝は先行策で近藤隆司のまくりにタイヤ差敗れたが強靭な粘り腰を披露。そして続く大垣GIIIは初日特選で逃げ切り、準決勝はまくり快勝で決勝に駒を進めると、櫻井正孝の先行に対して3番手を奪取。まくりを打って抜け出すと、平原康多を振り切って優勝。記念優勝は昨年の地元記念以来、実に1年2カ月ぶりの優勝劇で「とにかく嬉しい」と喜びを素直に表現した。国際自転車トラック競技支援競輪でも決勝は9着に敗れたが、初日から先行で121着の勝ち上がりでシリーズをリードした。仕掛けの迷いもなく、動きは軽快。グランプリ出場を決めるには競輪祭を獲るしかないが、上昇気流に乗っている今、表彰台の中央に立ってラストチャンスを射止める。

※11月15日現在直近4カ月集計データ
勝率 26.3%
連対率 36.8%
3連対率 52.6%
バック本数 6本
平均競走得点 112.15
出走予定
小倉競輪祭 11月20日~23日
京王閣GIII 11月28日~12月1日
伊東GIII 12月12日~15日
注目ルーキー、いよいよS級デビュー
鈴木竜士(茨城・107期・S2)
S級でどこまで通用するのか、無限の可能性を秘めたルーキーが待ちに待ったS級戦に挑む。鈴木竜士は107期として、今年7月に静岡競輪場でデビュー。在校時は6勝で在校順位は31位に留まっていたが、積極果敢なレースを貫いた一人だった。デビュー戦の静岡を1着3着1着で優勝を遂げると、8月の京王閣から連勝街道がスタートした。京王閣、西武園、函館と3場所連続、オール逃げ切りでの完全優勝でA級2班に特別昇班に成功。A級1・2班戦でも臆することなく積極性あふれるレースを披露して、まずは10月小田原、続く京王閣をともに完全優勝すると、伊東では連日の包囲網を打ち破って3連勝。8月の京王閣から18連勝でS級2班にスピード出世を果たした。もちろん刺激になったのは、一足早くS級に特別昇級した同県同期の吉田拓矢の存在だ。鈴木のS級初戦(予定)は、11月25日からの取手FI。地元ファンの前でどんなレースを見せるのか、興味は尽きない。21歳で伸びシロも十分。吉田、そして10月に特別昇班した山岸佳太とともに、茨城107期の3名から目が離せない。

※11月15日現在直近4カ月集計データ
(A級時代の成績です)
勝率 91.6%
連対率 100%
3連対率 100%
バック本数 19本
平均競走得点 86.12
出走予定
取手FI 11月25日~27日
伊東GIII 12月12日~15日
いわき平FI 12月19日~21日
10月大宮で1年4カ月ぶりに優勝!
坂本亮馬(福岡・90期・S1)
ここまでスランプが続いていたが、流れ一変となるか。10月豊橋FIは準決勝2着で凌いで決勝に進むと(6着)、次戦の大宮FIでようやく「結果」が伴った。初日特選は最終ホームで一瞬の隙を突いて中村一将の後位に入ると、中村の仕掛けを追走する形から直線鋭く伸びて1着。FI戦の初日特選で1着を取ったのは、実に1年ぶりだった。2日目の準決勝でも巧みなレースを披露。早坂秀悟が主導権を握る中、最終ホームで内から上昇して3番手を奪取すると、直線で前を行く早坂、田中晴基の同期を交わして連勝ゴール。勢いは止まらない。決勝では早坂秀悟-紺野哲也の宮城勢を追走し、早坂の仕掛けに乗って3番手から抜け出しを図る。直線で紺野の牽制もかいくぐり、田中晴基の猛追も振り切って、見事な完全優勝を達成した。優勝は昨年6月の久留米GIII以来だった。残念ながら今年の競輪祭出場は叶わず、来期は08年7月からキープしてきたS級1班(11年はS級S班に在籍)から陥落する。実績から考えても「復活」のフレーズは、まだ先。しかしこの優勝が復活への大きな一歩となることは間違いない。今後も変幻自在のレースでレースを面白くしてくれそうだ。

※11月15日現在直近4カ月集計データ
勝率 20.6%
連対率 37.9%
3連対率 44.8%
バック本数 0本
平均競走得点 108.37
出走予定
松阪FI 12月2日~4日
広島GIII 12月19日~22日
京王閣FI 12月28日~30日
破壊力ある走りを武器に勝率68%!
中田雄喜(福島・97期・A1)
今年1月にS級入りを果たした中田だが、今期からは再度A級戦へ。7月には小田原で通算100勝を達成したが、取りこぼしも散見。しかし近況の充実度は特筆もので、格の違いを存分に見せつけている。8月の立川を2着1着1着、決勝は埼玉勢が自力-自力の並びで主導権を握る中、中団確保から豪快なまくりで優勝を遂げた。そこからは本領発揮のレースが続いて、9月小倉ミッドナイトは1着2着1着でオール連対の連続優勝、10月の青森は相笠翔太の番手からまくりで優勝、10月小田原はスーパールーキー・鈴木竜士の前に惜敗したが、11月松戸はまくり3連発で見事に完全優勝を決めた。7月からここまで4度の優勝をマークしており、破壊力ある先行・まくりを武器にして常に優勝争いを演じている。レインボーファイナルには今回選出されず、来期もA級1班での生活となる。実力的には特別昇級も狙えるスピードも持ち合わせており可能性も十分だが、連対率を見ても直近4カ月で85.7%と驚異的な数字を残しており3連単には欠かせない存在だけに、しばらくは追いかけていきたい。

※11月15日現在直近4カ月集計データ
勝率 57.1%
連対率 85.7%
3連対率 85.7%
バック本数 13本
平均競走得点 97.19
出走予定
高松FI 11月24日~26日
前橋FII 12月7日~9日
名古屋FII 12月28日~30日
3連対率90%越え、特別昇班も十分狙える
廣田敦士(三重・107期・A3)
今年7月にデビューを果たした107期は、すでに9選手がチャレンジレースを卒業。上記した通り、吉田拓矢と鈴木竜士はS級2班へ特別昇級をも決めているなど大活躍している。旋風を巻き起こしている同期に遅れまいと、続いていくのは誰か?今回は廣田敦士をピックアップしたい。在校成績は22勝で8位、7月松阪でのデビュー戦は2着1着3着とややチグハグな結果に終わったが、7月の豊橋で逃げ切り初優勝。その後は9月奈良で初の完全優勝、10月には岐阜で完全優勝、岸和田でも優勝と9連勝とまではいかないものの4度の優勝をマークしている。岸和田の決勝では最終ホームで先行争いを制して先頭に躍り出るも岡田啓渡に叩かれてしまう。しかし再度踏み込むと直線で逆転して優勝。決まり手こそ「差し」が付いてしまったが、持ち味である強地脚がいかんなく発揮した。何より恵まれているのは、その練習環境だ。四日市をホームとし、浅井康太や柴崎俊光・淳、伊藤裕貴らを輩出している北勢クラブに所属している。現状は決勝で惜敗することも少なくないが、経験値が上がれば、自力戦により一層磨きがかかるはず。12月にはレインボーカップも控えており、特別昇班も十分に狙っていけそうだ。(※特別昇班の場合は、以降のあっせんは変更になります、ご注意ください)

※11月15日現在直近4カ月集計データ
勝率 71.4%
連対率 85.7%
3連対率 90.4%
バック本数 15本
平均競走得点 78.42
出走予定
高知FII 11月25日~27日
佐世保RF 12月8日
大垣FII 12月16日~18日
松戸FII 12月25日~27日