解説&分析

輪界の頂点を目指し、さらに道は五輪へと続く
新田祐大(福島・90期・S1)
異次元のスピードで輪界を席巻して、2年ぶり2度目のグランプリ出場を決めた。2月の全日本選抜は準決勝敗退もシリーズ3勝をあげると、翌月の日本選手権で「念願」が叶う。初日特選予選は2着で勝ちあがると、GDR賞では平原康多、武田豊樹の関東ラインを一気のまくりで飲み込み1着。準決勝は内に包まれる苦しい展開も一瞬のチャンスを逃さす抜け出し連勝を決めると、決勝では平原康多、浅井康太と輪史に残るゴール前の大接戦を制してSSカップみのりに続く2回目のGI優勝、シリーズ制では初のタイトルを獲得した。勢いは止まらず、9月のオールスターでは初日のドリームレースこそ8着大敗を喫したものの、二次予選1着で山崎芳仁とワンツーを決めて勝ち進むと、準決勝は2着でクリア。決勝では竹内雄作の主導権取りに対して、うまく3番手を奪取してからまくりを放ち今年2冠目を決めた。競輪祭は1着8着4着8着と噛み合わなかったが、照準を定めているグランプリに向けて、万全の態勢を整えるだろうし、圧巻のスピードで初制覇の可能性も高い。また、今はリオ五輪の出場枠を賭けた大事なシーズンでもある。両輪で大きな花を咲かせるためにも、新田の挑戦は続いていく。

※12月12日現在直近4カ月集計データ
勝率 50.0%
連対率 68.7%
3連対率 68.7%
バック本数 4本
平均競走得点 119.12
出走予定
京王閣GP 12月30日
立川GIII 1月4日~7日
史上2人目となるグランプリ連覇を狙う!
武田豊樹(茨城・88期・SS)
グランプリチャンピオンユニフォームをまとった初のシーズンは、その責務を十二分に全うした。6月の高松宮記念杯では初日の青龍賞を制すると、2日目龍虎賞は2着、準決勝は苦しい展開を凌いで3着で決勝進出。決勝では脇本雄太-稲垣裕之-村上義弘と近畿ラインが主導権を握る中、盟友・平原康多の動きに乗って、抜け出した稲垣を直線で捕らえて優勝を遂げた。さらに11月競輪祭でも平原マークから自身7度目のGI優勝を果たして今年2冠を達成。それだけではない。1月和歌山、2月玉野、4月西武園、10月熊本、11月函館と記念を5度優勝、5月は全プロ記念競輪・スーパープロピストレーサ賞を制しており、年間8度の優勝とシーズンを通して強さを見せ付けた。競輪祭では「(チャンピオンユニフォームの)プレッシャーはあった」と心労を吐露したが、「成長できた一年だったと思う」と語った。グランプリ連覇となれば02年、03年の山田裕仁以来2人目。平原、神山雄一郎と昨年同様に揃った関東最強の3名がどうレースを組み立ててくるか、グランプリの最大の焦点だろう。

※12月12日現在直近4カ月集計データ
勝率 37.5%
連対率 66.6%
3連対率 70.8%
バック本数 4本
平均競走得点 117.52
出走予定
京王閣GP 12月30日
和歌山GIII 1月9日~12日
いわき平GIII 1月23日~26日
15年はビッグレースでも大ブレイク
竹内雄作(岐阜・99期・S1)
飛躍の一年となったが、高みを目指して16年はさらなるブレイクを狙う。15年の竹内は、抜群のスピードを武器に圧勝劇を繰り返してFI戦で4度の優勝。その活躍の場はグレードレースにも及び、記念では6月取手、7月前橋、9月岐阜と決勝に進出(12月12日現在)。そして何といっても大きなインパクトを残したのが、9月の松戸オールスター(GI)だろう。一次予選は先行態勢に入ると番手に桐山敬太郎が入るが、そのまま押し切り勝ち。二次予選も逃げ切ると、準決勝では平原康多、武田豊樹、山崎芳仁らタイトルホルダーを相手に堂々の逃げ切り。初のGI決勝進出は、驚異の逃げ切り3連発で決めた。さらに11月の競輪祭でも1着2着で予選を突破すると、準決勝は浅井康太の前で先行して2着に粘り、ワンツーを決めてGI連続決勝進出を決めた。オールスターは決勝8着、競輪祭は決勝9着と大敗したが、「もっといろいろなことが出来ないといけない」と分析、この大舞台の経験が16年に必ず活きてくるはず。年末の京王閣S級戦(寺内大吉杯)にも出場予定なので、グランプリメンバーに負けない熱い走りに期待。どこまで強くなるか、楽しみでならない。

※12月12日現在直近4カ月集計データ
勝率 68.0%
連対率 76.0%
3連対率 76.0%
バック本数 19本
平均競走得点 116.16
出走予定
広島GIII 12月19日~22日
京王閣FI 12月28日~30日
素質が開花!S級特別昇級を達成!
嶋津拓弥(神奈川・103期・S2)
プレッシャーに打ち勝ち、見事に。ここまでは苦難の道のりが続いていた。103期の在校1位として13年7月に小田原で華々しくデビュー。期待を一心に集めていたが、同年9月の函館FII最終日に落車して鎖骨を骨折といきなり躓いてしまう。それでも弛まぬ努力で復帰すると、昨年7月に伊東で真船拓磨の先行をまくり9連勝達成、チャレンジレースを卒業した。その後も落車で一息入ったりと、紆余曲折ありながらも1・2班戦の争覇級に成長。近況も9月弥彦で1着1着5着、松戸で1着1着2着、10月平塚で1着1着4着と善戦を続けて、ついに機は熟した。11月の高知ミッドナイトは3日間バックを取る積極的なレース運びで3連勝すると、続く前橋は決勝で中団から豪快にまくりを決めて再び3連勝。そして勝負を決する12月大宮FII。初日特選をまくりで圧勝、準決勝は売り出し中の磯島康祐の先行をまくりで仕留めて連勝すると、決勝は先行する橋本智昭中団確保から好スピードのまくりで捕らえて、見事に特別昇級を決めた。初のS級戦、臆することない攻めのレースで上位陣に挑んでいく。

※12月12日現在直近4カ月集計データ
勝率 62.5%
連対率 79.1%
3連対率 83.3%
バック本数 16本
平均競走得点 97.33
出走予定
未定
なるか? 107期3人目の特別昇級へ!
新山響平(青森・107期・A2)
ついに特別昇級にリーチをかけた。大注目の一戦で決めることができるか、注目が集まる。新山は107回生卒業記念レースチャンピオンの肩書きを背負って15年7月に大宮でデビュー。準決勝で惜敗の2着を喫したが、1着2着1着とデビュー節で初優勝を決めた。その後も順調に勝ち星を積み重ねて、8月には9連勝でA級2班に特別昇班。A級1・2班戦でも上位のスピードを披露し、2戦目の松戸では後にS級特別昇級を果たす嶋津拓弥の先行をまくって1・2班戦初優勝を決めると、11月には地元の青森ミッドナイトで3連勝の完全優勝。次戦の取手は1着3着5着に終わったが、11月平塚では逃げ切りで3連勝、そして12月松山も逃げ切りで3連勝と強い内容で2場所連続完全優勝を達成した。ここまでくると話題は一点、12月25日初日の前橋で特別昇級できるかどうかだ。同期のライバル・吉田拓矢、鈴木竜士に続いての107期3人目のS級入りに期待が高まる。

※12月12日現在直近4カ月集計データ
勝率 66.6%
連対率 75.0%
3連対率 87.5%
バック本数 18本
平均競走得点 95.41
出走予定
前橋FI 12月25日~27日
いわき平FI 1月2日~4日
取手FII 1月20日~22日
先行で下地強化、3連対率は90%オーバー
中西大(和歌山・107期・A3)
陸上の投てき競技からの転向で、競輪学校時代は25勝をあげて見事に在校1位の座を獲得した。15年7月に奈良競輪場でデビュー。逃げ切り連勝で迎えた決勝は、平川慎太郎に主導権を奪われるも、粘り腰を発揮して差し返して初優勝を決めた。在校時は、スプリント力をフルに使った得意のまくりや追い込みでの勝ち星が多かったが、デビューからは果敢に攻めるスタイルで下地強化に励んでいる。デビュー戦から優勝は遠ざかったが、10月富山で3日間しっかりとホームバックを取った逃げ切りで完全優勝を決めると、11月向日町で2着1着1着、つづく四日市でも逃げ切り連勝で勝ち上がり、決勝は決まり手こそまくりがついたものの、3日間バックを取って完全優勝で通算4度目の優勝を飾った。勝率は70%超え、連対率は90%を超えており、チャレンジレースでは「鉄板レーサー」のひとりに数えられよう。逸材揃いの107期は、すでに吉田拓矢、鈴木竜士がS級戦線でも活躍している。在校1位のポテンシャルはまだまだこんなものではないはずで、着実に進化を続けて、同期と競輪界にさらなる新風を巻き起こしてほしい。いつ特別昇班してもおかしくない存在だけに、まずはチャレンジレースを早々に卒業といきたい。

※12月12日現在直近4カ月集計データ
勝率 71.4%
連対率 90.4%
3連対率 95.2%
バック本数 15本
平均競走得点 78.23
出走予定
名古屋FII 12月28日~30日
別府FII 1月20日~22日
和歌山FII 1月29日~31日