解説&分析

大宮記念6度目V! 3連対率は驚異の84%
平原康多(埼玉・87期・SS)
究極のオールラウンダーとよばれて久しい平原康多。豪快な自力戦はもちろんのこと、全てをハイレベルでこなして、あらゆる展開に対応するスタイルは、対戦相手に「脅威」を与え続ける。グランプリは6着に終わったが、優勝した村上義弘は勝利選手インタビューで「平原君は今、日本一強い選手だと思いますし」と評していた。今年も1月立川記念から始動した平原は、初日特選から3連勝で決勝に勝ち進んだ。決勝は内コースしかなく、珍しく脚を余して3着に終わり悔しさをあらわにしたが、つづく地元の大宮記念はきっちりと主役を演じきった。初日特選は池田勇人、優秀は長島大介の番手で連勝を決めると、自力戦となった準決勝は中団から捲り一閃で3連勝。決勝は再度、長島大介に前を任せたが、長島が仕掛けきれずに中団内に詰まると、最終的に自力に転じてゴール前で前団を捕らえて完全優勝、大宮記念は6度目の優勝となった。1月23日現在、直近4カ月の3連対率は84%。グレード戦線を戦い抜いて、この数字は驚異的としかいえない。地元・関東地区でおこなわれる全日本選抜競輪(取手)でも、最高のパフォーマンスを期待したい。

※1月23日現在直近4カ月集計データ
勝率 56.0%
連対率 68.0%
3連対率 84.0%
バック本数 5本
平均競走得点 120.56
出走予定
奈良GIII 2月2日~5日
全日本選抜競輪GI 2月16日~19日
ウィナーズカップGII 3月17日~20日
久しぶりに四国地区のタイトルホルダー誕生なるか
原田研太朗(徳島・98期・S1)
今年はいよいよ初タイトル奪取の期待が高まってきた。原田は昨年1月の立川で記念初優勝を達成すると、ビッグレースでの決勝進出はなかったが(一昨年はビッグ決勝に3度進出)、9月富山の共同通信社杯や11月の小倉競輪祭でシリーズ3勝をあげるなどハイレベルの戦いを演じ続けてきた。さらに12月広島で記念を制覇して一年を締めくくると、今年初戦となった1月松山記念では太田竜馬の番手を回って優勝と幸先よいスタートを切っている。「太田君が仕掛けてくれたおかげ」と同県の後輩の頑張りをねぎらうが、準決勝では逃げ切りで四国ワンツーを決めるなど動きは軽快だった。4月静岡の日本選手権では4日目のゴールデンレーサー賞でなみいる強豪を撃破して勝利をあげているように、すでにそのスピードはトップ級。「今年も目標はGI決勝」にとどめているが、06年1月の小倉競輪祭を優勝した小倉竜二以来でていない四国勢のタイトルホルダー誕生も現実味を帯びてきたといっても過言ではないだろう。まずは全日本選抜競輪(取手)に照準を定め、さらに3月はウィナーズカップ(GII・高松)と地元地区のビッグレースが控えている。

※1月23日現在直近4カ月集計データ
勝率 60.0%
連対率 63.3%
3連対率 73.3%
バック本数 13本
平均競走得点 115.20
出走予定
防府FI 1月30日~2月1日
大宮FI 2月7日~9日
全日本選抜競輪GI 2月16日~19日
ウィナーズカップGII 3月17日~20日
意外性レーサーの動向は軽視禁物
北津留翼(福岡・90期・S1)
トリッキーな動きも増えて勝ち星を量産している。まず、周囲の目を驚かせたのは昨年11月防府記念だろう。準決勝では主導権を奪った茨城勢の後位を確保して、番手の武田豊樹が牽制したところを、すかさず内を突いて1着突破。単騎となった決勝では、村上義弘と竹内雄作のまくり合戦を尻目に、最終4コーナーであいた内コースを突くと、押し切りを図る村上を直線で捕えて技ありの優勝を決めた。つづく別府FI決勝では7番手から豪快にまくり追い込んで連続優勝。その勢いは、今年に入ってからも止まらない。1月立川記念決勝は平原康多、新田祐大、稲垣裕之らS班の強力自力選手が揃う「超」豪華メンバーの一戦となり、深谷知広-吉田敏洋の中部ラインが主導権を握る展開となった。中団に位置した北津留は最終3コーナーであいたインコースを突いてスルスル上昇すると最終4コーナーで抜け出し成功。マーク岩津裕介とワンツーを決める優勝となった。もちろんトリッキーだけではなく、1月大宮の被災地支援レース(単発)は500バンクを逃げ切り1着で人気に応えている。強さともろさが同居する北津留ではあるが、今まで以上に意外性あふれるレースでビッグ戦線をも賑わせそうだ。

※1月23日現在直近4カ月集計データ
勝率 41.3%
連対率 51.7%
3連対率 58.6%
バック本数 7本
平均競走得点 110.44
出走予定
岐阜FI 2月9日~11日
全日本選抜競輪GI 2月16日~19日
ウィナーズカップGII 3月17日~20日
復活なったベテランは500勝も目前
志智俊夫(岐阜・70期・S2)
復活を遂げた志智を追いかけたい。昨年2月の全日本選抜競輪は、まったくレースにならずまさかの999着。その後も大不振が続いてしまったが、キャリア24年のベテランは、コツコツと原因究明に着手。徐々に感触をつかみ出すと、昨年11月の豊橋FIで松岡篤哉マークから復活の完全V。さらに12月玉野FIでも、川口聖二の番手から捲りで抜け出して完全Vと息を吹き返した。今年に入っても、キレある走りを随所で発揮。1月立川GIIIは二次予選で敗退するも、1722着と3連対。つづく大宮GIIIでは一次予選で目標の松山桂輔との連係が崩れる中、自力に転じて捲りを打つと後続を4車身離す圧勝。二次予選は山本伸一マークから抜け出して連勝すると、準決勝では稲垣裕之の3番手回りで最終バック9番手になるも大外伸びて3着に入り、連日見せ場十分の走りで決勝進出を決めた(決勝は8着)。競走得点もあがって配当的妙味はなくなってきたが、昨年6月高松宮記念杯以来となるビッグレース・ウィナーズカップ(3月)への出場も決まった。1月23日現在で490勝、通算500勝の大記録達成への期待も高まっている。

※1月23日現在直近4カ月集計データ
勝率 34.3%
連対率 43.7%
3連対率 50.0%
バック本数 0本
平均競走得点 104.18
出走予定
伊東FI 1月31日~2月2日
四日市GIII 2月25日~28日
ウィナーズカップGII 3月17日~20日
特別昇級は逃すも、見せた大器の片りん!
大石崇晴(京都・109期・A2)
ついに大器が開花するか。競輪学校入学時から、プロ野球で4度の盗塁王に輝き、元オリックスの監督でもある大石大二郎氏の次男ということで注目を集め続けてきたが、「競輪選手」としての道を、力を蓄えながら着実に歩んでいる。デビューは昨年7月和歌山で、ケガの影響もあったか616着とほろ苦い初戦だった。それでも10月岐阜で初優勝を3連勝で決めると、そこからが圧巻だった。11月富山でも完全優勝、11月京王閣では3日間豪快に捲りを繰り出して3場所連続完全優勝を達成、A級2班に特別昇班を決めた。さらに勢いは加速する。昇班初戦の12月奈良で3連勝、いきなり1・2班戦初優勝すると、つづく高松でも捲り3連発で完全優勝を達成した。S級入りの勝負がかかった1月向日町は、予選、準決勝を連勝して特昇にリーチをかけるも、決勝で元砂勇雪の捲りに屈して3着。連勝はストップして一気のS級入りは叶わなかったが、「力不足」と再びの巻き返しを誓う。得意はダッシュで、さらに地脚も強化されていけば、ますます楽しみな存在になろう。競輪人生はまだまだ始まったばかりだ。

※1月23日現在直近4カ月集計データ
勝率 90.0%
連対率 90.0%
3連対率 95.0%
バック本数 14本
平均競走得点 87.42
出走予定
松阪FII 2月2日~4日
奈良FII 2月24日~26日
先行力に磨きをかけて、巻き返しスタート
末木浩二(山梨・109期・A3)
太田竜馬や竹内翼がすでに特別昇級でS級入り、特別昇班した15名(1月23日現在)もA級1・2班戦のV戦線をにぎわせている109期。今はまだチャレンジでの戦いが続いているが、末木浩二の巻き返しも時間の問題だろう。学生時代(日本大学)は、インカレトラック(全日本大学対抗選手権自転車競技大会)で1kmタイムトライアル、チームスプリント、ケイリンのトラック短距離3種目を3年連続で制しており、まさに鳴り物入りでの競輪界入りだった。潜在能力はかなり高いものがあるが、期待されたデビュー戦・7月千葉は273着と未勝利、準決勝敗退に終わる厳しい結果となってしまった。初優勝を決めたのは12月前橋で、同期・田頭寛之を叩いて主導権を奪い返すと、これまた同期・林大悟のまくりを凌いで押し切った。予選は連勝して決勝進出するも、決勝では末を欠いてあと一歩の状況がしばしばだったが、今年初戦の1月大垣決勝では打鐘から仕掛けて、そのまま逃げ切り2度目の優勝を3連勝の完全Vで達成した。これから本領発揮といきたいし、あっさり特別昇班を決めても何ら不思議は無い。

※1月23日現在直近4カ月集計データ
勝率 66.6%
連対率 75.0%
3連対率 83.3%
バック本数 20本
平均競走得点 77.25
出走予定
平塚FII 1月31日~2月2日
武雄FII 2月16日~18日
静岡FII 2月24日~26日