解説&分析

月刊競輪(休刊)で人気を博した内林久徳氏の「車券投票の極意」が「レース予想の極意」として月刊競輪WEBで復活します!
第1回目となる今回は第29回共同通信社杯(GII)の記事をお届けします。
タイトルホルダーの内林久徳氏が、共同通信社杯開催中、レース展開をどのように予想し、推理していたかを明かします。
レース展開を予想する上での参考にどうぞ!!
 共同通信社杯は2日目までの勝ち上がり戦が自動番組である。
 その事はレースに与える影響は多大であるし、車券戦術も普段とは少し違う推理も必要になる。今回はどんな形で表面化するかが楽しみな開催だった。
 今開催の第29回共同通信社杯は福井で久々に行われるGIIだったが、地元のエース市田佳寿浩が欠場。その結果、脇本雄太ただ一人に地元の期待が集まった。地元地区であるプレッシャーをはねのけ昨年の雪辱と圧巻の先行が出来るか、期待に胸も膨らんだ。
 またこの大会は若手の登竜門と言われるGIIでもある。若手選手の誰が名乗りを上げ、その脇本に挑戦状を叩きつけるかも楽しみの一つであった。
福井バンク
福井バンク
舞台となる福井バンクは非常に軽く全国でも指折りの走りやすいバンクだ。それが起因で更に若手の積極的なレースが予測もされた。
 まず自動番組では同地区同士でも割り切って走った選手と、気にしながら走った選手とで明暗を分けた。
 また、ルールの変化とそれに伴う大ギヤ化で点数の序列で並びが決まる傾向にある昨今ではあるが、自動番組ゆえにラインが長くなった時や、目標がいない番組での走りで、各選手の考え方やポテンシャルが浮き彫りとなった。その意味では今後の車券戦術の重要なヒントを得た。勿論、しっかりと勝負をした選手に結果が付いてきた。

脇本雄太選手
脇本雄太選手
 そして地元の脇本。昨年は他の先行選手を寄せつけない走りでファンを沸かせたが、今年は昨年のような輝きがない。昨年をステップと考えるなら、今年は重要な一年になるはずだ。ナショナルチーム入りを決断した脇本にとっては今後、競技に合わせたセッティングやスケジュール等が課題となるだろう。

原田研太朗選手
原田研太朗選手
 若手の注目選手に原田研太朗がいた。初日は自動番組で単騎になり、持ち味が発揮されないと思ったが捲って快勝した。そしてラインの出来た2次予選での先行に期待が集まったが村上義弘に叩かれ見せ場無く終わった。油断があったのかも知れないが現状の村上に叩かれるのは若手の先行選手としては非常に残念な結果だった。

竹内雄作選手
竹内雄作選手
 そして竹内雄作である。こちらは早めにトップスピードにのせ周囲を驚かせるケレンミのない先行であった。準決勝は深谷知広と同乗しライン形勢し、深谷の前で積極的に先行したが決勝進出には至らなかった。それでも存分にアピールした。アピール度においては両者明暗を分けた形となったと思う。

 そして迎えた決勝戦。自分の展開予想は以下のこのようになった。

決勝戦展開予想

 細切戦の競りもあるレースになった。メンバー的には深谷のスピードが活きる構成。一番先行意欲が高い飯野が単騎になり誰が先行するか。
 ラインの長い村上は2次予選ではホーム先行をしたが、決勝では地元地区で勝ちを意識してのレース。ただ行くタイミングがきたら結果より内容重視になる。そのタイミングは遅い。そして深谷。今年に入りGIで連続2着。後方からの捲りである。ここでは番手が三宅達也になったが、先行で戦うか。遅めの仕掛けでも十分出切れる感がある。先行が深谷ならその3番手に村上が収まる。グランプリの様に仕掛ける事もあるか。深谷が遅めの先行で掛かりが良ければそれは不可能か。それでも行くのが村上なら神山雄一郎も出番がある。勿論これは村上が合わされた時に限りである。神山拓也がしっかり中団をキープした時もそうだが。そして村上が先行した時は深谷が内に詰まらない限り、どこにいても捲りきる。後は飯野の一発に注意したい。
決勝番組
1番 村上義弘 京都
2番 深谷知広 愛知
3番 長塚智広 茨城
4番 三宅達也 岡山
5番 神山拓弥 栃木
6番 安東宏高 大分
7番 岡田征陽 東京
8番 飯野祐太 福島
9番 神山雄一郎 栃木

車券推理
②-④-①⑨③
②=①-④⑨③
②=⑨-④①③
⑧=⑨-⑦④③
⑧-①②③④⑨-①②③④⑨

レース回顧

スタートは深谷がとり、枠なりに中団に村上が収まり、神山ライン。そして単騎の飯野となった。この時点で村上がインを切らない限り、村上の先行と感じた。神山から動き中団取りとも思えたが、偉大な先輩をつれ先行を選択した。そして村上はその神山を叩いた。さすが村上と言うべき走りだった。この時点で完全に深谷の展開かと。そしてその深谷が捲りに行った。しかし村上ラインの後ろが空いていた事もあり一旦その位置で休んだ。それと同時にペースが落ちた。これは村上がタレたのではなく、長塚が車間を空けた事によるものだ。その事で深谷の勢いは完全に消えた。後は2センター以降の踏み直し合いとも言うべきレースとなり余裕のあった番手長塚が抜け出し優勝。長塚は競りもあったが、競り自体は安東の技術不足と長塚の脚力勝ちであった。結果的にはあまりロスせず番手を取った形である。
決勝最終バック
決勝最終バック
決勝ゴール
決勝ゴール

推理結果

今回は高配当が多く荒れた感のあったシリーズであった。車券推理は長塚からは狙わずであったため、かすりもしなかったが納得である。レーススタイルにはそれぞれ好き嫌いがある。その事が車券の購入に影響するのはファンの方にも多いだろう。展開を純粋にみれば長塚と深谷の両立はあるが、それを出来なかった事に敗因はある。しかし、そうなるのを納得で狙った車券である。だから納得している。

今シリーズは自動番組で選手の本質が見られた部分も多かった。今後の車券戦術にプラスとなったと理解し終えることにした。