今年で3年目となる弥彦での寬仁親王牌。
昨年は近畿勢が別れて叩き合いのなか、冷静に先手を取った京都ラインの4番手から追い込んだ佐藤友和が優勝したが、今年はどんな展開が、そしてどんなシリーズになるのか。
そして弥彦バンクの長い直線は誰に味方するのかである。
まずは親王牌の特徴を見ていこう。
親王牌の特徴でもある選考基準は全プロでの成績による所が大きい。
その事で初日のシード選手にもその競技での成績上位者が名前を連ねる。
故に級班別入れ替えの期の変わり目でもありS級初出走が特選シードからのスタートになる選手もいる。
この事は選手にとってプラスに働くこともあるかもしれないが、余りにも大きな飛び級とも言えるグレードからのレースになり浮いた存在にも窺えるだろう。
その意味合いもあり、そして長い直線の弥彦バンクも手伝い、大きな配当がよく出るのがこの弥彦での親王牌の特徴とも言える。
また、これは飛び級した選手の考え方だが、過去のその様なスタートを切った選手に大成した者は少ない。その事を考えると競輪での成績を上げていない選手には出場権のみ与えるのでよいのではないかと思う。
それなりの成績を残している選手にはシードをこれまで通り与える。
選手にとっては一歩一歩ステップを踏んで行き、そのレースの意味を分かる様になってからで充分で、それが選手のためだと思う。
上記した事も含め、高配当の要因は大ギヤ化に伴い地区ライン重視の並びが増え、戦法に関わらず点数順に並ぶ傾向のなかでのレースだ。そこに競技で選考された選手が入って来ることで、ライン違いの決着が多いのが高配当につながっているとも感じる。
では、準決勝から親王牌を振り返ってみよう。
準決勝は番組的に深谷知広と浅井康太が勝ち上がった。しかし飛ぶ鳥を落とす勢いの新田祐大が藤木裕と当たり準決勝で両者共敗退した。
これは地元地区の武田豊樹の調子が悪いだけに、少し有利な番組を組んだしわ寄せとも感じた。
その武田は細切れラインの注文通り3番手を確保し決勝に勝ち上がるとも思えたが、バックから捲りを打った。この3番手は浅井の後ろであったにも関わらずである。武田ラインは3車のお膳立てまであった。この事が早めの仕掛けをしなくてはいけないという武田の責任感を引き出した結果だろう。勝ち上がれはしなかったが、さすが武田とも言うべき内容だった。今後の巻き返しに期待したい。
準決勝10Rゴール
準決勝11Rゴール
準決勝12Rゴール
準決勝12R最終ホーム
そして迎えた決勝戦。自分の展開予想は以下のようになった。
超細切れ戦の決勝戦となった。
そして番手戦もあり単騎の選手にとって位置取りは運の要素も強く、展開任せになる。
本格先行選手は川村晃司と深谷の二人。
川村には成田和也がつける。そして深谷の番手は深谷の師匠でもある金子貴志であるが、そこに飯嶋則之が競る。タイプ的にマーク選手は成田と飯嶋だけである。その事を考えるとその両者での競りが川村の後ろでもありそうだったが、飯嶋が深谷を選択した。師匠でもあるが、やはり金子は先行選手である。飯嶋にとっては番手を奪い易いとも言える。メンバー的にどちらが先行でも仕掛けが遅くなりタイミングが勝負を分ける。川村が先行なら成田。深谷が先行なら逃切りもある。そして浅井の捲り追込み。後は調子の良い井上昌己が好位のハマった時の追い込みか。この事は少し岡田征陽にも当てはまる。
1番 |
深谷 知広 |
愛知 |
2番 |
川村 晃司 |
京都 |
3番 |
岡田 征陽 |
東京 |
4番 |
金子 貴志 |
愛知 |
5番 |
成田 和也 |
福島 |
6番 |
木暮 安由 |
群馬 |
7番 |
浅井 康太 |
三重 |
8番 |
井上 昌己 |
長崎 |
9番 |
飯嶋 則之 |
栃木 |
⑤-②-⑦①⑧③ |
⑤-⑦①⑧③-② |
⑦-⑤-②①⑧③ |
①=⑦-⑨⑤⑧③ |
①⑤⑦BOX |
推理結果
金子が優勝したが、飯嶋との競りの事もあり狙い目から外した。それが全てである。
優勝した金子はタイトルに最も近づいたのは2005年の地元名古屋でのオールスターだと思う。そこから少しずつ遠ざかり、タイトルを諦めかけた時期もあったと感じる。
そして深谷が出て来た。
その事は金子に非常に大きかったと思う。
それはGIの決勝で同乗するとかではなく、精神的に刺激が入りもう一度とタイトルと言う気持ちが出てきただろう。
そして今回の深谷との決勝での同乗は結果として最高の形になった。
決勝でも苦しみながらの優勝。
物凄く価値のある優勝となった。
深谷にとっても今年のGI決勝は2着3回だが一番価値のあるものであった。その深谷もグランプリは賞金での当確である。
再び年末に二人の走りに期待したい。