解説&分析

京王閣でのオールスター競輪開催。
京王閣にとっては長い歴史のなかでGI初開催となった。ここ数年GPの開催があるため初開催とは感じないファンの人達も多いと思う。
この京王閣バンクは直線が立川ほどではないが少し長い。
この事がレースにどのように影響するかが今回の車券推理には非常に重要になってくる。
オールスター競輪はファン投票でシードが決まるが、今年も第一位は村上義弘。
確かに村上を超える成績を残す選手や、スピードを誇る選手はいる。
しかし村上はファンの人達が共感できるものを多く持っているからこその第一位の選出だったと感じる。このオールスターには3つの称号がある。まずは村上が獲得したファン投票第一位。そしてその投票9位までのドリームレースでの1着「ドリーム男」。そしてタイトルである優勝である。
ドリームレースを制したのは深谷知広の先行の番手から直線抜け出した浅井康太である。
そして優勝は後閑信一となった。
ドリームレースゴール
ドリームレースゴール
ドリームレースを勝った浅井康太
ドリームレースを勝った浅井康太

現役を退いた私は皆さんご存知の様に競輪評論家として解説をする立場である。車券も勿論買える立場で当然買う。その車券推理の話がここではメインだが少し後にする。
余談だが競輪祭ではレース実況者はファン投票で決まっている。この事をオールスター競輪でも実現して欲しい。勿論、解説者、MCやインタビュアーも、ファン投票である。出演者には当該競輪場の意向やその場に携わる人もいるが、GIでありしかもオールスター競輪と言うGIタイトル戦である。ファンに選出されれば、それが評価でもあり楽しいのでは。そして選手、解説者含めて全てがオールスターのオールスター競輪を見てみたい気がする。
話がそれたが、ここからは本題の車券推理。先ほども少し触れたが初日ドリームを制したのは浅井。2日目オリオン賞を制したのは新田祐大であった。この新田の勝ちっぷりは展開にも恵まれたがドリーム選手をも威圧するぐらいの内容だった。しかしシャイニングスター賞と準決勝では中途半端なレースをしてしまった。
決勝へは勝ち上がったものの、あれほどのスピードを保持しながら他を圧倒できなかった。オリオン賞の後の勝ち上がりの2走で先行して結果を残せば一気に制圧できたはずである。決勝を迎えるにあたってこの事は非常に重要で、決勝のレースを優位に進められるからである。勿論、当人の心の余裕もできる。しかし、それが決勝にどう影響するか。そしてこの事により横一線となった決勝戦である。
オリオン賞レースゴール
オリオン賞レースゴール
オリオン賞を勝った新田祐大
オリオン賞を勝った新田祐大
シャイニングスター賞を勝った長塚智広
シャイニングスター賞を勝った長塚智広
そして迎えた決勝戦。自分の展開予想は以下のようになった。

決勝戦展開予想

藤木と村上は普段から師弟の様な関係であるが、GIの決勝で同乗するのは初めてである。ゆえに藤木は先行一本の考えであると思う。それに対抗するのは吉田のかまし。吉田の番手は金子であるが、今節1、2を争う出来である。GI連覇もある。中団は後閑がキープ。最後は必ず見せ場をつくるはず。そして新田である。結果的にレースは勝ち上がりでシリーズを支配できなかったが、新田に向く。新田の捲りなら成田も抜けない可能性が高い。事実上G1初タイトルになるか。
決勝番組
1番 成田和也 福島
2番 金子貴志 愛知
3番 藤木 裕 京都
4番 後閑信一 東京
5番 村上博幸 京都
6番 勝瀬卓也 神奈川
7番 稲川 翔 大阪
8番 吉田敏洋 愛知
9番 新田祐大 福島
車券推理
⑨=①-②④⑤⑦⑥
⑨=②-①④⑤⑦⑥
⑤=⑦-①④⑥

結果

④-⑨-⑥    551.7倍

レース回顧

前受けに新田で近畿ライン。そして後閑がこの後を確保。後方は中部ラインとなった。その中部ライン先頭の吉田が早めに動き、インを切る形。この一連の動きで吉田は藤木との先行争いやかましもないと感じた。そして藤木が先行態勢で後閑が追走。吉田は6番手を受け入れる。作戦通りだっただろう。勿論新田が後方に置かれた事で早めに仕掛けると読んでの事だと思う。その新田は吉田の読み通り早めに仕掛けた。打鐘2センターでは新田が楽に叩くかと感じるぐらいのスピードだったが、藤木も意地をみせた。その事で両者の番手の村上と成田が絡んだ。そして新田が抜け出し番手が離れた。この事で大きく後閑に流れが向いた。吉田も仕掛けたが後閑が位置を活かしまくる。そして番手がいなくなった事で新田を妨害も無く追いつきざま一気に加速しゴール前新田をとらえた。
決勝赤板
決勝赤板
決勝残り1周
決勝残り1周
決勝ゴール
決勝ゴール

推理結果

高松宮記念杯で新田がホームからかまし成田が交わした。この事から考え、そして岸和田より直線の長い京王閣を考えるとタイトルを喉から手が出るほど欲しい新田はおそらく仕掛けを遅らすと思った。しかし展開は早めに行かなければならない状況になった。結果は後閑の強さもあるが、展開が後閑に味方した事もある。
車券は新田がまくりでタイトルを獲る狙い目だったため惨敗だった。

後閑の勝因はスタートで近畿勢の後ろを確保した事や、新田の番手がいなくなった事もあるが、やはり一番の勝因は後閑の日頃の努力と探究心につきるだろう。自力での過去最高年齢43歳での優勝。過去頂点に立ちそして低迷した時期と共に歳を重ね心が折れる年齢でもあるが、それをはねのけてこの地元のタイトル戦に挑み、3度目の栄冠に輝いた。
第56回オールスター競輪(GI)を優勝した後閑信一
第56回オールスター競輪(GI)を優勝した後閑信一