解説&分析

今年の最後のG1である競輪祭。
他のGIとは違いここにグランプリ争いが加わる。
ここまで今年タイトルを取った選手以外で決定しているのは、開催前での賞金ランキング1位の深谷と4位の新田までである。5位の長塚は多々の条件が重なると権利を失うが、それは奇跡に近い。ほぼ決定である。事実上8人までが決定している。
残るシートは一つ。
ランキング9位の浅井が一歩リードだが、全ては決勝で決まる。そして最終日を迎えたが決勝に浅井の姿はない。結果待ちになった。優勝以外で権利を獲得出来るのは藤木と神山である。浅井の最終日の成績にも左右されるが、浅井が3着までに入れば藤木も神山も2着まで。浅井が4着以下に沈めば藤木に限り3着までで権利獲得。
勿論、両者の間で先着する事と、権利のない選手が優勝すればそれも消える。
さて決勝。
ラインは4つ。ラインが長いのは関東勢。その先頭は平原。平原は今年2月に全日本選抜に勝ち早々と権利を獲得しここまで余裕があり、更なる高みを求め色々な事を試し不調にもなったが、ここに来て本来の輝きを取り戻した。勝ち上がりも連日的確な位置取りからのまくりを打ち出来の良さを感じさせていた。その番手の長塚は4月のGII共同通信社杯を制したが、それ以降リズムを狂わしていたが、8月以降怒涛の記念連覇でグランプリ圏外からほぼ決定の位置まで上り詰めた。今シリーズもその力をいかんなく発揮している。そして3番手は神山。45歳にして存在をアピールする走りでグランプリに望みをつないだ。この関東が一番厚みを感じる。
そして深谷と金子の師弟コンビ。
深谷もダッシュを活かしつつの早めの先行で勝ち上がり、金子もしっかり付いてきた。深谷にとっては離れないと言う安心感が出来た。タイトルから2年遠ざかってはいるが心技共に充実。
そして藤木。準決勝の先行は圧巻である。長塚に差されはしたが力強い先行で勝ち上がった。攻め幅も広くチャンス到来にも感じる。
最後に新田だが、本人のコメント通り1着を毎回狙ってのレース。優勝だけを狙って来る選手との違いは勿論あるが、脅威のスピードを示し勝ち上がり。しかし、毎回1着を狙っているだけにレースとレースのつながりはない。GIIIは力で勝てるが、タイトルは詰将棋の様なもの。その運びは感じないが、それをも上回るスピードでタイトルをものにできるか。今回の決勝はそれぞれが力を示して勝ち上がって来ただけに、車券的には決め手に欠くが、タイトル争いにふさわしいレースになりそうだ。
ダイヤモンドレース
ダイヤモンドレース
ダイヤモンドレースを勝った長塚智広
ダイヤモンドレースを勝った長塚智広

展開予想
まず平原の中団取り。浮けば早めの仕掛けになるが、浮く条件は藤木が中団を狙った時だけである。その時は深谷か新田がかけている事になるので苦しむ。それでもその番手の長塚は外を行きそうだが、その時は3番手の神山まである。そして深谷。先行なら金子にその後ろにいる選手。深谷がまくりなら深谷に長塚が絡む。新田は一発狙い。問題は藤木である。何でも出来るだけに先行態勢から位置も取りやすい。やはり決め所に欠く。難しいレースである。

決勝メンバー

決勝番組
1番 深谷 知広 愛知
2番 長塚 智広 茨城
3番 新田 祐大 福島
4番 神山 雄一郎 栃木
5番 藤木 裕 京都
6番 大塚 健一郎 大分
7番 金子 貴志 愛知
8番 岩津 裕介 岡山
9番 平原 康多 埼玉
車券推理
2-9-4753
2=1-4957
2=4-9153
7-1295-1295
5-全-全
5-2-1769

結果

7-1-6  173.4倍 62番人気
的中無し

レース回顧

前受けに新田で、その後ろが深谷。そして平原ラインで後方から藤木の並び。青板過ぎに後方から藤木が動き出し新田を押えるが新田は下げない。そして平原が少し遅れて上昇。深谷の外になったが、その深谷はすかさず下げ後方に。前団では藤木と新田が譲らずであったが、新田が下げた。平原は藤木に追走せず新田を入れた。この平原の一連の動きで平原は先行勝負を選択したと感じた。そして平原が発進。それに合わせて新田も踏み込む。結果前受けになった藤木が少し踏み遅れたが新田の番手にハマった。新田は平原を合わせ切り、一瞬であるが藤木かと思った。しかし前団のつば競合いをしり目にじっくり脚をためていた深谷が満を持しての打鐘4コーナーからの発進。一気に主導権を奪い、勝負を決めた。深谷が前団のもつれを計算に入れて後方待機の作戦を選択したのではなく、ただ単にじっくり脚をため力を爆発させたかったのだと思う。結果的に最良の策となった。この競輪祭「決勝」では勝ち上がり段階で他を圧倒する様なレースっぷりをした存在がなく迎えた決勝だけに混戦が予測された。ほとんどのレースでは軸となる選手が存在する。しかしこのレースにはその選手は存在しなかった。その事は決勝メンバーもそう感じていたと思う。感じていたならその選手を意識しながらの立ち回りになるが、どの選手も目の前の選手を意識しての戦いをしていた。極端な言い方だが深谷にかまされるまで深谷の存在を忘れていたかの様な展開であった。
赤板
赤板
打鐘
打鐘
最終ホーム
最終ホーム
最終バック
最終バック
ゴール
ゴール
表彰式
表彰式

推理結果

深谷が先行なら金子と考えていたが、3着の大塚の伸びを考えていなかった。確かに藤木が前々勝負なら大塚も好位にいる事になるが、まだそこまで復調している様に感じなかった。準決勝も伸びてはいたが、以前の雰囲気まで出ていなかった事で狙い目から外した。そして決勝自体、決め所がなく迷いに迷った決勝戦であった。

競輪祭の結果、9番目のシートは浅井が獲得した。連日の深谷の走りなら中部3番手選択とは感じる。その3番手を選択した準決勝は深谷のダッシュに離れた。グランプリでも同じような展開になるかも知れない。ここからグランプリまでの浅井のテーマになるだろう。最後に優勝した金子は今年2つ目のタイトルである。深谷との師弟関係がクローズアップされ、その事がタイトルにつながっている部分が大きくなっているが、寛仁親王牌のレースっぷりが今の金子を完成させたと感じる。金子自身のあきらめない精神力に絶えまぬ努力に感服する。