久々にG1が高松で行われる。前回は坂本勉が桁違いのスピードでまくり、他を圧倒して優勝した91年の開催であり、実に23年振りである。今シリーズは昨年末のグランプリの興奮が冷めやまぬ間に行われ、ゆえに昨年の流れの中でシリーズが進む気配があった。今年最初のGIであり、最初にKEIRINグランプリ2014出場者が決定する。
そしてこの決勝が終わると一気に新しいシーズンを感じさせる様になるのが通年である。
第29回全日本選抜競輪決勝メンバーを見ていく。
今年に入り昨年の覇者・平原康多が昨年末からの好調にさらに拍車がかかり、ここまで記念2回の優勝。他の選手で明らかに調子が良い選手も見当たらず連覇も現実味を帯びてきた。そして順当に勝ち上がって来た。今回の決勝メンバーでも平原が走りやすい構成になった。
近畿ラインが3車になったが先頭が脇本雄太、番手が松岡健介で3番手が村上博幸。自力型が並び、番手捲りも感じさせる。脇本と松岡が連係した準決勝は深谷と金子の師弟コンビとの対戦であった。以前は脇本と深谷をライバルとして取り上げられていた時期もあったが、昨年一気に脇本は深谷に水をあけられた。この準決勝も容易く深谷が圧勝するかに思えたが脇本の先行に屈した。しかし脇本のかかりも良かった事もあるが、脇本ライン3番手をキープした小埜正義の車間をきり捲る気配を後続の選手に感じさせタイミングを狂わせた事が大きかったと言えるだろう。
そして浅井康太が2日目までは番手戦であったが、準決勝は自力。その準決勝も一番激戦区に入った。ただ浅井にとっては細切れ戦での戦いで走りやすい事もあり、新田祐大に外を捲られたが、俊敏に立ち回り決勝に駒を進めた。
その新田も2日目まではピリッとしなかったが準決勝は鮮やかに捲った。決勝での光も見えて来た。
後は神山雄一郎である。連日いい伸び脚を見せており、初日も平原を交わす勢いであった。決勝では平原を抜く事に専念すれば可能性もあると感じた。
決勝メンバー
展開予想
先行は脇本。その4番手が平原だが、浅井が単騎でその位置を平原が許すかもしれない。それはタイミング次第になるだろう。
そして後方が新田になり山賀がこの前後になる。ポイントは近畿ラインの自力型が並んだ事と、番手捲りの作戦はあるのかである。番手捲りがないなら、平原が新田を警戒し中団から捲る。そして神山が迫る。
近畿ラインが番手捲りでも平原中団なら結果的に3番手になりそこから追い込む。ただ浅井がその位置なら平原は捲りに行くだろう。そして村上がけん制し浅井が抜け出す事もある。そこには内を突く事も範疇である。いずれにせよ平原が有利と感じる。
1番 |
平原 康多 |
埼玉 |
2番 |
新田 祐大 |
福島 |
3番 |
浅井 康太 |
三重 |
4番 |
松岡 健介 |
兵庫 |
5番 |
神山 雄一郎 |
栃木 |
6番 |
齋藤 登志信 |
宮城 |
7番 |
村上 博幸 |
京都 |
8番 |
山賀 雅仁 |
千葉 |
9番 |
脇本 雄太 |
福井 |
1=5-723
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1=3-57
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3-7-1452
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1=2-357
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1-2357BOX
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3-1457BOX
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5-1237BOX
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レース回顧
スタートけん制の後、新田が前受け。その後ろに平原が続き、浅井、山賀で、その後ろが近畿勢の形。予想通りの位置取りで周回を重ねた。
そして赤板過ぎで脇本がダッシュ気味に前団を押える。この動きは当然飛び付きを阻止するための押え方だったと思う。そして平原も反応せずではあったが、平原にとっては脇本ラインへ切り替えて行っても中団は獲れると考えていたのだろう。
しかし前受けの新田が脇本に飛び付いた。あっさり番手を奪ったが齋藤が離れたため松岡を村上が入れる。平原は後方に置かれたが最終ホームから発進した。この動きは新田の番手捲りの前にスピードを乗せておきたい事もあったと思う。
だが齋藤のけん制もあり中々スピードに乗せ切れなかった。そしてようやく2コーナーから加速していき新田に並びかけ両者のもがき合い。平原にとっては苦しい展開ではあったが4コーナーで出切りかけ関東ワンツー体勢。
その瞬間で落車である。新田が平原を押し上げ、平原の番手・神山が抜きに行っていた事で平原の後輪に神山が差しこむ形での落車となった。その事で内が空き村上が抜け出した。落車が無くても内は空いていたと思うが、3着ぐらいだっただろう。村上優勝で2着通過の新田が失格し、松岡が落車をかいくぐり2着、そして齋藤3着と前団にいた選手で決まったレースとなった。
車券的推理結果
脇本先行で松岡が早めに出て村上が交わす形を想定した方は的中されたと思う。しかしこのシリーズは平原が力を見せつけていたためやはり平原有利と考えた。落車絡みで後味は悪いが、これも競輪である。
優勝した村上はKEIRINグランプリに一番乗りした。しかも地元地区(岸和田)での開催である。ここ最近精彩を欠き、精神的にも辛い時期であったはず。そしてその事も反映してか今シリーズも本調子ではなかった。しかしこの優勝で一気にモチベーションが向上し、暮れの岸和田グランプリでは絶好調の博幸を見せてくれるだろう。楽しみである。
そして残念な結果に終わった平原であるが、これも競輪と受け入れれば怪我の事も気になるが再び豪快なスピードでGI優勝を成し遂げてくれるはず。
次回はダービー。
日本一の競輪選手が名古屋で決まる。楽しみにしたい。