日本選手権競輪が今年は3年振りに名古屋で開催。通称「ダービー」日本一の競輪選手を決めるGIである。
その3年前は村上義弘が2コーナー捲りを決め初の日本一に輝いた。そして昨年は立川で開催され、その時も村上が上手く立ち回り武田の後ろから4コーナー追い込み勝負で優勝。
今大会はディフェンディングチャンピオンとして迎える。ただコンディションが良いとは言えず、心配された。そして今シリーズは昨年旋風を巻き起こした金子貴志と深谷知広の師弟コンビの地元戦である。ホームバンクは豊橋であるが、ここに懸ける気持ちは両者共に意識が高い。
舞台となる名古屋バンクは軽く、そしてカントが立ちスピードが乗りやすい高速バンクである。
その事は初日から顕著に結果に表れた。現在は大ギヤ化もあり、かまし先行が主体になっている事もあり、先手を取った選手が掛かり切るレースが続いた。
さらに今シリーズは連日バック追い風も手伝い、先手ラインがレースを支配。そして迎えた準決勝ではその事を頭に入れた選手達が早めに仕掛け、中団よりも前へ前へと位置を作りに行き、最終1コーナーの位置で勝ち上がりがほぼ決した。
そして迎える決勝である。
勝ち上がり段階で心配された村上の状態も本調子ではないかも知れないが、思ったほど悪くなく決勝まで勝ち上がり、また配分停止明けから鬼気迫る走りで1着を量産している武田も力強い走りで順当に勝ち上がった。
期待された地元両者。深谷は連日圧巻の走りで、こちらも順当に勝ち上がったが、金子は準決勝の苦しい番組構成のなか、最終ホームを番手で回ったが後方の早い巻き返しに対応できず決勝進出を逃した。
決勝メンバーは近畿ラインが4車で番手は村上義弘。関東は武田が番手の3車。深谷は地区的なラインになる選手がいず番手は成田となった3分戦である。日本一の競輪選手を決めるに相応しい好メンバーになり、そしてどのラインも後手を踏む事イコール敗退が決定付けられるだけに積極的な高速決戦となりそうな予感があった。
決勝メンバー
1番 |
深谷 知広 |
愛知 |
2番 |
武田 豊樹 |
茨城 |
3番 |
村上 義弘 |
京都 |
4番 |
稲垣 裕之 |
京都 |
5番 |
成田 和也 |
福島 |
6番 |
内藤 秀久 |
神奈川 |
7番 |
村上 博幸 |
京都 |
8番 |
稲川 翔 |
大阪 |
9番 |
平原 康多 |
埼玉 |
展開予想
前受けは深谷か平原。深谷は稲垣が前受けを拒む事が予測されるだけに仕方なしに前を選択する場合もある。平原は前受けでも中団が確保できるメンバー構成である。おそらく深谷ライン、平原ライン。そして近畿勢で周回を重ねるだろう。そして稲垣が残り2周の赤板手前で前団を押さえ先行態勢。平原が中団キープで一旦深谷は8番手まで下げる。このままの態勢で動きなく最終ホームを通過するなら村上義、村上博に平原と武田が絡む結果になる。しかし平原もその展開では村上義の番手捲りも予測されるだけに苦しい。連日の動きから想像するとホーム辺りの仕掛けになると感じる。出られる前に叩いて行く。
そして深谷も仮に平原が動かなくても早めに一気に踏み込む。平原が早めに行ってくれれば、それはそれでゴールデンレーサー賞の様になり好都合である。
平原は早めに動けば深谷の引き出し役になる可能性も高いが、そうしないと勝機も失う。それも勝負だ。深谷に結果的に展開が流れる形にも思える。しかし平原が行かないと感じ自身で踏んで行き、平原とタイミングが合えば最悪の形になる。これも致し方ない。いずれにせよ、各選手がそれぞれの位置から早め早めと仕掛けて行っての力勝負で決するだろう。ゴール前は横一線の争い。展開も日本一を決めるに相応しいレースになるだろう。
1-2379-2379
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2-1379-1379
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3ー179-179
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3=7-129
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レース経過
予想通り深谷が前受けで平原が中団。後方に近畿ラインの形。稲垣が赤板で抑え平原が切り替え、深谷が8番手の展開。ジャン前2コーナーから稲垣が発進。ジャン2センターではほぼ全開。ホームで早めに平原が動くと感じたが稲垣の掛かりが良くタイミングが合わないまま平原が仕掛けた。そして1コーナーで博幸が平原を牽制しあっさりと不発に。それほど稲垣の掛かりは良かった。最終ホームから最終バックまでが10秒9である。そして義弘が最終2コーナーから出る。不発に終わった平原の番手の武田の仕掛けや、大外覚悟の深谷の捲りを合わす形。その時も博幸の牽制が効いた。やはり4車の強みである。番手から出た義弘も残り半周の上りタイム11秒0のハイラップで勝負は決した。武田と深谷はこのタイムを考えると良く届いた。2,3着ではあるがそう感じる。ダービー王、そして日本一の競輪選手に輝いた村上義弘であった。
残り2周
打鐘前
最終ホーム
最終2コーナー
ゴール
ガッツポーズ
車券的推理結果
義弘の優勝も狙っていたが、武田を入れていなかった。村上優勝なら平原が不発に終わると考えたため、その番手の武田を外したのが敗因である。武田は不利な展開であったが、やはり強かった。
名古屋ダービーは村上義弘の優勝で幕を閉じたが、今シリーズは名古屋バンクの特性と大ギヤがマッチし先手ラインで決まるレースが多かった。決勝もシリーズの流れのままに決着した。勿論力のある選手が仕掛けた場合である。故に勝ち上がりはその事が言えた訳だ。村上にはこれからも試練は続くが、再びこの舞台に帰って来るだろう。その時を楽しみにしたい。
表彰
胴上げ