今年のオールスターはSS11騒動の余韻を受け、ドリームが本来の意味を持たないレースとなり幕を開けた。この前橋では2年振りのオールスター。その時は山崎芳仁が番手から抜け出し優勝。そして昨年の京王閣では地元後閑信一が疾風のごとくタイトルをさらった。どちらもが今回は本調子でなく早々と姿を消し、そしてこの前橋で初タイトルを獲った深谷知広も残念な結果に終わった。深谷は前回の前橋オールスターは準決勝で敗退。それだけに慎重に勝ち上がって行きたいと思っていたであろう。しかし深谷は「シャイニングスター」で落車。初の鎖骨骨折となった。深谷時代到来と感じた矢先に試練が訪れた。そして迎えた準決勝。確かに浅井康太も堅実に先行し勝ち上がり、新田祐大も激戦区の準決勝をクリアし決勝進出を決めたが、なんと言っても優勝に一番近づいた印象を残したのは武田豊樹であった。
展開予想
関東が別線勝負に。天田裕輝がサマーナイトフェスティバルで関東4車の先頭を走り叩かれ先行出来ず。確かに深谷が強すぎた事もあったが、役目を果たせなかった。同乗した武田と平原康多がここでも勝ち上がっており、天田の現状から認識されている格から考えて、その汚名返上のレースとも思われた。しかし天田にとってここは地元。勝負を選択した。出来から考えるとそれも理解できる。その事により栃茨ラインで武田に神山雄一郎。そして天田に平原の並びになった。関東はラインが違えど連携する事はないと感じる。別線は中部ラインが準決勝同様に浅井に金子貴志。そして井上昌己には岩津裕介が付き、新田が単騎になった。細切れ戦で絶対先行勝負の選手が見当たらず遅めの仕掛けになる。その中ではやはり武田が一番先行しそうに思える。タイトルホルダーの余裕と33バンク。そしてグランプリも当確である。その事もあり、番手の神山雄の6回目優勝考えられる。武田が先行すればその3番手は結果的に天田か。そして新田は単騎といえ浅井や井上が後方になれば入れる事もある。5番手か7番手からまくれるか。その理由は3番手に入れるなら新田がまくって優勝が濃厚に思えるが、中団以降なら逆に利用でき、新田も脚を使う。それと新田が不発に終わってもある程度スピードももらえ、その時は前団が混戦状態の可能性が高くなるからだ。武田は先行基本の組立で早めに誰かが来れば迎え入れるが、遅めなら突っ張って掛けるとみる。天田は位置取り中心だが、立ち遅れれば先行策も。浅井と井上は一発に掛ける。やはり武田中心になる。
1番 |
金子 貴志 |
愛知 |
2番 |
武田 豊樹 |
茨城 |
3番 |
岩津 裕介 |
岡山 |
4番 |
神山 雄一郎 |
栃木 |
5番 |
浅井 康太 |
三重 |
6番 |
天田 裕輝 |
群馬 |
7番 |
新田 祐大 |
福島 |
8番 |
井上 昌己 |
長崎 |
9番 |
平原 康多 |
埼玉 |
2=4-579 |
2=9-457 |
2=7-456 |
4=7-2 |
レース経過
前受けに浅井に金子の中部ライン。その後ろが武田に神山の栃茨ライン。そして西の井上、岩津。単騎の新田が7番手。後方から天田に平原のラインで予想通りの並びで周回を重ねる。そして後方の天田が動き、新田に井上が続き上昇。新田は単純にこのラインの3番手を確保の動きだったが、前受けの浅井に主張し下げる。この動きの中で井上が天田をさらに切るかと思われたが、少しタイミングを遅らせ先行策を選択。その後ろにいた武田も井上がインを切ると考えて動かなかった。その事は武田が上昇するタイミングがあったのにも関わらず井上を待った事からわかる。武田が自ら切る時は完全に3番手狙いの時か早めの先行になるが、このレースでは細切れ戦で早めの仕掛けは避けるのが妥当。井上が切ってからなら仕掛けるタイミングが遅くなり武田にとっては好都合になるからだ。勿論、武田の頭にも井上が押さえ先行をするとは思っていなかったと思う。それは見ている私達もそう思った。しかし井上がタイミングを遅らせた理由は先行策の組立だったからだろう。武田の読みが少し外れた。この事が少し武田のピンチになりかけた。井上が先行態勢に入り、インを切った天田も少し後方の動きを待つ中でペースが落ちた。その事でしっかり井上の3番手に飛び付けなっかった。そして車間が開き後ろから仕掛けてきた武田が納まった。天田が飛び付いていたら武田は井上を叩きに行く事になっていただろう。しかしあのタイミングの井上の先行なら合わされていた。もしくは叩ききってもかなり脚を使っていたと思う。武田は井上のイン切りに乗り遅めの先行をイメージしていたと感じる。しかし井上が先行し武田が3番手にハマりそこからまくった。井上の番手の岩津もバックからまくりを放ったが、すでに勝負は決していた。窮地に陥る事にもなりかけたが、それを難なく乗り越えた。先行勝負を頭に入れていたか事が展開を味方につけ、そして武田の優勝に結びついたと感じる。
車券的推理結果
武田中心の狙い。結果もその通りになった。しかし岩津の3着は考えなかった。なぜなら井上が立ち遅れ後方になると考えていたからである。
今回のオールスターは色々な事があった。ドリームはファンが見てみたいメンバーでの一戦である。今年は名ばかりのドリームで見ている側もワクワク感もなく、ただただ、深谷の出来のみを見ていた。本当のドリームを今年は実現出来ないのは仕方ない。ドリームに選ばれた名誉は選手にとっては勲章である。今年のメンバーには過去に選ばれた側から言えば一緒にするなと言いたい。しかし乗せなければ仕方なかった。名ばかりのドリームよりオール予選でも良かったのでは。そしてエボリューションもオールスターの選ばれない選手からになるので、間の抜けた感じだった。ならば今後が期待される若手限定のメンバーが良かった。参加した選手達がオールスターの舞台に立ちたいと感じ、練習の意気込みも変わり、のちの活性化にもつながるだろう。そしてガールズ。初のファン投票。男子のドリームレースより賞金が高い。しかし女子選手は成熟していない。発展途上といつまで言われるのか。と感じた。ガールズに関しては見たまんまで、感じる事はなかった。そして何より深谷の鎖骨骨折である。自身初の骨折。本人もファンの方もショックだったであろう。おそらく競輪祭復帰で後はグランプリのみの出走になるかも知れない。競輪祭前に一本走るかも知れないが、走って今年は後9走だろう。私も初めて鎖骨を折った時はショックだった。私の場合は何度も落車したが折った事がなかった。折れないものと思っていた。そして39歳の時に鎖骨骨折。事情は違うがこれから先、深谷の落車と同時に鎖骨骨折になる可能性がある。サマーナイトフェスティバルで深谷時代到来と感じた矢先の出来事である。残念だが深谷の完全復活を願って今回は終えたい。