いよいよ岸和田でのグランプリを迎える。今年は波乱の、そして苦難の1年であった。GP出場を果たした9選手にはその苦難を乗り越えここにたどり着いた者や、逆にチャンスを活かし出場を果たした者がいるが、今年のベストメンバーとなった。グランプリはG1とは違いその開催の流れは当然ない。それがゆえにここまでの出場を得た過程がクローズアップされる。その中でも群を抜く存在と感じるのは武田である。2013年の高知G3の追走義務違反の斡旋停止からSS11問題も加わり厳しい状況ではあったが、前橋オールスターで貫録の優勝でGPの出場権利を獲得。そして更に競輪祭で平原を番手に付け優勝に導き、しかも自身も2着に逃げ粘った。競輪祭では完全に武田がシリーズを有利に支配しGPへのステップにも思える組立だった。その流れで岸和田に乗り込んできた。競輪祭では武田がライン先頭であったが、ここでは平原が先頭である。ファンの方の推理も武田中心になるのは当然である。そして報道陣もその事に反応し武田中心の画像や紙面になりGPも武田の支配の中で号砲をむかえる。ただ今回は関東圏以外での初開催の岸和田GPである。地元近畿地区の村上兄弟に、地元バンクでのGP出場を果たした稲川が加わり、近畿ラインもクローズアップされた。ファンの皆さんの心に残る数々のレースを魅せた村上義弘の走りにも期待がよせられたシリーズとなった。
GPはその時点でのベストメンバーではない。1年のベストメンバーである。深谷は鎖骨骨折明け一発目のレースになり、状態は推測にしか過ぎない。そして稲川も鎖骨骨折をしたが、こちらはGIIIを2本走っての出走。しかしこの2本のGIIIを見る限りでの動きは本来の稲川には程遠い。その事は近畿の並びも影響したと言える。稲川は3番手回りとなったが、ライン先頭か、もしくは単騎の選択もあったと思う。ライン先頭に関しては後ろに付く選手が決める問題であるが、現状から村上義弘はその番手を選択しなかった。村上博幸は当初から兄の番手を匂わせていたのでそこはない。単騎に関しては稲川が決める事であるが、GPの出場が正式に決定した時点で同じ近畿ではあるが、少し距離を置く気持ちを持てないと難しい。稲川の現状も考えると3番手になったのかも知れないが、「3番手か」と思ったファンの方も多いはず。同業者である選手もそう思ったと思う。それは村上義弘も理解し、ライン先頭を買って出たのだと感じる。その中でのGPである。
展開予想
スタートは深谷が出る。その理由は本人も自身の状況を完全に把握していないと思う。それを解消するにはラスト1周のカマシしかない。ゆえに前受選択だと思う。そして1番車の村上義弘が中団で岩津。後方に平原先頭の関東勢。平原が赤板で最初に動き先頭まで出る。そこを村上義弘が叩きに行く。平原が武田を引っ張るのみの考え方なら突っ張るが、そうでなければ下げる。そして深谷がカマシてくる。村上義弘は当然合わせる。ここは深谷の状況、出来次第で決まる。もがき合えば平原が捲り、武田が交わす決着になる。深谷の出来が良ければ浅井に関東勢が絡む。平原が突っ張り先行なら武田が抜け出し、神山と村上博幸と浅井が絡むと読む。後は単騎になった岩津の絡みがあるかである。
1番 |
村上 義弘 |
京都 |
2番 |
武田 豊樹 |
茨城 |
3番 |
深谷 知広 |
愛知 |
4番 |
浅井 康太 |
三重 |
5番 |
村上 博幸 |
京都 |
6番 |
岩津 裕介 |
岡山 |
7番 |
平原 康多 |
埼玉 |
8番 |
神山 雄一郎 |
栃木 |
9番 |
稲川 翔 |
大阪 |
2-8-745
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2-7-845
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4-256-25639
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5-9624-9624
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245-2458-6
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結果
2-5-1 192.8倍 (63番人気)
的中無し
レース経過
スタートは深谷が前受で近畿勢が中団。後方に関東勢で岩津の並びで周回を重ねる。青板を過ぎ中団の村上義弘が後方の平原康多を警戒する。この動きで村上は平原より先に動き先行策を選択したと感じた。そして平原を赤板で合わせた。しかしながら深谷が完全に下げていた事で中団での態勢を立て直す事が出来た。そして村上を打鐘過ぎに叩く。村上は少し反応が遅れた。関東ラインが出切り、深谷もカマシては行ったが平原がすでに掛け切っていた。深谷自身の出来もまだまだと感じた。この時点で勝負ありである。現状一番強い先行選手に一番強い選手がホームで抜けきったのである。村上も不意を突かれた感じで立ち遅れたが、近畿ラインの先頭の意地で前々へ踏んで行った。関東3番手の神山をさばき立て直したが武田はその事もあり一人旅状態。そして武田が1着でゴール線を通過し2014グランプリチャンピオンが決定した。
推理結果
武田本命は揺るぎないとは感じていた。しかしオッズ的に村上博幸と浅井から狙った結果である。そして村上義弘は先行策もしくは無理矢理仕掛けると思い、3着までに入ると考えなかった。
苦難の末の2014グランプリ。終わってみれば王者の武田が人気に応え見事に優勝した。開催場である岸和田もそうだったが、武田自身もようやくたどり着いたグランプリ。「ゴールまでが長かった」言葉通りである。しかし短い出走期間ながら競輪界を完全に支配しストーリーを作り上げ完結させた。苦難はあったが、見事である。終わってみれば9月の欠場明けからの完全なシナリオである。今年はサマーナイトフェスティバルで深谷時代到来を感じさせた。しかし落車の影響で完全なグランプリを迎えられなかった。2015は武田に再び深谷が挑む。受けて立つ武田が王者の走りで退けられるか。この岸和田グランプリが一つの区切りになる。来年はギア規制も加わり新しい競輪がスタートする。