解説&分析

静岡で久々にGIが開催される。意外な感じである。私の現役時代はダービーが開催される事が多かった。ここ最近ではSS風光るはあったが、事実上は地元渡邉晴智が優勝したダービー以来、実に7年ぶり。昨年は高松で開催され雪での順延も絡み、その中での決勝戦。落車も絡み混沌としたゴール前の印象に残る。その中で間隙を突き、抜けた村上博が優勝。今年はギア規制後の最初のGI。見た目にも明らかに流れが違う。面白くなった。少し時代が巻き戻された。大ギア時代はタイミング良く一発を狙うパターンのレースが多く、それがまた決まりやすかった。しかしギアが下がり横の動きも増え、俊敏に立ち回る事も必要となった。完全に選手の対応が今のギアにマッチしていると言うより、試行錯誤の中で徐々に移行していると言った印象である。大ギアで活躍し始めた選手達にとっては以前の競走が抜けにくいが、それ以前から活躍している選手は自然に対応している感じがする。レース的にはやはり後方の選手にはチャンスが少なく、しっかりと展開を組み立てる選手が結果を残している印象である。この事は非常に重要と感じる。なぜなら、車券を買うファンにとってはレースを読みがそのまま車券に直結するからである。データの蓄積。競輪を見る量。競輪の見方が正解なら儲かると言う形になるからだ。選手的にも力は勿論重要であるが、勝負度胸と頭の良さも結果につながる。この静岡から競輪が活性化する。そしてこのGIからまた新しい競輪が始まるであろう。

展開予想

まずメンバー構成は昨年の競輪祭の様である。関東に稲垣。そして山崎である。関東の並びは競輪祭とは違い平原がライン先頭。武田が番手である。競輪祭では武田が先行し、稲垣が中団確保するが、単調なレース運びをした。単純に競輪祭と同じ展開になる事も考えられる。関東先行に稲垣中団。そして山崎が後方に構える。稲垣は同じ轍を踏めない。ならばこの展開なら早めに行く必要がある。あの競輪祭で稲垣が早めに仕掛けていればこのレースは戦いやすくなっていた。しかしこのレースはそれを挽回するかの様になる可能性が高い。一つのレースの失敗が尾を引く。よくある事だが、全てのレースはつながっている。その事を踏まえて平原が先行なら稲垣は中団をまず確保し最終ホームでは仕掛ける。武田が反応し牽制。叩き合いの形になりまずは浅井が仕掛ける。そして同じく単騎の桐山はレースが外々へと動いている中で武田の後ろ辺りに潜りこんでいるかも知れない。もしくは内から間を抜け自力に転じている可能性もある。浅井が捲れば位置的に山崎がその後ろになる。そして平原が前々から稲垣を出させれば3番手になる。この時に浅井が付いて来れば入れないが、桐山なら入れるだろう。これは平原にとっては浅井がこのレースでは重要な選手と考えているからだ。そしてあくまでこれは稲垣がより速い仕掛けの時である。その上を山崎が行く可能性はあるが、その時はもうレースは全開になっている。平原はあくまで前々勝負で先行も視野に入れて戦う。決勝は選手にとっては優勝のみだが、その事ばかりを考えて走ると優勝出来ればよいが、出来なければ何も残らない。そしてつながらない。その事だけは避ける。ゆえに平原も優勝を意識しながらも自分の仕事はきっちりする。勝負は時の運であるが、それも競輪である。結果的には平原がかけ、稲垣が早めに行けば浅井と武田に山崎の争い。平原が稲垣を迎え入れれば平原と武田の争いになる。

決勝メンバー

決勝番組
1番 武田豊樹 茨城
2番 稲垣裕之 京都
3番 平原康多 埼玉
4番 山崎芳仁 福島
5番 浅井康太 三重
6番 桐山敬太郎 神奈川
7番 菊地圭尚 北海道
8番 岡田征陽 東京
9番 大塚健一郎 大分
車券推理
1=3-8569
1=5-6934
1-6-59
5=4-169

結果

4-7-5  152.4倍 55番人気
的中無し

レース経過

スタートを関東勢が取りに行き、稲垣が4番手。そして浅井が続き、北日本勢で桐山の態勢で周回を重ねる。スタートを関東勢が取った事で平原はカマシ狙いに感じた。まずは山崎が動きそして桐山が斬る。そこを更に稲垣が斬り、平原が打鐘でカマシてくる。態勢的には競輪祭の再現となったが、平原がカマシ気味のためいいペースでレースが流れた。ここまでは関東勢の思惑通り。武田が車間をきり後方の仕掛けに備える。武田自身は番手から出るつもりではなかった。しかし稲垣のスピードが良く出ざるを得なかった。出るつもりが無かった分、掛かりが遅かったが稲垣を合わした。稲垣の捲りのスピードをもらい更にその外を浅井が仕掛けた。武田と稲垣が絡みつつ意識が浅井になかった事で浅井が優勝かと一瞬感じた。しかし3車共に力を出し尽くした感もあった。そこを山崎が浅井を目標とし、山おろしも手伝い一気に伸び優勝。
本当にいいレースだった。
ギア規制後の最初のGI開催であり注目がより集まった今回であった。結果は見ての通り非常に面白く、競輪らしいレースが続いた。そして何よりレースを作る選手に勝利が流れる事が多く見応えがあった。決勝戦は山崎が脚を貯め優勝をさらったが、久々に手に汗握るレースとなった。これはギア規制の効果である。今後が楽しみになって来た。