今年もこの季節を迎える。勿論、競輪祭でのＧＰシート争いである。今年のタイトルホルダー４人と賞金ランキング上位で出場を目指す選手の戦いにも注目が集まる。ランキング上位の神山雄一郎、浅井康太、平原康多までは当確。そして稲垣裕之になるが、こちらはよほどの事がない限り出場となる。事実上、残り一つ。まずは優勝者。そして確定組が優勝すれば村上義弘までである。色んなケースがあるが、村上はいつも通りのスタイルで戦うと感じる。ただ賞金の上積みも重要である。そして迎えた初日である。今年２つのタイトルを獲得した新田祐大が力を発揮。同乗の期待された深谷知広は判断に迷う展開になり内に埋もれた。そして今年手首骨折に見舞われた平原が、しっかりとした位置取りからまくりきり安定感をみせた。そして２日目。２次予選回りになった稲垣。初日は展開の持って行き方が良くなかった。その影響か打鐘前からの突っ張り先行。その結果、メンバー的には稲垣向きで難なく準決勝に駒を進めるかと思ったが、強引なレースで末を欠き４着に沈んだ。ＧＰの出場はほぼ当確とは言え、残念な結果であった。初日の影響。いかに負け方も大事かがわかる。そして同じく２次予選回りとなった深谷。こちらは圧巻の逃げ切り。完全復調を感じさせた。ダイヤモンドレースに関しては叩き合いがあったと言え、平原が初日に引き続き流石のレース運びであった。３日目準決勝。１０Ｒ脇本雄太対深谷。１１Ｒ竹内雄作をまくれるか新田。そして１２Ｒ関東勢の一本被りになりそうな組み合わせとなった。１０Ｒでは脇本が深谷に巻き返させず近畿勢がレースを支配し決着。今年のＧＰに深谷の姿はない。深谷が完全復活と宣言するには赤パンツを脱ぐ事が一番効果的かも知れない。その意味でチャレンジャーとして戦える。必ずプラスに作用するだろう。１１Ｒは竹内が逃げやすい構成であるが、これは竹内の日頃の先行に対する思いの積み重ねが、今競輪界に必要な選手として認められている。その事がこの番組に繋がっていると言える。中団にいた松岡貴久の影響を受けたとは言え新田が竹内の先行に屈した。竹内強し。１２Ｒは平原に武田豊樹の現在最強のコンビが主役になるが、更に天田裕輝がライン先頭を志願した。普通に考えれば関東３番手になるが、過去の失敗をこの準決勝で取り返したい思いがあったのだろう。ゆえに関東両者がさらに絶対的になった。しかしレースでは天田のコメントとは裏腹に、覚悟がなかった。関東最強コンビを付け中途半端な攻め。レースが壊れかけたが平原の冷静な判断力がものを言った。そして迎えた決勝である。ボーダーラインの村上義弘も勝ち上がり、自らの力で決着したい思いまで後一歩のところまできた。

竹内の先行を中心に各選手が作戦を組む。平原はその３番手が基本。そこには村上義弘も少しは考えるだろう。Ｇ３の決勝では竹内を叩きに行く様な攻めを見せるが、ここではそれはない。好位からのまくり勝負が基本とみる。好位とは番手も視野に入れる。なぜなら３番手でも平原との並走も考えられる。その場合浅井が単独番手で有利になる。ただその場合は平原が竹内を叩きに行くだろう。村上にとってはその結果内に詰まる可能性と、混戦になり渡邉一成のまくりを引き出す事につながるかも知れない。それだけは避けたいはず。ならば番手が得策と考えるか。しかしこの場合は平原のまくり頃になる可能性は高い。それは良しとできるか。その場合、結果はおそらく平原か武田の優勝になる。ＧＰだけを考えると良しとなるが、村上の性格がそれを許すかが問題である。許さないとしてもイン粘りが一番優勝に近いとは感じる。竹内の番手を獲り切る事と、竹内の先行力を信じる事である。このレースは村上の動き次第で結果が変わるだろう。すんなり浅井が回ったのなら浅井か平原。平原が叩けた場合武田である。そして可能性は低いがもつれにもつれた場合のみ一成にチャンスが訪れる。そしてそれを上回る竹内の先行、そこには競輪界の未来があるだろう。

決勝メンバー

結果

１－７－６　　　　３２．５倍（３人気）

レース経過

スタート牽制から単騎の渡邉が出る。そして中部勢が続き、関東勢、近畿勢となった。青板バックから村上が上昇し竹内を押さえる。平原もこの動きに続く。竹内は後方に下げた。竹内は突っ張りも考えていたと思うが、村上の動きが早過ぎたため引いての巻き返しでも行けると思ったはずである。しかし村上はその動き対応するためのペースを上げた。そして竹内の上昇に合わせ全開の先行策。さすが村上と感じさせた。ただ展開的には平原に絶好となった。平原がまくり武田が差し切り第５７代競輪王に輝いた。

車券的推理結果

竹内はスタート牽制から前団になったが、そこに落とし穴があった様に感じる。竹内はその位置からも先行は出来ると考えたはず。心理戦ではベテランに勝てない。それに勝つには強引さであるが、今回は村上が強引さも上回った。武田と平原との連携。ここまで多くのタイトル戦を共に戦ってきた。そして実績を積み上げ、作戦や前後には関係なく信頼を築いた結果。両者共に一発に掛けない、いつも通りの作戦。それが２人を更に大きく見せる。そして先行した村上。こちらもいつも通りの闘志でファンを魅了し、誰しもを納得させるＧＰシートになった。関東最強コンビをどう打ち崩せるかが楽しみとなってきた。