解説&分析

いよいよ総決算の時期がやって来ました。2015年に入りギア規制が行われレースが活性化されました。その中で2015年最初の全日本選抜で山崎芳仁が制しました。大ギアの先駆者であり、この規制で一番苦しむかと思われた山崎が最初に結果を出しグランプリシートをいち早く得た。この全日本選抜は2015年のベストレースとも言える内容。久しぶりにワクワクするレース展開で、見る者を魅了した。そこからグランプリの舞台でもある京王閣ダービー。平原康多はダービー王の称号を計画的に獲りにいった様にも思えたダービーまでの道のり。勝負掛け。しかし新田祐大に僅差で2着。強風が勝者を決めた様にも見えたが敗れた。競輪は風が強ければ強い程、脚をためている選手が有利になる。その点は平原には不運であった。やはり自ら動いて位置を作り、最後は力勝負。このダービーでは武田豊樹に前を任せての戦いで少し様相は違うが、武田もいつも以上に脚を消耗した。平原にとっては痛恨のレースとなった。不運は続き練習中に右手首骨折。そこからの復活劇。順調に回復し調子も上げていった。順風満帆と言えばそうだが、非常に苦しんだと思う。グランプリは雪辱戦となる。そのダービーを制したのは新田。風光るのG1は一応取ってはいるが、6大タイトルは初制覇。スピードは年々、競技脚から競輪脚に変化している。2016年はリオオリンピック。本人が望んでいないかも知れないが、その様に感じる。そしてこのグランプリでも展開も加味しダービーの再現も十分である。念願のGP初出場を決めた稲垣裕之。ここにたどり着くまで人一倍の思いと、時間を費やしてきた。シリーズに入り他の選手とは明らかに違う緊張感を感じさせていた。ここ1,2年は以前とは違う垢ぬけたレースが印象に残る。このグランプリでは村上義弘を付け、けれんみ無い走りに期待したい。競輪は1着の積み重ねがグランプリにつながるのではない。9着も恐れず内容のあるレースを出来る選手達がグランプリ選手になれる。その意味でも稲垣の成長は立派であり、ここでもしっかり自分のレースをして欲しい。2015年の集大成となるグランプリ。長い道のり、そして困難。それを乗り越えたどり着いた9選手による最高峰のレース。ファンの方にとってもその思いは変わらない。しかしレースはいつも通り、一瞬で決まる。過去の積み重ね。そこから来る冷静な読み。そして的確な判断。それがその一瞬となる。

展開予想
前受は福島勢。その後ろに関東勢。後方から近畿勢。単騎の選手達は関東の後ろと近畿の後ろにそれぞれ分かれての位置取りか。近畿先頭の稲垣の上昇に合わせ武田がインを斬る。新田は後方まで下げる。単騎の選手達は近畿勢追走。浅井と園田の前後は流動的で脚を使ってまで3番手にこだわらないと思う。この時に武田がすんなり5番手に下げるなら早めの仕掛けで稲垣との叩き合いになる可能性もある。3番手なら少し待ってから2コーナー勝負か。早めの仕掛けで合わされても平原は外を踏む。遅めの仕掛けでも平原は武田を交わすだろう。後は新田が叩き合いになればチャンス到来となるが、展開待ち。その点から考えても平原が有利だ。

決勝メンバー

決勝番組
1番 園田 匠 福岡
2番 新田 祐大 福島
3番 神山 雄一郎 栃木
4番 稲垣 裕之 京都
5番 武田 豊樹 茨城
6番 浅井 康太 三重
7番 山崎 芳仁 福島
8番 平原 康多 埼玉
9番 村上 義弘 京都
車券推理
8=2-3569
8-5-6932
8=6-5239

結果

6-2-8    77.2倍(22番人気)

レース経過

初手の位置取りはほぼ予想通り。後方から稲垣が上昇。それに浅井が追走する。中団の武田は新田を斬りに行く。しかし予想以上に踏んだ。ペースが上がり叩き合いかとも一瞬思った。しかしこれは武田が3番手確保の作戦だったのだろう。この事で浅井と園田は外に浮くのを嫌い、関東勢の後ろに納まる。武田が3番手に入った事で関東勢に決まるかと思えた。1コーナーから稲垣の先行の番手村上が車間を切り始める。武田自身が詰まり気味だったのに加え、そこに村上のペースダウンが重なり完全に突っかかった。しかし関東勢先頭の責任で無理やり仕掛けた。当然にペースが上がり切らなかった。それを見逃さなかったのが平原。その外を捲りさすがと思わせた。そのタイミングで浅井は内を突き平原の後ろを確保。前団が仕掛けている中で迷うことなく内を狙った事が勝因だろう。結果論だが、平原が捲った3番手でも浅井の優勝だったとは思う。展開が少し違う形になってもあの位置なら優勝出来る。そのまま3番手なら行き場を失う可能性も出るだけに正解だった。そして新田。武田が3番手確保し、浅井と園田が後方になった事で平原まで遠くなった。展開待ちのレースだったが、それが全てだった。

車券的推理結果

2015年がグランプリで幕を閉じた。それと同時に浅井康太の新しい競輪人生がスタートしたと感じた。2016年、白いユニホームをまとった浅井がどんな進化を見せるのか楽しみにしたい。