25年振りに久留米で全日本選抜競輪が行われる。25年前の開催では台風が直撃し、夜中にバンク中央カメラ塔が倒れるアクシデントがあった。その事を記憶している。正しく激闘のシリーズだった。決勝は千葉ラインが制圧し、鈴木誠、滝澤校長のワンツーであった。そして昨年の全日本選抜競輪はギア規制後の最初のG1であった。昨年を通じてベストレースだったと感じている。大ギアのパイオニアであった山崎芳仁が優勝。一番苦しむかと思われた山崎であったが、本来の伸びを取り戻したかの様な動きだった。今年に入り徐々に世代交代の文字が大きくなってきた。本格化するのは今年後半になると思うが、このシリーズでもその事は言える。若手の代表の深谷知広。もうすでにタイトル戦の常連であり若手のイメージは感じないところもあるが、まだ26歳である。昨年末から深谷は復活以上の結果を残して来た。そして原田研太朗はスピードに磨きがかかり初の記念を制覇し今年最初のG1を迎える。両者に共通しているのは積極性が増した事。それがそれぞれの良さを引き出している。この久留米バンクはいわゆる皿バンク。先手有利。ここ最近の走りがあれば、積極的な走りが結果を生むバンクだけに活躍が期待される。そして初日が終え、一番動きが良かったのは平原康多だった。しかし2日目以降にその姿はない。残念な失格であった。期待した深谷と原田は見せ場なく敗退。深谷は押さえられ下げ切れず内に詰まった。中川誠一郎が遅れて来た事で迷う部分はあった。その事がここ最近の流れを断ち切った様にも思える。原田は渡邉一成をしっかり押さえ切らなかった事が全て。早期追い抜きもあり難しい事もあるが、残念だった。荒れた前半2日間。2次予選回りの上位陣が本来の調子ではない事。そこには世代交代の文字もある。大ギアで選手寿命が伸び、加えて若手の台頭が少なく、その限界が訪れたのかも知れない。本来であれば若手がベテランをねじ伏せての世代交代だが、年齢による形になった様に感じる。そして迎えた3日目準決勝。皿バンクに雨も加わり積極性が明暗を分けた。稲垣裕之の打鐘先行。前々に攻めた新田祐大に、カマシ切った近藤隆司。そして好調な渡邉の先行であった。後方に置かれタイミングを遅らした選手達は敗退。先行策、早めの巻き返しがやはり久留米バンクの攻略のポイントとなった。この事は決勝にも言える。最終日「決勝」は久留米バンクの特性に加え、2分戦が加わる。2分戦は先手絶対。過去からはやはり近畿ラインの脇本雄太が先行になる。それなら番手稲垣が抜け出す。村上博幸の交わしまで。それぐらい村上は仕上がっている。一方の北日本ライン新田は勝ち上がったものの、完調とは言えない。いい時の新田ならまくりでも届く雰囲気はあるが、それは今回感じない。寬仁親王牌でも渡邉を連れ不発に終わっている。菊地圭尚はその時も4番手だった。新田の出来が悪いだけに突っ張り先行もある。その時は番手の渡邉が優勝。その他の選手が優勝する時は脇本と新田のもがき合いの時だけ。しかし、それでもその3選手から優勝者が出る様に感じる。
展開予想
前受けはやはり新田先頭の北日本。そして単騎の近藤。同じく単騎の岩津裕介は近畿ラインの後ろも考えられるが、新田の突っ張りもあるだけに、近藤の後ろか。新田が近畿ラインともがき合えば近藤が早めに動く可能性もあるだけに、とりあえず近藤の後ろ。そして脇本先頭の近畿ラインが後方となる。脇本が上昇で岩津が反応するか。するなら近畿4番手は当然だが、それ以上の事をするかである。この動き自体が赤板前になるのでその時点では近畿ライン4番手が妥当。そして前受けの新田が反応するかである。新田が突っ張れば脇本は苦しい。脇本は苦しい展開でも一旦休み巻き返すレースも多いが、それは近畿ラインにとって最悪の展開となる。突っ張りが成功すれば渡邉の優勝。脇本が先行すれば稲垣か村上と先ほど言った通り。もがき合えば近藤や岩津の出番も十分である。このレースのポイントは新田が突っ張るかどうか。そしてその突っ張りは脇本の動きよりも早いかどうかである。
1番 |
新田祐大 |
福島 |
2番 |
稲垣 裕之 |
京都 |
3番 |
佐藤 慎太郎 |
福島 |
4番 |
岩津 裕介 |
岡山 |
5番 |
菊地 圭尚 |
北海道 |
6番 |
近藤 隆司 |
千葉 |
7番 |
脇本 雄太 |
福井 |
8番 |
村上 博幸 |
京都 |
9番 |
渡邉 一成 |
福島 |
2=8-743
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2=7-83
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9-1=3
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9-3-584
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レース経過
前受けはやはり北日本勢。その後ろに近畿勢で単騎の岩津と近藤が続く。そして赤板前に脇本が強引に北日本勢を押さえる。新田の突っ張りも予想されただけにしっかりと脇本が2本切り(外帯線の外側から外帯線、内圏線を一気に横切る事。重大走行注意。早期追い抜きもあり、合わせてマイナス2点)で北日本ラインを押さえ込んだ。そして打鐘あたりでトップスピードへと加速する。新田は6番手まで下げた。このままなら寬仁親王牌の繰り返しになる。新田は打鐘2センターから巻き返す。そして1コーナーを迎える。稲垣が新田をブロック。そして出るかと思ったが出ずにもう一度新田をブロックしにいった。雨バンクで滑りやすい状態であった。稲垣がスリップダウンで近畿ラインは沈んだ。1コーナーのブロックは正解。しかしそこからすかさず出るべきだった。誰が見ても捲られたと感じたはず。仮に新田が止まってもその上を渡邉が捲る。稲垣はペースアップしにくい状況になっている。そこが稲垣にとっては全てだった。確かに1コーナーから出れば村上に交わされる。その事もありタイミングを遅らせたかったのかも知れない。しかしそれはやるべき事をやっての2着か3着だったと思う。それならまたこの機会は訪れやすい。周りがそうしてくれる。しかしこれではそれが難しい。稲垣にとってはまた一からの出直しになった。優勝した渡邉に関しては、しっかりと来たチャンスをものにした。これから更なる活躍に弾みをつけるだろう。その理由は積極的な先行があり、それを結果につなげたからである。
競輪は常に明日へとつながっている。それが全てかもしれない。
車券的推理結果
9-3-1で的中。優勝するのは3人しかいないと言っていた。最終ホームでもその事は言えた。アクシデントがなくても、稲垣が落車し村上も乗り上げ、完全に福島のレース。ただ新田を3着候補にするか悩んだ方もおられるだろう。落車が無かったとして、その中で福島勢が出きっていた場合は3着は村上か岩津だったかも知れない。今回の決勝は分かりやすい競輪だったが、全体的には難しいレースが多かった。