日本選手権と名前の通りその年の日本一を決めるシリーズである。名古屋は超高速バンク。直線も少し長いがカントも立っていてスリリングな競輪になる。今年の注目はやはり深谷知広が勝ち切るかである。状態自体は仕上がっている。しかし久留米では上手く対応出来ずに終わったが、ここでは力を発揮出来る。そこには高速バンクがある。その番手になりそうな浅井康太も出来上がっている。決勝ワンツーも十分。そして平原康多は久留米での走りは異次元。しかし、失格で結果にはならなかった。巻き返しに注目である。
一次予選の最終で早坂秀悟が不発に終わったが、2日間通して本命視されていた選手が順当に勝ち上がった。早坂に関しては押さえられた時点で下げれば問題ないレースであった。組立と分析に疑問が残った。問題は武田豊樹である。落車絡み。その影響を差し引いても動きが悪すぎた。5日目「準決勝」10Rは新田祐大のまくりが炸裂。11Rは深谷が豪快な先行を魅せつけ、金子貴志もいい仕事をした。12Rは平原のまさかのイン粘り。浅井の牽制を警戒したのかも知れない。競りは浅井が捌き前に出たが、平原の内からの復活を警戒し締めに行った。外競りは2コーナーまで我慢が鉄則だが、先行する竹内雄作の掛かりが良く、浅井も苦しくなり平原を警戒し早めに決めに行ったのだろう。その事が落車につながった。平原の選択には少し疑問が残るが、競りに関しては迫力があった。
決勝は中部勢対近畿勢の2段掛けの叩き合い。動きは早い。近畿の先頭の三谷竜生の準決勝の走りは良くない。それだけに決勝はそれを払拭する先行をする。対する竹内は三谷との対決ならスピードに勝り、余裕がある。しかし三谷としては叩かれる訳にいかない。ゆえに早めの動きで竹内に対応するだろう。新田はそれを捲れるかの決勝である。
展開予想
前受は新田。中団は中部勢。後方から近畿勢と感じる。単騎の野田源一はその間か。そして青板バックでは三谷が竹内を押さえる。竹内は引き巻き返しの態勢をつくる。その状態になれば三谷は先行態勢に。竹内も叩きに行く。新田は早い動きで位置取りはしないと読む。その結果中部勢がいったん中団に納まるかも知れない。竹内にもその位置ならチャンスが生まれるが、竹内はそれをしないだろう。もう一度叩き返しに行く。川村晃司が番手捲りを打つ。竹内の番手深谷もその展開なら仕掛ける。そして深谷が出切る。中部ワンツー態勢に新田が外伸び届くかの展開とみる。勿論叩き合いが激化すれば新田の圧巻の一捲りが決まる。
1番 |
金子 貴志 |
愛知 |
2番 |
村上 義弘 |
京都 |
3番 |
新田 祐大 |
福島 |
4番 |
三谷 竜生 |
奈良 |
5番 |
岩津 裕介 |
岡山 |
6番 |
野田 源一 |
福岡 |
7番 |
深谷 知広 |
愛知 |
8番 |
川村 晃司 |
京都 |
9番 |
竹内 雄作 |
岐阜 |
7=1-326
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7=3-152
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1=3-725
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3-5-1267
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レース経過
スタートの並びはほぼ予想通り。野田が近畿勢の後ろに付けたぐらい。そしてレースも早く動いた。三谷が青板で竹内を押さえに行き、赤板で先行態勢を築いた。まだ後2周である。勿論全開で打鐘を迎える。この時に竹内はすかさず巻き返さなかった。そこには後2周あるという考えがあったと思う。ただその事で近畿ラインに余裕が生まれたと感じる。あそこで竹内が三谷と共倒れを覚悟出来ていれば、隊列は入り乱れていたかも知れない。近畿勢が先制し新田がその後ろを確実に取りにいった。そして打鐘4コーナーで竹内が巻き返す。近畿ライン番手川村が合わせて出る。4コーナーからはオーロラビジョンが選手の目に入る。川村はそれをしっかり見ていた。オーロラビジョンが無い場合は目視になり、後ろ見から態勢を整えるためワンテンポ遅れる。ここでは前を見ながら準備も整った状態から踏み出した。竹内が合わされ、その後ろの深谷も踏み出したが伸びない。川村が上手くつなげた事が深谷を不発に終わらせた。その深谷の動きで新田も被るのを嫌い踏み込んだ。3コーナー入口もあったがタイミングも合わず加速しない。そして村上のブロックで不発に。そこで岩津がインを突く。岩津は村上に当たられた時に返しに行ったが、それを避けるようにして、インを突いた勢いで前に踏めば優勝まであったと思う。しかし村上に当たり返しに行った。仮に村上に勝ったとしても、川村を抜けていないかも知れない。岩津の判断ミスだ。そして村上は岩津を締め込み競り勝つ。4コーナー外の場合は当たりに行った方が勢いがつく。そして村上が川村を抜き優勝した。
車券的推理結果
今回のダービーはどのラインからも優勝者が出てもおかしくないと思っていた。レース自体も早い展開はともかく見応えのある決勝になった。深谷が優勝し世代交代の第一章を期待した。竹内が青板過ぎから叩き合いを受けると思っていたので、計算が狂った。その事が近畿勢の3車にやるべき事だけに集中させたと思う。車券は惨敗だったが、2か月後に静岡ダービーがある事を考えたら村上か新田の優勝なら良い。他の選手が優勝したら少し可哀想な感じもするからだ。
今回のダービーは村上の名古屋ダービー3連覇。そして通算4度目のダービー王の称号を手に入れた。苦難と勝利の積み重ねがこの結果をもたらしたと思う。年齢との戦い。コンディションも良くない時は多い。しかしここぞのシーンでは流石の村上義弘であった。静岡ダービーでも期待したい。