解説&分析

「雨の宮杯」梅雨入りするとこのフレーズが浮かぶ。過去、高松宮記念杯は私のホームバンクである、大津びわこ競輪場で行われてきた。由来は高松宮家ゆかりの近江神宮の参道脇に大津びわこ競輪場があり、宮様が競輪の発展のために冠を授けて下さった事から始まった大会である。特別競輪固定場、東西対抗戦や増永広春さんの格式を感じさせるポスターが伝統と言う言葉を連想させていったと感じる。東西対抗戦は第一回からではないが、他の特別競輪とは勝ち上がりシステムが異なり、2次予選東西3個ずつが事実上の準決勝の雰囲気であった。現在は1次予選と青龍賞、白虎賞の初日だけが東西別れてとなっている。個人的には決勝で対戦しない過去の勝ち上がりシステムが高松宮記念杯の魅力だったと思う。現在はご存知の通り大津びわこ競輪場が廃止になり、持ち回りのG1となった。大津びわこ競輪場をホームバンクとしていた私にとっては寂しい限りである。今年は名古屋競輪での開催。3月にはダービーが開催され、そしてゴールデンウィークには今年度からのシステムで、静岡で再びダービーが開催されたが、ここはやはり名古屋ダービーの流れを踏まえることが重要になる。名古屋バンクは高速バンク。しかも6月になり気温が上昇しさらにその事は言える。加えてバック追い風で、梅雨の時期である。前団が圧倒的に有利になる。名古屋ダービーで消極的なレースの組立で失敗した選手達が、組立を変えてくると考えられる。逆に積極的な組立で結果を残した選手達は、いいイメージで入って来れるとは思うが、立て直しをしてくる選手達に対処しなければならないのもポイントになる。
初日1R1番で登場した吉田拓矢。スタートを取り赤板からの突っ張り先行。見せ場をつくるレースなのかと思わせたが、他の自力型を完封。差されはしたが内容も力も十分であった。そして青龍賞は関東が5車並び、新田率いる福島3車との戦い。関東は木暮先頭の平原、武田とならんでいったが、それを新田がまくれるかの展開だった。関東勢が圧倒的有利と思われたが、新田が踏み出した瞬間に勝負が決した。新田は抜群の出来を見せた。白虎賞は細切戦。中部勢が別れた。その中部勢の深谷と竹内の力比べに注目が集まった。しかし、レースは千両役者の村上義弘が一気に前団を飲み込む仕掛け。流石、村上とまたしても認識させられた。勝ったのは原田であったが、こちらは名古屋ダービーも消極的な組立で失敗した。ここも消極的な走り。しかし流れに乗れ、まくり切った。この事が原田にとっては同じ轍を踏む結果につながるのではと懸念する内容だった。2日目2次予選でから勝ち上がった自力選手は勝ちっぷりが良かった。そして強い印象を与えた。ただ吉田拓矢に関しては、勝ち上がりはしたが内容が無かった。仕掛け所を逃し流れ込んだ形と言って良い。吉田の年齢を考えるとまだまだ経験不足は仕方ない。これから学んで行ってくれるだろう。「龍虎賞」は新田が緩急を付けた先行で逃げ切った。新田は余裕さえ感じさせた。3日目準決勝10R。深谷にとって苦しい番組構成が迷いになったか。見せ場なく敗退。しかし、ここから先も番手まくりを粉砕する事。それがタイトルへの道になるだろう。11R。深谷同様に苦しい新田がまくり追い込みで何とか3着だったが、こちらは迷いなく状況を受け入れた。ただ深谷とは置かれている立場が違う事はある。12R。武田と大塚の見応えのある番手戦。プライドを感じたいい勝負だった。展開をものにしたのは浅井だった。3日間を終え、シリーズリーダーは新田と感じる。準決勝こそ苦しい構成だったが、何とかクリア。決勝では積極的な走りでファンの皆さんを魅了してくれるだろう。

展開予想
まず、このレースは浅井康が鍵を握る。展開は龍虎賞を思い浮かべ、そこから浅井が仕掛けを修正。地元勢を引っ張る形もあるが、あくまで優勝を狙うと考える。その形から吉田敏が差して優勝もある以上、許される。そこからの結論。そして龍虎賞と構成は同じ。ここでも新田の先行が有力。中団は平原。後方から浅井がかます展開。単騎の村上は先手ライン追走から。ゆえに新田の3番手になる。最終ホームから新田と浅井のもがき合い。そしてバックからそこに村上と平原が加わる展開になる。

決勝メンバー

決勝番組
1番 浅井 康太 三重
2番 新田 祐大 福島
3番 平原 康多 埼玉
4番 諸橋 愛 新潟
5番 村上 義弘 京都
6番 郡司 浩平 神奈川
7番 金子 貴志 愛知
8番 吉田 敏洋 愛知
9番 山崎 芳仁 福島
車券推理
2=9-5314
2=1-9835
1=8-3597

結果

2-6-1    968.5倍(292番人気)

レース経過

浅井が前受。新田が中団。後方に平原で単騎の選手達。およそ予想通りの並びで周回を重ねる。平原が上昇し単騎の郡司と村上が続く。ここで村上がインを切ると思ったがそのままの位置。そして浅井が下げる。しかし平原の3番手に留まった。平原は新田待ちで、新田も浅井が下げて浮いたら上昇の感じだったので、新田は上昇しない。平原も思惑とは違う展開で仕掛けられずスローになる。ここで勝負ありと感じた。新田の踏み出しが活きる展開になった。しかも自分のタイミングで仕掛けられる最高の流れだ。そして新田が優勝した。

車券的推理結果

予想の展開では無かったが、本命視した新田の優勝。郡司が2着で高配当になった。調子は良かったが狙い目からは外していた。浅井の動きを読めていなかった事が全てだと思う。

浅井の選択が新田に味方した。鍵を握った浅井の選択は、やはり下げてのカマシ勝負が正解だったと思う。置かれている立場や状況で選択は変わるが、見せ場を作れなかった事を考えると反省の多いレースになった。優勝した新田は調子さえ良ければいつでもG1を獲れるレベルにいる。このままタイトルを量産しそうな勢いである。