松戸で2年連続開催となるオールスター。秋から夏へ移動し、今年から真夏の祭典。松戸記念がこの時期に開催されていた事もあり、夏のオールスターも自然に感じる。33バンク先行有利には変わりないが、細切れ戦が主流の時代になり位置取りが最重要でもある。そして、若手も出場しやすいGIである。今年タイトルを獲った選手は渡辺一成、村上義弘、中川誠一郎、新田祐大になるが、逆に苦戦しているのは武田豊樹、平原康多の俗に言う関東ゴールデンコンビである。今年はダービーが2回開催されタイトルが7つ。そしてオリンピックの年であり脇本雄太がメダルを獲り、複数タイトルを獲る選手が現れなければ賞金ランキングで出場できるのは一人だけになる。その観点からもタイトルを獲る事がグランプリへの道である。関東両者の立て直しは注目である。
初日もう一つのタイトルと言われるドリームレースが行われた。ファン投票による9選手だが、昨年のグランプリとほぼ同じメンバー。展開もその流れの中になるが、深谷が加わった事によりグランプリチャンピオンの浅井が番手戦になる。そしてグランプリで先行した稲垣だが、当時の背景とは違う。当時は競輪祭直後でその失敗を取り戻す事が頭にあった稲垣。しかしここではそれは終わっている。深谷先行。稲垣3番手。5番手平原。後方新田の様相である。レースはその通りに流れた。結果は深谷の先行力は評価出来、勝った新田は別格の出来であった。関東勢は平原がここまでの様な動きがなく、逆に武田が久し振りに良かった事だ。4日目「準決勝」では番手捲りが想定される3個レース。レースもそうなり、勝ち上がった選手全員が最終ホーム2番手から5番手までの選手であった。この事から感じる事は、層が厚い地域が有利にレースを進められ、しかも早めに出て行く形態である。力の競輪から地区の競輪へ変わった。33バンクもあったがそう感じる。結果勝ち上がった9選手はいつものメンバーになる。若手の疾風は吹かない。若手は準決勝まで。それはマーク選手がいなくなった事の結果だ。横の動きを闇雲に制限した事の結果でもある。仮にマーク選手がいれば若手を普通に先行させそれを残す動きになる。若手が勝ち上がれば盛り上がる事は言うまでもない。
展開予想
前受けに新田。中団は平原か村上になる村上にとっては1番車で中団も取りやすいが、後方でも展開はほぼ変わらない。中団でも平原が新田を切ってくれる。後方でも動く素振りを見せれば平原が新田を切るからだ。そして村上が先行。単騎の中村は5番手が基本で内をすくう事も少し。平原は中団で新田後方になる。平原は準決勝で稲垣の番手捲りの3番手にいた。その事は準決勝で確実に3着に入る仕掛けを選択したとも言えるが、今節の平原では苦しいのかとも言える。苦しいのなら勝てない。ならば稲垣が番手から出る前に仕掛ける。その時は武田と新田での争いか。基本は稲垣が番手捲りで優勝になる。
村上、稲垣の並びについては、色んな事が考えられるが、それは別として個人的には稲垣が前で勝負して自分でタイトルを獲って欲しかった。しかし準決勝の流れもあり、番手捲り全盛の時代もある。そして、この並びは競輪祭決勝を思い出す。その時は稲垣がチャンスをものに出来なかった。しかしそれから約5年。稲垣は誰の目から見ても成長した。稲垣から行く。
1番 |
村上 義弘 |
京都 |
2番 |
平原 康多 |
埼玉 |
3番 |
岩津 裕介 |
岡山 |
4番 |
木暮 安由 |
群馬 |
5番 |
稲垣 裕之 |
京都 |
6番 |
菅田 壱道 |
宮城 |
7番 |
武田 豊樹 |
茨城 |
8番 |
中村 浩士 |
千葉 |
9番 |
新田 祐大 |
福島 |
5-7-3298
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5-7-3298
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5-8-3792
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7=9-462
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レース経過
前受けは新田。少し牽制があって村上が中団を選択。そして後方に平原である。このスタート牽制は何を意味するのかと思った。平原は中団でもいいはず。そのまま周回を重ね平原が動き出す。それに合わせて村上は平原を出させない。そして先行態勢。4番手には予定通り中村。平原に新田を切らせて村上の先行と誰もが考えていたはず。しかし合わせて出て行った。平原に先行の雰囲気があったのだろう。それはスタートの位置取りで確信に変わったのかも知れない。ただこの展開なら当然、新田が中団になる。そこは稲垣の力勝負に託すしかないと考えたと思う。脚を使わず新田が5番手に入った。稲垣の番手捲りでもその位置なら新田は捲る雰囲気はあった。新田の番手菅田が競り負けた形で下がって行き、平原が新田の後ろになった。平原も脚を既に使っているだけに新田が捲っても差せない。ライン先頭の責任も果たせないと感じていたと思う。その事で新田をすくったと思う。そしてこの事で一気に京都勢に流れがいった。決まったと思った。番手まくりに稲垣で。しかし岩津が差した。岩津は今シリーズ気配がなかった。しかし決勝はやる事は一つ。タイトルを獲るには稲垣を交わすだけである。形振り構わず抜きに行って中を割られようが、どうなろうがそれしかない。それが岩津に味方したと感じる。抜かれた稲垣は仕方ない。ただやはり敗因は村上に「自分で勝負させて下さい」の気持ちが無かった事か。昨今の競輪は番手捲り全盛である。その3番手が有利になってきている。それが表れたレースだ。
車券的推理結果
オールスターでは新しい流れがなかった。それはマーク選手がいなくなってきた事も影響していると感じる。若手先行選手をフォローし決勝まで勝ち上がればレースは盛り上がる。しかし準決勝でのラインの引き出し役でしかない。そしていつものメンバーになる。闇雲に横の動きを制限するルールから、適切な判断が出来るルールにそろそろ変わっていってもいいのではないだろうか。