解説&分析

寬仁親王牌・世界選手権記念トーナメントが6年振りに前橋に帰ってきた。それまで弥彦で開催され、長いゴールまでの直線が鍵だったが、ここ前橋競輪場は位置取りが重要になる。オールスターから33バンクが続き、選手もそれに対応してきた。ここが一つの節目。そしてグランプリシートも徐々に絞られた。しかし予断を許さない状況である。前橋は当然、先行有利。ただ距離の長い仕掛けが必要。その事から脇本雄太に初日から期待。ここでの実績もある。予選組では若手の先行選手が目白押し。例年は寬仁親王牌独特の選考基準で全プロでの成績が考慮されえる。そのため若手の先行選手が出場しやすい大会である。しかしその多くの若手選手は純粋に競輪の成績だけをみると、GIに出場出来る選手ではない。そのため各地区の引き出し役になる事が多い。しかし今年は既に実績を上げている選手が多く、人気を背負いながらの勝ち上がりになる。準決勝ぐらいまで勝ち上げれば引き出し役になる。その意味では番手まくり全盛のこの時代には、上位陣には重要な若手選手かも知れない。その中でも誰が抜け出すかも楽しみであった。

展開予想
前受けが深谷でも脇本でも中団は平原が位置する。後方が大阪勢になる。脇本が何れにせよ先行。中団が平原。後は平原が番手を攻めるかである。中団すんなりなら4番手からの捲り追い込みで勝負か。これは脇本のかけ方にもよる。そして隊列が棒状にならなかった時は位置取りに変化が表れる、その時は平原が番手にいるかも知れない。平原の後ろは園田がいる。内は空くレースではあるが。後は深谷に乗る浅井の伸びである。何れにしても脇本が先行を想定しての考えである。古性に関しては平原の前に位置したいが平原の方が一枚上と考える。仮に4番手に古性が入ったならこちらは捲り勝負だろう。何もなければ稲垣が抜け出す。オールスターより先行が強い。3番手に気配がない。

決勝メンバー

決勝番組
1番 浅井 康太 三重
2番 平原 康多 埼玉
3番 稲垣 裕之 京都
4番 深谷 知広 愛知
5番 村上 義弘 京都
6番 古性 優作 大阪
7番 園田 匠 福岡
8番 南 修二 大阪
9番 脇本 雄太 福井
車券推理
3-5-912
3=1-952
2=1-37
2-7-13

結果

3-2-5    39.6倍(6番人気)

レース経過

前受けに深谷。中団が平原。その後ろが園田。そして脇本ラインで、大阪勢で周回を重ねる。想定の並びである。そして古性がインを切り脇本が続くと思ったがタイミング的に早いと判断したのか脇本は付いて行かない。その時に平原が古性を切るかと思ったがそれもなく。そして脇本が発進。古性は中団狙いなので先行争いも番手飛び付きもなく脇本は楽に先行態勢となった。平原が遅れたが深谷の位置に追い上げ態勢は出来る。近畿勢が5番手まで固めた様な形で、稲垣の優勝は濃厚となった。4番手の古性は別線勝負なので当然まくりに行く。そして稲垣が番手捲り。ちょっとタイミングが悪くもこもこした感じだった。そして平原が古性の仕掛けで出来た内に入り込み村上を退け稲垣とゴール勝負。またかと一瞬思ったが稲垣が踏ん張り優勝。

車券的推理結果

悲願達成。この言葉が一番似合う男である。その稲垣裕之がようやくタイトルを手にした。ここまでチャンスと言うより勝つべきレースを落としていた。ここでも際どいゴール前になったが、踏ん張りきった。ようやくタイトルホルダーの仲間入りを果たした。GIで走り始めた頃はスピードがあるがか細い選手の印象であった。その要因の一つに性格的なものと、勝負どころ、そして役割を理解していない事がある。その事も経験を積み、けれんみないスタイルに徐々に変化。しかし、GIの決勝では以前の稲垣が垣間見えた。今回も少し気配は感じた。しかし、それに打ち勝った。それが稲垣の勝因だろう。今年はタイトルを獲ってGPに挑む。競輪祭をまだ残すが、昨年とは別人の稲垣の姿で、GPを魅了する事に期待したい。