解説&分析

競輪発祥の地である小倉。そしてその生誕祭が競輪祭になる。開催時期が少し変動した事もあったが、11月が本来の競輪が生まれた月である。多くの選手が今年最後のビックレースになり、それぞれの選手の集大成になる。ただこのバンクは展開が全てである。ゆえに展開を作れる選手と、展開にハマった選手が活躍する。そしてこの時期はGPシート争いである。ボーダーラインの選手も、決勝で1,2着が権利。後は優勝のみなので、基本普段と変わらないと考えてよい。
そして迎えた初日。GPボーダーライン上の選手は全員いいレースをし、2日目につなげた。一次予選では吉田敏洋がけれんみなく勝負所できっちり仕掛け、そして竹内も楽な展開とは言え圧巻の先行だった。特選では平原が外競りから4番手を奪い、山崎の番手まくり視野にいれつつ自分のレースに徹した。3者3様だったが出来の良さを感じた。初日を見て、平原の優勝候補筆頭は揺るがない。流れも引き込み、このままGPへ突っ走ると感じた。
2日目「二次予選」一見竹内の楽な構成と思われたが、南関勢の番手まくりに竹内が、その番手吉田敏洋は木暮に競り込まれ両者共に散った。GPはほぼ消滅となった。それを見つつ深谷がいかんなく力を発揮。番手浅井は車輪が潰れ追走出来ず。GP確定だが、こちらは不運だった。そして武田も最悪の展開となったが、凌いだ。
3日目「準決勝」10R。吉澤の迷いのない先行。それに答えた武田の1着。三谷は4番手確保したが一連の動きに対して読みが甘かった。新山も3着に届いたが、少し残念。11R。深谷の4番手をキープした新田が早めに勝負。そこからのまくりでも十分ではあるが、いい位置だった事がそうさせたのだろう。12R。脇本が先行選手のプライドを吉田拓矢に見せた。勝ち上がりよりも大事なものを守った。吉田もここを乗り越えないと本物になれない。まくった平原は流石だった。平原は2日目優秀での走りは仕方ない。やはり3日目を終え平原がシリーズをリードしている。
4日目「決勝」流れは平原にある。その関東勢は平原、武田、芦澤の布陣。中団キープも容易なメンバー構成で優位揺るがず。そして先行しそうな新山。準決勝が良くなかった事が決勝に影響する。ゆえに先行有力になる。番手は新田。シリーズ通して新田は新田だった。競輪の深みは全く感じないが、破壊力は群を抜く。そして深谷。ここは連日力の競走で勝ち上がってきたが、流れを感じない。後は単騎の稲垣に近藤。この両者は展開に乗って勝ち上がってきた。決勝の位置取りに期待は出来ないので、一発勝負になる。
GPシート争いも考えに加え、やはり新山が先行。深谷は優勝か2着なら平原が4着以下と条件付きでGP。ゆえに一発狙いか。中団は平原になる。ここは下位の選手が優勝し深谷が2着で4着以下に沈んだ時のみがGPの権利が発生しない。この条件のみなので、ほぼ当確だが、このパターンはあり得る。平原が早めにまくり武田が交わし、深谷が捲り追い込むと、容易に想像出来るパターンだ。平原番手の武田は2着まで。その2着でもGP権利を持っているもの以外が優勝すると届かない。その他の選手は優勝のみである。

展開予想
スタートは深谷。中団に関東勢。後方に北日本勢。単騎の両者は関東の後ろか後方。新山が押さえる前に単騎の選手が切るかどうかだ。切らない限り好位はない。仮に切らなければ、新山先行態勢になった時にあっさり平原が中団に収まる。切れば3番手もある。ただ平原にとって中団に単騎の選手が収まった時はタイミングが難しくなる。ゆえにその動きがあるならさらにインを切り中団確保に動くとみる。結局、単騎の選手は関東勢の後ろ。深谷はさげ8番手。ここから強引に叩けるかどうか。平原は必ず動く。3番手からのまくり追い込みはない。それが平原のスタイル。それを交わす武田が本線の読み。ただ新山が流すようなら平原は後方からの深谷の動きを警戒し先行もある。いずれにしろ武田とのゴール勝負。単騎の選手が切らずに新山ラインに付いてきた場合は、新田の所で粘る事もあるだろう。この場合は深谷に巻き返すチャンスが出来る。深谷が出来ってしまえば金子の交わし。新田が番手になるが仕掛けどころが難しい深谷の動きに合わすなら、その場合に限り平原は3コーナーのまくり追い込み。深谷が来ず、平原が2コーナーまくりなら新田は難しくなるので、いずれにしても2コーナーでは仕掛ける。やはり関東勢有利だ。

決勝メンバー

決勝番組
1番 深谷 知広 愛知
2番 新田 祐大 福島
3番 武田 豊樹 茨城
4番 新山 響平 青森
5番 金子 貴志 愛知
6番 近藤 隆司 千葉
7番 平原 康多 埼玉
8番 芦澤 大輔 茨城
9番 稲垣 裕之 京都
車券推理
3=7-829
2=7-3
2=3-79
5=1-7392

結果

7-3-9   67倍(12番人気)

レース経過

前受けを北日本が選択した。この事で深谷が仕掛けやすくなった。中団は関東勢。そして深谷ラインに稲垣、近藤と続く。北日本は上位独占を狙ってのカマシ先行選択だったのか。しかし深谷はすんなり先行である。新山が叩ける確率は低い。結果もそうなり北日本ラインは崩壊した。深谷の上昇に追走した稲垣。平原も3番手の位置が欲しかったと思うが、少しあんこになり締め込まれる危険も伴い、稲垣を平原は容認した。ただこの動きに近藤が付いて行かなかった。これは平原にとっては迷う要素が減った。しかし稲垣に1車が新田と被り、稲垣の仕掛けもあり、中々平原は仕掛けられずタイミングを取れなかった。3コーナーでようやく仕掛ける事が出来たが、タイミングが取れてない分スピードが乗らない。番手の武田も少し迷ったかも知れない。4コーナーでは山おろしも手伝い一気に伸び、優勝。

車券的推理結果

平原は昨年、手首骨折のアクシデントもあり苦しんだ。その流れで今年も不運のレースが続いた。そしてGP出場も窮地に追い込まれた。しかし最後の大一番で答えを出した。勢いも加わりGPでは平原の存在が更に大きくなるだろう。

競輪界は今年の後半から売り上げが減少の一途だ。これは今の競輪をファンの方が受け入れてない事が最大の要因だろう。番手まくり全盛。新人は引き出し役になる事がほとんど。ゆえに新風も吹かない。ファンは今回、新山の決勝での先行に期待したが、叩けずである。ファンは納得しない。新田が競輪の組立を普段しない。その意見が反映した選択だったかも知れない。今の新田を作ったのも今のレース形態である。転換期に来ていると更に感じた競輪祭であった。