高松宮記念杯が16年振りに本来と言うべき東西対抗に戻った。この間GIIの東西王座戦があった事、GIの準決勝が2個番組より3個番組が良いという考え方があった事で、高松宮記念杯の歌い文句である東西対抗の色が薄れていった。ただ唯一無二のGIであり伝統を一番感じるGIの特色であったので残念であった。本来の高松宮杯は大津びわこ競輪場で開催されるのが理想であるが、その大津びわこ競輪場も今は存在しない。由来は天智天皇、大津京の時代までさかのぼる。天智天皇が建立した近江神宮。時の守護神。その参道に面し近江神宮外苑公園内にあったのが大津びわこ競輪場。そして高松宮様がその大津びわこ競輪場の発展のために杯を授けてくださって開催され始めたのが当時「高松宮杯」であった。そこから数々の歴史が積み重なり、高松宮記念杯に名称を変え開催され続けてきた。それからびわこ競輪場が廃止になり現在の持ち回り開催の姿になったのである。ゆえに高松宮記念杯には一番伝統を感じるGIである。勿論、個人的にも高松宮記念杯には特別の思い入れがある。ホームバンクであった大津びわこ競輪場。初めて競輪を見たのも高松宮記念杯である。当時は中学生。競輪の存在すら知らなかった。学校から帰宅し何気にテレビで競輪中継を見たのを今でも覚えている。近畿のGIではなく、大津びわこ競輪場のGIである。その伝統、本来の東西対抗に戻った事、競輪場は変われど継承がふさわしいと感じる。
初日、西の「白虎賞」と東の「青龍賞」。白虎賞は村上義弘の状態が気になり見極めレース。三谷竜生が先行し深谷知広の巻き返しを許さなかった。結果的には原田研太朗が1着だったが内容はあまり感じない。村上は苦しいシリーズになる予感。2着に入った浅井康太の動きは良かったが切り替えが疑問。青龍賞は早めの展開で吉田拓矢が先行態勢。早過ぎたために叩かなければならない展開。その中で平原康多が2コーナーから自ら捲り武田豊樹が1着。平原が安定した力を発揮した一戦であった。そして2日目は2次予選。東西の準決勝ともいえる。他のGIとは違い優秀競走がない。全員が2次予選まわり。自力型が多いゆえに番手捲り番組も多く存在する。力もそうだが、番組で結果が左右する部分が今回は特に大きい。なぜなら準決勝になる東西王座戦で2個レース。2次予選さえクリアすれば出来の良い選手は届くからだ。先程言った浅井の切り替えは各地区2次予選3個レースになり、初日深谷の3番手を回った浅井は、番手金子と深谷が分かれて、金子貴志と浅井も分かれる。確率的に2分の1で深谷との組み合わせになるからだ。後方での切り替えは先行選手にとってはマイナス要素でしかない。準決勝、西王座は近畿勢の叩き合いを稲垣裕之がかましきった。1着になった山田英明はバックで椎木尾拓哉と絡み失速したが見事な立て直しだった。村上義弘も悪い状態ながら良く踏ん張った。東王座は新田祐大がいつもと違いスタートを出ず位置取りに出た。それほど関東勢を脅威と感じていたのだろう。権利取りの競走であった。
展開予想
決勝は吉田が5着で勝ち上がりやはり関東勢有利。誰が関東勢を崩すかのレース。それはやはり稲垣になる。スタートは新田。ここは権利取りのレースではない。関東に稲垣が仕掛けていく展開でありそれを捲れる組立か。山田がその後ろで京都勢。そして関東勢の周回と読む。2月の全日本選抜では三谷の先行で平原が飛び付き稲垣と競りになり平原が楽に競り勝った。ここは逆の立場になったが、村上がいるだけにそれはないと感じる。稲垣が強い気持ちを持つ選手ならそれもあるが、そこまではないだろう。やはり吉田が早めに先手を取ったところをホームで叩きにいく。中団確保は山田だが、今回の新田は積極性がある。もがき合っているところで仕掛けるとチャンスはある。待つとやはり平原が出ていく。スタートの並び的にもこの展開が有力である。一発はやはり新田。村上は見た目にも良くない。しかしここ一番では結果を残す選手である。そして山田は混戦になる事と、内ががら空きになりそうなメンバーなので突っ込めれば無いことは無い。勿論、関東勢優位。ゴール前は平原と武田のマッチレースの可能性が高い。
1番 |
村上 義弘 |
京都 |
2番 |
新田 祐大 |
福島 |
3番 |
平原 康多 |
埼玉 |
4番 |
山田 英明 |
佐賀 |
5番 |
稲垣 裕之 |
京都 |
6番 |
成田 和也 |
福島 |
7番 |
吉田 拓矢 |
茨城 |
8番 |
井上 昌己 |
長崎 |
9番 |
武田 豊樹 |
茨城 |
本線
別線
レース経過
前受けは迷わず新田。そして村上が取り近畿勢。そして九州勢で、最後方が関東勢で周回を重ねる。まず関東勢吉田が動き出し稲垣がそれに合わせて出ようとした。イン切りの動き。ただ吉田の動きに山田も反応した。この動きを稲垣は考えていなかったのだろう。稲垣にとって、それが全てだった。そして仕掛ける位置にいられず、混乱の中で無理矢理合わされそうな雰囲気の仕掛けになった。山田が4番手確保から稲垣の仕掛けで関東勢が内を開けた所を潜り込んだ。ここで平原に内まで行ったが、武田の位置が理想だろう。勢い余っての感もあるが、自分で捲るか切り替えなければならない。平原にそれを任せるのが良かったのではと思う。そしてその混乱を新田が一気に捲った。
車券的推理結果
今回は完全なる東西対抗に戻った高松宮記念杯。準決勝である東西王座戦は賛否色々あると思うが伝統を継承する事は大切である。ただ500バンクだからこそ生きた番組構成だったのかも知れないとも感じた。しかしこれが高松宮記念杯である。来年も王座戦を楽しみにしたい。