解説&分析

平塚は昨年のGPを開催したが、ダービー開催は11年振りである。このバンクは先行が圧倒的に有利で、先手ラインから優勝者が出る事が非常に多いバンクである。ゆえに位置取りが重要であり、後手を踏めばノーチャンス。無理をしてでも早めに仕掛ける必要がある。昨年のGPは新田祐大に勢いがあり人気もその様になっていた。しかし捲り不発。優勝は、深谷の先行で番手の浅井であった事からもその事は言える。初日の特選では新田が登場し、GPの経験を活かせるか。同じ轍を踏まないよう走ると思われた方もおられると思うが、相手は脇本雄太である。脇本が掛け村上義弘が交わし1着。新田はGPと同じ事をした。それは仕方ない部分でもある。選手が染みついた自分の戦法を覆すには、余程の事がないと難しいのである。それはやはり性格から戦法が決まるので、仕方無い事なのかも知れない。平塚は先手の番手が優勝に近いと言える。4日目2次予選が終了し、準決勝のメンバーに新田や平原康多の名前は勿論あるが、苦しんで勝ち上がってきた。新田の2次予選は仕掛けるポイントで仕掛けず、結果繰り上りで勝ち進んだ。平原も持ち味である位置取りに冴えが無く、かろうじての印象である。両者に言える事は、先行策に自信がない事だと感じる。先手有利だが、先行すれば末脚に不安がある。その結果として、不安を抱えながらのレース運びとなっているのだろう。それが先手有利なバンクで後手を踏む要因と感じる。5日目準決勝は9R脇本雄太が余裕の逃げ切り。10R三谷竜生が後方に置かれたが、早めの巻き返しで連覇に望みを繋いだ。11Rは浅井が番手戦を活かした。いずれも、先程言った方程式に当てはまる結果となった。決勝に勝ち上がれなかった平原は、連日の仕掛け遅れで残念だった。そして勝ち上がりはしたが、新田の連日の中途半端な競走内容は消極的であった。
決勝は近畿が4車並ぶ。ライン先頭が脇本。番手に三谷、3番手に村上義弘で村上博幸。別線も考えられたが、それはそれで村上兄弟の選択は非常に難しくなる。4車並びですんなりなら、脇本の出来が抜けているだけに三谷の連覇濃厚だろう。その三谷も脚的には不安はない。すんなりいくかどうかである。ただ連日の脇本の走りから、脇本は自由に走らせて貰えることはある。

展開予想
スタートは、浅井がいつも通り出るかである。出れば山中に切られ7、8番手になるが、ここ最近のレース、G3であるがそれを受け入れてのレースをしている。しかしこのレース、このバンクで後方では勝てない。それならスタートは脇本が出る。出れば1番車の浅井が中団で新田がその後ろ、そして千葉勢になる。山中が早めに動き脇本を押さえる。浅井が山中の動きに乗る。そこから更にインを切るかである。切らなければ脇本がカマし後方になる。切るなら5、6番手になる。飛び付き狙いなら、切らずに脇本の動きに合わせて上昇で番手勝負だろう。ただこの戦法は、前団にいる山中に閉められれば苦しい。その時は、山中が飛び付けるなら無理矢理飛び付くだろう。しかしメンバー的に脇本の先行以外考えにくく、脇本がカマしっぽく行くなら飛び付けないだろう。結果的には、メンバー構成を活かし脇本がすんなり先行。外から競る選手もいないので、ラインごと出切る。3番手の村上義弘が、中割り出来るなら少しチャンスはあるが、それはない。むしろ4番手の博幸が3着が精一杯だろう。番手三谷の優勝。ゴールデンレーサー賞の勝者はダービー覇者になれないというジンクスがあるが、脇本にそれは無い。ゆえに番手がもつれれば、脇本の逃げ切りもある。

決勝メンバー

決勝番組
1番 浅井 康太 三重
2番 新田 祐大 福島
3番 脇本 雄太 福井
4番 和田 健太郎 千葉
5番 村上 博幸 京都
6番 山中 秀将 千葉
7番 三谷 竜生 奈良
8番 香川 雄介 香川
9番 村上 義弘 京都
車券推理
7-9=3
7-9-351
7-391-391
3=16-16485
3-1659-1659

結果

7-9-3   30.4倍(4番人気)

レース経過

スタート合戦から始まった決勝。結果枠なりの並び、脇本先頭の近畿ラインは後方になった。脇本はラインである近畿勢に、どんな仕掛けをしても文句を言わせない走りを連日している。それだけに、この初手の並びで脇本の仕掛けは決まったと思う。打鐘カマシ先行。予想通りの一気の仕掛けである。そして4車出切り、後続を引き離す。他のラインがスタートを取りに行ったからには、何かしらの策はあると思ったが何も無かった。山中が動かないと単調なレースになるが、山中は動かなかった。脇本が押さえた上をカマそうと考えたのかである。それは脇本の過去の走りから考えても無理だと思うがそうなった。近畿ラインが4車出切った時点で勝負あり。後は2着が脇本の逃げ粘りなのか、村上義弘の追い込み2着なのかだけである。
結果、日本一の競輪選手に輝いたのは2年連続で三谷、村上義が2着であった。