解説&分析

初夏の空気が流れる中、今年も高松宮記念杯が岸和田で行われました。びわこ競輪場をホームとしていた私にとっては、同時に寂しい気持ちも湧いてきます。歴史的には大津京の時代に天皇家が近江神宮を建立された参道脇にびわこ競輪場があり、そこに訪れた高松宮様がびわこ競輪場の繁栄のために杯を授けて下さった事から高松宮記念杯の歴史が始まる。当初は女子競輪の妃賜杯もあった。そして高松宮記念杯の勝ち上がり形式である東西対抗戦と変化し現在に至ります。そこからびわこ競輪場が廃止され持ち回り開催へとなりました。ここ最近は近畿発祥のGIと言う事で岸和田開催が定着しつつある。しかし歴史をひも解くと近畿発祥の意味はなく、びわこをホームバンクとしていた私には違和感があります。そして今年から勝ち上がりが変更し、東西王座戦がなく、準決勝4個となった。昨年の準決勝は権利取りの様なレースになった事からかも知れません。しかし東西戦をうたっている以上王座がないのは不自然があります。東西王座すなわち準決勝は2個では勝ち上がりレース2個では売り上げ面からからの改善でもあるでしょう。ただやはり歴史の継承、伝統を考え引き続けるなら東西王座2個レースであると思います。それが歴史になり、伝統となりファンの方を引き付ける要素となって行くと思いますし、そうなっていたと思います。その影響で1次予選は緩い勝ち上がりがGIらしくありませんでした。過去、立川でのダービーで4個準決勝がありました。私も決勝戦に勝ち上がりましたが、メンバー的にはもの足りない感じでした。やはり2着権利が響いたと思います。今回の準決勝では平原が3着に沈み決勝に乗れなかったが、3番手確保の2コーナー捲りで3着は逆に平原自身の問題と感じた。全体的には準決勝は激戦であり、ビックネームや調子のいい選手も姿を消した。
決勝のメンバーを見ると脇本の力が抜けたメンバーとなりました。そして関東勢同士での競りもあり、違った意味で見所のあるレースとなった。吉澤がライン先頭は当然である。そして同県、師弟関係の武田が順当に番手と思いました。しかし木暮が吉澤の番手を主張した。ここ最近では武田と木暮が同乗で目標がなければ、木暮が先頭で戦ってきた。木暮の気持ちにはそれもあるのかも知れない。しかしここは関東3番手が当然と感じます。コメント的には優勝出来る位置で番手を選択である。しかしこのコメントは対外的な事でしょう。競輪道から言うと関東3番手を嫌うなら、脇本の番手が筋道です。この事で俄然、近畿勢が有利になり、三谷のGI連覇も見えて来ました。

展開予想
前受は原田と考えると吉澤が7番手からになる。吉澤が先行勝負ならその位置もある。しかし番手が競りになった以上先行勝負はない。しかし吉澤が脇本の先行を捲れるとは考えにくい。吉澤自身がその辺をどう考えるかによるが、捲れないと考えるなら番手勝負しかない。外からは考えにくいので内からの飛び付きと言うより、粘る形に持っていきたいと思う。それならスタートを取って脇本の上昇を待つ。しかし原田がいるのでペースを上げず確保したい。ペースを上げると脇本がカマス展開になり、飛び付きにくくなるからです。脇本はダービーの決勝では勝つことより、力を発揮するレースをした。ここでもそうなのか。しかし今回は「敵は後ろです」とコメントがありました。ならダービーの決勝の様なカマシ先行はないと考える。吉澤が飛び付くなら、それは好都合になる。その観点から考えると、番手がもつれ脇本の逃げ切り。すんなり近畿が出っ切るなら、三谷のGI連覇である。後は原田と菅田であるが、吉澤が粘った場合でも捲りは厳しいと思います。ただ番手がもつれてハマりながらなら少し優勝もあり得ると感じます。

決勝メンバー

決勝番組
1番 脇本 雄太 福井
2番 武田 豊樹 茨城
3番 三谷 竜生 奈良
4番 山田 英明 佐賀
5番 村上 博幸 京都
6番 菅田 壱道 宮城
7番 吉澤 純平 茨城
8番 原田 研太朗 徳島
9番 木暮 安由 群馬
車券推理
1=3-5
3-5-1
1-7-2586
86-1-864

結果

3-1-8    53.5倍(11番人気)

レース経過

前受は近畿勢。そして中団は原田ラインで単騎の菅田が続き、関東勢で周回をかさねる。そして赤板前に吉澤が上昇し、注目の競りは木暮がしごく様な形で上昇した時に武田が内に入る。木暮はしごきに行ったので内で競りたかったと思う。しかし上手く武田が内に潜り込む。その状況で脇本は後方まで下げ、打鐘で一気に仕掛けた。まるでダービーの再現である。そして近畿ラインが吉澤を叩き切った。この時点で勝負は決した感があった。叩かれた吉澤は飛び付く事を考えていたのかである。突っ張る気持ちの中で叩かれたら仕方なく粘る作戦だったと感じた。叩いた脇本は打鐘2センターで出っ切る事は確信したはずである。しかし最終ホームをほぼ全開で通過。その証拠に3番手の村上がそこから離れていった。三谷のGI連覇をバックでは確信に変わった。

車券的推理結果

現状の脇本の意識は更に高い所にあると感じる。それがあるからこその全開先行だったと思います。あの仕掛けで勝てなければ世界で通用しないと考えている。その事が三谷の優勝につながったと感じます。勝った三谷は奈良登録ではあるが、びわこ競輪場の近くで生まれ育った。それがあり高松宮記念杯には他の選手とはひとしおの思いがあったと感じます。この二人は同世代であり、これからも連携が続きます。脇本に磨きがかかっても、それでも三谷強しでなければならない。両者タイプは違うがこれから更なる飛躍があるだろう。