一年の集大成であるグランプリ。レース的に題目を付けるなら、「脇本の先行一車に、平原が攻め切れるか」になる。今年は様々な要素が折り重なる。まず平成が終わると同時に競輪界もここまでの流れの切れ目と感じる。選手募集数が減り新星が誕生しにくくなった事と、大ギアで選手寿命が延びた事。そして制度が上位陣を優遇した事でトップ選手の活躍が長く続いた。その事もこのGPで終焉となるだろう。そしてナショナルチームに在籍する選手は出走本数が激減し評価も難しくなっている。新田は特にそうである。脇本に関しても毎GIの初日の見出しは「脇本がリード」に留まる。両者共にほぼGII以上の出走に限られるので、そう付けざるを得ない状況である。脇本が仮にGIIIを出走していれば「脇本の圧勝」と言う見出しになるだろう。
今年一年を振り返ると2月の四日市全日本選抜でグランプリチャンピオンの浅井が地元でつまずいた。そこから立ち直るまで半年近くかかった。その間は苦しみ抜いたと感じる。その全日本選抜で優勝したのが新田である。2017年の勢いをそのままにである。そこからはほとんど走っていない状況で、何とも評価しづらい。そしてそこからは皆さんご存知の通り脇本のワンマンショーとなった。最後の競輪祭は浅井の復活劇になり、沈んだ分以前よりも存在感のある浅井となった。
展開予想
前受は近畿ライン。脇本に三谷、村上兄、村上弟。村上兄弟にとってはこのGPが最後かもと思い別線勝負もあるかなとは思ったが、今年のGPに出走出来るのもやはり脇本の力によるところが大きい。それを踏まえての4車結束だろう。そして浅井から以降は枠なりになるか。ただ関東勢が外枠である。その事で前受を平原が選択するかも知れない。強風が吹けばその事はされに言える。強風のレースでは後方では隊列が延び縮みし周回中に脚を使わされる事と、単騎の選手がその状況でインを切りづらいからである。その並びになれば脇本の気持ち一つである。押さえて掛けるなら平原が必ず粘る。カマシなら直線が長い静岡バンクでは3着まで沈む可能性がある。後は清水である。清水は後半戦の戦いでGPを決めた。ただ平原に常に遅れを取っている。ここでは先行一車。その脇本を捲れる力はまだない。ならば番手勝負が基本だがそこまで攻め切れるかである。攻めればその後ろに平原になり、結果的に平原が脚を貯められる形になる。浅井はその後ろから状況を見定めてのコース取り。さらに後ろに新田は外しかない。2日目の公開練習で平原が三谷と並走した。練習で三谷に意識させ本番で無いかと思った。しかしその後一旦引いて外から並走した。この時に本番では直競りもあるとも感じた。最終的には、やはり平原がどう攻めるかである。しかし、どんな展開でも脇本有利は変わりない。ただ勝ちに行くかどうかだけである。
1番 |
三谷 竜生 |
奈良 |
2番 |
浅井 康太 |
三重 |
3番 |
脇本 雄太 |
福井 |
4番 |
新田 祐大 |
福島 |
5番 |
村上 博幸 |
京都 |
6番 |
清水 裕友 |
山口 |
7番 |
平原 康多 |
埼玉 |
8番 |
武田 豊樹 |
茨城 |
9番 |
村上 義弘 |
京都 |
レース経過
スタート牽制から新田が前受。そして関東勢。以下浅井、清水と続く。そして後ろ攻めを選択した近畿勢で周回を重ねる。赤板前に清水が上昇し、平原が追う。そして打鐘前2コーナーから脇本がカマス。清水や平原は反応が遅れたが、あれ以上の対応は出来ないだろう。打鐘前にそこまで踏み込むにはリスクがある。もし脇本が遅めに仕掛けたら無駄に脚を使ってしまう。その中で清水は番手飛び付き狙いだったと思う。しかし反応が遅れたため5番手を選択した。近畿4車が出っ切りこの時点で勝負あり。清水が仕掛けたが、まくるまでのタイミングではなかった。ただその事で三谷が牽制し村上義も追走で外に上がる。そこに平原が苦肉の策で入ってきた。それが落車につながった。村上博は4番手で内を閉めないといけないので仕方ない。後は浅井が8番手2コーナーからの仕掛け。いいスピードだったがすんなりの展開では仕方なしであった。そして三谷が番手から抜け出し優勝。脇本の番手戦は何度も経験済み。しっかりとチャンスをものにした。
今回のGPは単調なレースで終わった。昨今はラインなりのレースが多くGPでもそうなった。三谷が番手すんなりは、今回のレース形態ではひと昔前ならあり得ない。番手を狙う選手がいて当然だったと思う。ルール規制からの大ギアの流れで今のレース形態になっていると感じる。ファンから見れば単調でワクワク感のないレースとなっている。しかもGPである。その辺が残念な事であった1年である。
来年は年号も変わる。それに合わせるかの様に、ようやく新しい波が本格的に押し寄せている。そしてそれが、新しい競輪の幕開けになる事を期待して2018年を締めくくりたい。