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―第35回共同通信社杯編―
共同通信社杯は若手の登竜門と言われる大会であります。その通り、検車場では見知らぬ顔が多くいました。その選手達が今シリーズを盛り上げてくれるかと言う楽しみも共同通信社杯の見所でもあります。そして何と言っても共同通信社杯の勝ち上がりは2次予選までは自動番組であります。組み合わせ次第では運、不運が当然出てきます。先行一車の組み合わせもありましたが、徹底先行の揃った1次予選もありました。見る側には面白い一戦ではありますが、勝ち上がりを考えると当事者は不幸とも言えます。共同通信社杯の選考基準がFIの成績と100期代から25名とあります。故に若手先行選手が多く参加出来るシリーズです。
昨今のレース形態から細切戦が多くなってきていますが、共同通信社杯では顕著にその事が言えます。そこには自動番組も加味していると感じます。以前はラインを重視する傾向にありました。そのため地域の格差が成績につながっていました。それを打破するために自動番組が生まれたと思います。しかしレース形態が変わってきた今は少しずれてる様にも感じます。そしてその若手達も自動番組に敗れていった様に思えました。若手で一番成績が良かったのは、宮本隼輔です。しかし宮本の今シリーズの走りは良くありませんでした。どちらかと言えばずるいかんじでした。それが自動番組を勝ち上がって行く方法かも知れません。少し残念ではありました。
今シリーズのリーダーは浅井康太と平原康多です。浅井は不安を抱えての参加。平原は満身創痍の参加でありました。しかし浅井は初日に不安を一掃し、しかも出来が光っていました。平原は前回の落車が心配されていましたが、不安はなさそうで流石の立ち回り。ただ、出来はそこまでではない感じに思えました。後は地元の柴崎淳が初日から輝きを見せました。そして準決勝でも柴崎は1着。番手戦ではありましたが、自力に転じ後ろにいた渡邉一成を振り切った事は目を引き、強かった。平原もレース巧者らしい勝ち上がり。そして浅井です。結果は1着失格です。不用意な失格です。出来が良すぎ余裕があり過ぎた事で発生した様にも感じました。こちらはもったいない感じです。決勝は出来のいい選手が多く勝ち上がりましたが、山崎賢人の先行一車と言ってもいいメンバーです。その山崎が逃げ切るか。それともその3番手を取った選手が優勝するか。はたまた、もつれれば脚を貯めた選手の捲りがさく裂するかと、見所の多い決勝戦です。
展開予想
スタートは渡邉が取り、その後ろに郡司。そして柴崎が続き、山崎がその後ろで、平原が後方からと考える。いわゆる枠なりです。平原が前団を斬りに行く。その時に郡司がどうするかです。同時に動き平原ラインの前後に納まる。どちらかと言えば後ろと思います。そしてその展開を少し様子見に山崎が一気にかます。3番手に平原。5番手に郡司。6番手に柴崎で8番手の渡邉の展開。渡邉はここを優勝しないとGPは見えて来ないと考えているはずです。それならやはり先行はない。故に山崎が上手く先行出来ると感じます。3番手を獲った平原も出来から考えて慎重にレースを運ぶ。早めに行けば柴崎を引き出す事にもなります。ここまでが優勝圏内。3番手から平原が伸び、山崎も粘る。柴崎は2コーナーまでには必ず仕掛けると思います。そこから平原の動きがなければ捲り切る可能性もあるでしょう。本命はやはり3番手確保の平原です。
決勝番組
1番 郡司 浩平 神奈川
2番 柴崎 淳 三重
3番 渡邉 一成 福島
4番 山崎 賢人 長崎
5番 平原 康多 埼玉
6番 稲川 翔 大阪
7番 佐藤 慎太郎 福島
8番 金子 貴志 愛知
9番 諸橋 愛 新潟
車券推理
5=9-142
5=2-9124
2-9-543
4-6591-6591
レース結果
 1-7-5  412.2倍(175番人気)

レース経過
前受は渡邉ライン。そして柴崎。平原で山崎ライン。最後方に郡司。郡司は先行山崎の3番手を確保の作戦。平原がインを斬り山崎が先行態勢で郡司を容認した平原が4番手となった。そこから郡司が捲って優勝。ポイントとしては、山崎が早めに先行した事。平原が4番手まで下げた事。そして郡司が1センター過ぎから車間を切った事である。山崎は先行一車。先行も可能な選手が打鐘前に内に詰まっていた。しかしそれでも早めに先行態勢を築いた。もう少し引っ張っても良かった。そして平原がもつれを避け4番手。仕方ないと言えば仕方ない。ただここから郡司が車間を切り、まくる意思を示し、平原の仕掛けを消した。平原も郡司のまくりから離れている。出来の問題だと思うが痛恨と言える。それが後続の離れた要因。そして内を突き勢いがあった佐藤を振り切ったのは力である。

郡司は2日目に太田を迷いながらも早めにまくった事が全てだと感じる。自信につながったと感じる。これでGP圏内。脇本と新田が出場しないGIが2つまだある。予断は許さないが、郡司には勢いが付いたと感じる。
今回の決勝戦での平原は別として、出来のいい選手が勝ち上がったが、やはり決勝戦はレース巧者が優勝しました。昨今のレーススタイルで位置にこだわる選手や作戦を重視する選手は少なくなってきたと感じますが、やはり勝負所はレース巧者が際立ちます。力任せのレースは迫力ありますが、それだけで勝てないのが競輪です。力と技のぶつかりに今後も期待したい。