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―第75回日本選手権競輪編―
日本選手権競輪です。書いて字のごとく日本一の競輪選手を決める大会です。ナショナルチーム選手が参加していないので、そうでないと言う方もおられるかも知れませんが、彼らは自ら参加していないだけです。オリンピックがあろうが、なかろうが、出ない選手は関係ないです。それぐらい重いタイトルです。その通称ダービーが2年振りに開催されました。今年は京王閣競輪場です。ここは若干直線が長いバンク。そして2センターのあの特徴的なスタンドが取り壊されました。そびえ立つ迫力のあるスタンドで京王閣の名物とも言える物でした。出来る事なら競輪遺産として残して欲しかったです。そのスタンドがなくなり、京王線から丸見えの競輪場です。若干風の影響が気になっていましたが、バンク外にいるより風を感じないとのコメントが多かったです。と言うのも前々回ここでのダービーでの決勝戦は風が凄く影響し、それが勝敗を決したと言っても過言ではなかったからです。ただ今回も初日2日目と風は強く結果に反映したと感じます。2次予選まで終え、際立った存在はいないですが、郡司が一枚上と感じます。それはシリーズ通しての組み立てが良い事です。たまたまそうなったのかも知れませんが、初日逃げての3着でゴールデンレーサーに駒を進め、そうしてそこでは結果を残しました。そして準決勝では、その2日間の走りを利用して確実に中団取って、2コーナー捲りで決勝入りでした。追随は中国勢ですが、不安要素の多い勝ち上がり方で郡司とは少し違うかんじです。そして地元の平原ですが初日自らよれて後続の選手と絡み落車です。ゴール後だったので審議対象ではないですが、手痛いスタートでした。しかし内容は良かったです。それに加え眞杉が決勝に勝ち上がり一気に決勝では本命を背負ってのレースとなります。ただ眞杉と同乗した準決勝は平原に余裕がないと感じました。ゴールは少し後続を離していたので余裕に見えますが、それは余裕の無い証拠です。3コーナーに入っても後続との差はありました。それにも拘わらず早めに抜きに行き抜け出した形です。確かに眞杉が少し失速している状況ではありましたが、平原が抜きに行くと後続は平原に引き連れられるので、眞杉が残りにくくなります。少し待ってけん制してから抜きに行くのがベストだったと思います。まあダービーの準決勝なので仕方ないと言えば仕方ないです。最初に言った様に重いタイトルですから。その中で眞杉が残った事は落車があってですが、実力です。
決勝のメンバーが出揃い、関東勢先制濃厚でそれに対抗するのが中国勢になり、一番脚を貯めているのが郡司になる決勝です。
展開予想
スタートは誰も出なければ、浅井、松岡が出る。関東勢は押さえ先行なので後方が理想になります。関東勢が一つ前で中国勢が最後方ならふたをされタイミングを取れない事があれば最悪の展開になるからです。浅井、松岡の後ろが南関ライン。そして中国勢。最後方が関東勢の並びが基本とします。関東の上昇に合わせて郡司が浅井、松岡を切る。そして関東勢が早めに先行態勢。そして最終ホームで清水が仕掛ける。それ以上遅いと平原の番手捲りで状況が悪くなるのでそのタイミングの仕掛けが最終ポイント。ただ眞杉は強い。平原が上手くレースを運ぶ。郡司が脚を貯め捲り追い込みで勝負の展開。これが一番高い確率の展開だと思います。平原が番手捲りを打つ展開なら武藤にもチャンスだがそれなら郡司が伸びるかです。
決勝番組
1番 平原 康多 埼玉
2番 郡司 浩平 神奈川
3番 松浦 悠士 広島
4番 武藤 龍生 埼玉
5番 浅井 康太 三重
6番 松岡 健介 兵庫
7番 清水 裕友 山口
8番 眞杉 匠 栃木
9番 佐藤 慎太郎 福島
車券推理
1=2-4935
1=4-2935
1-3-4935
2=4-1935
レース結果
 3-2-9  38.8倍(2番人気)

レース経過
スタート松浦が出て平原、郡司。前受に中国勢。そして単騎の松岡、浅井と入り、関東勢で後方が郡司ラインで周回を重ねる。そして赤板前に郡司が上昇。早めに清水を斬ると思ったが眞杉を抑え込んだ。その眞杉は郡司がある程度の所でインを斬ってくれると考えたのか居座る。両者で小競り合いがあり引くに引けなくなった眞杉であった。そして郡司が上昇し松岡を決める。郡司に取っては松岡が保険だったのかも知れない。浅井が3番手なら早めにインを斬ったかも知れない。勝負の綾。もうその展開なら清水先行になる。関東勢は圏外。松浦が番手で3番手郡司なら浅井も仕掛けられない。4番手までの勝負となった。松浦が清水を抜きに行き、郡司が更に外。内に佐藤の直線勝負。松浦がスピードに乗り切れず、郡司を止めに行く。そこを佐藤が入る形。佐藤にとっては一番スピードの乗る形になった。バックからは手に汗握るレースであった。松浦が踏ん張りダービー王に輝いた。
本命視していた平原だが、なぜ眞杉があそこで下げなかったかである。優勝を狙うなら分かるが、確実に先手を獲る事が一番だったはず。初の大舞台で判断を狂わせたのだろうか。平原にとっては最後のチャンスだったかも知れないが、レースとしては期待外れだった。先手を奪った清水だが成り行きかも知れないが流石の走り。そして写真判定の末だったが、日本一の競輪選手に輝いた松浦も、一番緊張する展開で見事に勝ち切った。立派である。清水が復活し益々充実の中国勢。それに対抗するのはやはり郡司。番手捲りでなく自らの手でタイトル奪取だ。 日本選手権にふさわしい一戦であった。