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―第37回共同通信社杯編―
若手の登竜門と言われる共同通信社杯。今回も多くの若手自力型が参加しました。そしてこのシリーズは自動番組で一次予選、二次予選までが組まれる。このシステムが採用された当時は、時代の流れに喝を入れる様で刺激がありました。それは地区で並ぶのが当たり前になり、地区の目標の自力選手がいなければ切れ目追走からになって来ていました。そこでの自動番組は追い込み選手の真価が問われていました。それから競輪が変化し自力選手が増えて来ました。普段ライン競走をしている若手は単騎になると戦い辛いでしょう。今シリーズでも単騎で策もなく終わって行く選手も多かったです。それを考えると少し現在の競輪とマッチしてないのかなとも感じました。確かにその中でも意欲的に位置を作る選手もいましたが、やはりファンの方は自力でどれぐらいの力を持っているのか知りたかったと思います。競輪が強い選手が勝つシステムにすれば車券的には買いにくいです。誰が強いか上位は分かりますが、そこに含まれない選手は分かり辛いですよね。競輪が展開有利な選手が勝つなら、ファンの方が予想しその結果になります。それがやはり買い易い事になります。その辺は今回特に感じました。
そしてシリーズの目玉であった脇本雄太が欠場し、直近のGIウイナー古性優作も欠場でした。代わってシリーズリーダーになった新田祐大が連日積極的な走りで次元の違う力強い走りは目を引きました。
そして地元の山口拳矢。連日自身のスピードを活かした競走で決勝まで駒を進めました。上位戦線に参戦した当時はどんな選手か分からず、消極的なレースが目立っていたが、今はそれが受け入れられ違和感も少なくなって来ました。
準決勝を終え、やはり新田のシリーズリーダーは変わらず。しかも決勝は新山響平の番手からです。後、郡司浩平の安定した走り。そして平原康多は久々に歯車が噛み合ってる様に感じました。
展開予想
事実上、新山の本格先行一車です。その番手に新田。3番手守澤の北日本。郡司に鈴木裕の南関。平原、杉森の関東ライン。そして、単騎の清水と山口です。何も無ければ圧倒的に新田が有利です。初手はその北日本ラインが前受。後は枠なりと考え、清水、山口、郡司の南関ラインに、関東勢が候補。ただ平原が後方を嫌うなら前受になる。そうなると、平原は流れに任すしかなくなりますが、仕方なしか。北日本をスンナリ出させればレースは決まってしまいます。それを避けるには平原か郡司が粘るしかないです。郡司としては自身が粘るより平原に粘って貰う方が仕掛け易いですが、平原が外枠なので後方からインを斬って上昇しても、更に斬られるでしょう。単騎の清水が粘っても新田は3番手になり意味がない。ただそこに誰かがいれば北日本粉砕になります。山口は仕掛けたいので、そこにはいないでしょう。一発狙いの競走になり誰かしらが粘らないと出番は無いでしょう。あくまで粘る事が前提になります。しかし新山がカマシ気味に行けば、それはもう北日本のレースになります。本来先行一車なら押さえ先行です。流れ次第ですが、新山は引いてのカマシ選択と思います。もし新山以外に先行する選手となると、それは郡司です。その時は山口、清水、平原にチャンスです。
決勝番組
1番 清水 裕友 山口
2番 山口 拳矢 岐阜
3番 新田 祐大 福島
4番 鈴木 裕 千葉
5番 守澤 太志 秋田
6番 杉森 輝大 茨城
7番 郡司 浩平 神奈川
8番 新山 響平 青森
9番 平原 康多 埼玉
車券推理
3-5=1279
291BOX
291-291-45
7-4-1259
7=2-4159
レース結果
 2-9-4 588.1倍(146番人気)

レース経過
前受を郡司が選択し、清水がその後ろで関東勢に山口。そして北日本勢の並びで周回を重ねる。そして赤板で郡司が新山のカマシを意識し少しバンクを上がって待つ状態。その時に山口が前まで行ける所まで行きたかったと思うが、郡司、清水は飛び付くためにかなり踏んでいたので、平原の前まででとどまった。そして新山が打鐘手前からカマス。北日本は作戦通りだったでしょう。郡司がバンク上に上がったときに清水は前に踏み先頭に出たが、新山に遅れ3番手でも遅れ気味。勢いは外にあるので、清水が4番手。北日本が3車出っきり、決まったと感じた。しかし2コーナーから山口が仕掛けた。タイミングも踏み出しも最高の条件が揃った。そして一気に新田に並びかける。新田は早めに出ていたら合わせられたかも知れないが待った。勢いは完全に山口。新田も山口に当たって止めようとするが、あのセッティングでは無理でしょう。むしろ当たり負けしてふらついていた。そして山口が1着でゴールを駆け抜けた。
まず新田です。出っ切った時点で優勝を確信したのかも知れません。それで対応が遅れたのかもです。ただあのタイミングでもブロックすれば内が有利ですが、やはりセッティングです。競技ならあれがベストでしょうが、バンクも違えば、走り方も違うのが競輪です。ハンドルが高い分飛び付かれても、当たりに行っても負けてしまいます。新田の事ですから、そのままで次回も参加するでしょうが、完全に縦脚のみのレースになるでしょう。そして山口です。この優勝でグランプリが完全に視野に入りました。このままの勢いなら今年のグランプリ出場どころか、グランプリ制覇まであると感じさせるぐらいのスピードでした。山口は上位戦を走り出した当初は積極性を問われていました。しかしそれをも覆し今シリーズを迎えました。ある意味、残念を払った。山口のスタイルが周囲に認められての参加です。勢いは益々加速するでしょう。