月刊競輪WEB|KEIRIN.JP
―第30回寬仁親王牌 世界選手権記念トーナメント「決勝」編―
久々に弥彦で行われた寬仁親王牌。弥彦バンクは直線が長く先行が残りにくく、後方から伸びて来る選手も多く、車券的には難しい競輪場です。手広く買って行くのがポイントで、レースごとと言うより、荒れ待ちで高配当狙いになります。今回は早々に脇本雄太が欠場になり、飛び抜けて調子の良い選手もいないシリーズとなりました。その事で車券はより手広くと感じていました。そして親王牌は若手機動型が多い大会でもあります。全プロ大会での成績からの選出ですが、昨年からコロナ禍の影響で地区プロ大会で全プロ大会への出場権を得た選手からの選出になってます。そこで点数上位ですから、例年の様に競技のみから選出ではなくなっているので、他のG1とあまり変わらないメンバー構成です。それでも若干機動型は多いとは感じます。
初日を終え目立った選手や、感じる事があった選手は吉田拓矢と野原雅也です。両者タイプは似ていますが、ここまでたどって来た道は違いますが、初日はしっかり位置を取って、そこからの自力でした。仕掛けもメンバーを見極めての仕掛けでした。しっかりとした物を感じました。最終レース「理事長杯」では深谷知広が先行しましたが6着まで沈み、やはり長い直線を感じました。
後は古性のレースっぷりも良かったです。それと同じに少し笑いもしました。4番手から捲りに出て、郡司がもって来るのは予想出来たはずなのに、突っ込みそうでした。オカマをほるが正に的確な言葉の様なシーンでしたね。魔がさしたかのようです。ただそこからは流石に古性でしたね。
そして2日目が終え、注目選手の脱落がありましたが、比較的順当な勝ち上がりでした。「ローズカップ」では新田が後方8番手3コーナーからの捲りが届きました。良いメンバーだったのではれる選手もいなかった事が味方したと思います。
3日目「準決勝」10Rは吉田が前待ちの形でしたが誰もこず、成り行き先行。そのスローな展開で後方にいた新田のレースになりました。成り行きとは言え、逃げた吉田も粘り3着は見事です。11Rは新山が先行一車の利を活かしペース掛け。長い直線を乗り越え1着です。古性と郡司は予想よりも遅い仕掛けに翻弄された結果でした。12Rは太田がスタートを取った事で、渡邉が先行。太田はスタートを渡邉に取らせれば、新山の様に楽に先手は取れたと思います。ペース掛けではなく遅めのカマシです。そして渡邉の動きにすかさず反応したのが平原です。 勝負所をしっかり押さえました。野原は2車で来ると思い込んでいた分遅れましたね。しかし良い位置であったので初の決勝進出です。
決勝のメンバーが出揃い新田が新山の番手で優位に感じますが、狙われる位置にもなります。ただカマシなら飛び付くのは至難の技です。直で行く選手はいませんが、追い上げは野原ならあるかなとも思います。後は吉田次第ですね。
展開予想
前受けに関東勢。そして山田で、北日本ライン。最後尾に野原で周回。新山の動きタイミングで吉田は先行か、飛び付きか。新山が早めに来るなら飛び付き、遅めなら飛び付き含みの先行。野原が新山の上昇に合わせて追い上げるならもつれる。前受けが新山なら引いてのカマシ。吉田が先行で対抗する展開。いづれにしても関東は先行からの飛び付き策。そこを北日本の新田までが 出切ったら新田の優勝。共同通信社杯の様な事はしない。後ろの仕掛けがあろうがなかろうが、出て行く。ただ同じ事の繰り返しを嫌うがばかりに早く出過ぎて抜かれる可能性はある。後は野原がどうするか。番手追い上げでも良いと思う。競りは勝てる。後はタイミングだけです。すんなり流れれば新田。関東飛び付きなら関東上位独占。それに野原が絡むかです。
決勝番組
1番 諸橋 愛 新潟
2番 山田 庸平 佐賀
3番 新田 祐大 福島
4番 新山 響平 青森
5番 吉田 拓矢 茨城
6番 菅田 壱道 宮城
7番 野原 雅也 福井
8番 大槻 寛徳 宮城
9番 平原 康多 埼玉
車券推理
3=6-48591
591BOX
591-591-74
7=5-914
7=9-514
レース結果
 9-8-6  1943.6倍(307番人気)

レース経過
新田がスタートを取り北日本が前受け。中団に山田。そして関東勢が続き、最後方に野原で周回を重ねる。青板過ぎから新山が後方を警戒する。関東先頭の吉田も仕掛けるタイミングを計る。ただ前受けの新山の動きから突っ張り先行と誰もが感じたはず。そして赤板から新山が吉田の動きに合わせて踏み出す。新山と吉田のダッシュ力を比べると、やはり新山が上である。その事で吉田が仕掛けてからでも間に合うので、新山としては楽に主導権を取れた。ただダッシュ勝負だったのでラインの後続が少し離れ気味になり、そこをすかさず平原が入り込み吉田を迎え入れた。ある程度吉田が合わせられる事を予測していたと思うが、流石の走り。入れて貰った吉田は当然仕掛けなければならない。その動きが新田の番手捲りを誘発し、平原が切り替え番手その時点で勝負ありでした。赤板での並びから全て平原の計算通りであった。
やはり北日本の作戦の甘さを今回も感じました。あの展開なら車間を切らない様にするのが当然であるが、そこは自力選手の並びです。そこまで考えてなかったと思います。追い込み選手なら自分が外で浮いたら、すかさず入れる位置を決めに行きます。自分がする事は相手もするので、そこは勝負所となり、車間を切らない様集中します。菅田が離れた事が平原に優勝を導きました。 打鐘であの並びになった事で、平原の優勝だと思いました。 平原にとって同県の宿口がGPを決めていたので、やっと追い付いた形です。今年は中々歯車が噛み合わず苦労しましたが、9月後半ぐらいからリズムに乗り、動きも良くなっていました。その中で際どい展開を物にしての優勝です。これで勢いも付くでしょう。GPまで突っ走って欲しいです。