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―KEIRINグランプリ2021編―
2021年も最後の大一番を迎えました。依然コロナ禍での一年でした。
競輪界も多大な影響を受けているのは周知の事実です。やはり何と言っても、7車立のレースです。補充出走がないため、5車立のレースも行われている状況です。それは選手の成長を止めてしまいます。ただ単に脚力さえあれば勝てるレースになります。それは競輪ではないと感じます。グーレード戦を見るとずっと9車で走ってきた選手と、7車で育ってきた選手との違いは明らかです。
2020年静岡で開催予定だったダービーも、2021年は無観客レースではありましたが京王閣で開催されました。そして2020年残念だったその静岡競輪場でグランプリです。地元関係者も満感の思いで迎えるシリーズです。
GI戦線では、まず川崎での全日本選抜を地元郡司が勢いのまに制覇し、京王閣ダービーでは、照準をここに合わせてきた松浦が制し、岸和田での高松宮記念杯は本格化した吉田に乗った宿口が見事に優勝。そしていわき平での初のナイター開催、オールスターはオリンピック組も加わった中、古性が優勝。弥彦での寬仁親王牌では、関東の好連携で平原が4年振りのGI優勝でした。そして最後のGI小倉競輪祭は今年の関東勢の立役者である吉田が自らの手でタイトルを掴み取りました。
優勝者を見ても分かる様に、自在選手が主流の時代です。勝者と上位選手で争われるグランプリですから、9選手を見てもそうです。その結果、本格先行不在のレースになりました。競輪の華は先行。根っこはマーク選手。今でもそれが根幹にあります。中々その組み合わせも見なくなってきましたが、そのライン形成の時は、しっかり決まるケースがやはり多いです。それ故にここ最近のグランプリは不安定要素が多いです。特に今年はそう感じます。一見関東が有利で3番手を選択した平原が中心に見えますが、反面強力ラインには見えないです。番手まくりでもその上をまくられそうです。仮に上手く行っても、平原の後ろにいる選手に優勝をさらわれる感もあります。そこにはやはり本格先行でない吉田と、一戦級での自力で宿口の実績が無い事があります。郡司のスピード。清水の強気な攻め。撹乱する古性がいます。今回のグランプリは一見軸がありそうで固く見えますが、他にも色んな要素があり、不安定なグランプリです。
展開予想
前受けに中国勢。その理由は清水がカマシ先行を狙うと考えてです。そして車番的に郡司ライン。 それから関東勢。古性の基本路線は、平原の後ろだと思います。初手は関東の前後にいる。まず、関東勢吉田が上昇し古性が付いて行く。郡司も切り替え追走。ここで清水は最後まで下げるかどうかです。早いタイミングなら下げるが、中団に粘れば郡司が吉田を叩く。吉田は打鐘なら迎え入れるでしよう。ただ郡司はホームでも清水が来たら迎え入れます。吉田がその展開なら突っ張りますが、郡司は入れます。なぜなら清水ラインは2車で、しかも吉田が来たら松浦が出る可能性もあるからです。これが一番関東の嫌な展開と思います。関東が前受けなら、中国勢、郡司ラインとなり、古性は流動的です。郡司が押さえ、清水が更に叩く。おそらくこの時点では打鐘です。吉田がカマシになりますが、清水が引けない所まで来ているので、叩かれたらイン粘りでしょう。展開は郡司に巡って来ます。仮に関東勢がすんなり先行した場合、清水が叩きに来るので合わしたとしても、郡司がいるので宿口が出る展開です。4コーナー手前から平原が早目に踏み込みます。そこには昨年の二の舞は避けたい心理があります。平原の後ろにいる古性が交わすシーンもあります。このレースの軸は吉田です。ただ吉田が自在選手です。それが難しくしている要因でもあります。
決勝番組
1番 松浦 悠士 広島
2番 郡司 浩平 神奈川
3番 平原 康多 埼玉
4番 古性 優作 大阪
5番 佐藤 慎太郎 福島
6番 守澤 太志 秋田
7番 吉田 拓矢 茨城
8番 宿口 陽一 埼玉
9番 清水 裕友 山口
車券推理
3=8-74
3-4-82
8=7-12
1=2-5
2-5-17
1234-1234-5
1234-5-1234
124BOX
1234BOX
レース結果
 4-3-2  105.2倍(32番人気)

レース経過
前受けに郡司ライン。中国勢が続き、関東勢。そして古性が最後方。赤板で清水が上昇。この動きは少し早いので、イン粘りの作戦だったと思います。しかし郡司に合わされた。切れると思い込んでたのでしょう。合わされ低い形。郡司は清水に切らしても良かったのではと思います。なぜならまくり体制が出来るからです。しかし、郡司は5番手の作戦だったのでしょう。作戦通りでしたが清水が仕方なしに仕掛け郡司に並び掛けました。その時に古性が仕掛けたのですが、これは郡司の計算外でしょう。古性は4コーナー勝負と読んでいたと思います。郡司は位置を作ろうと後見をしていて古性に追走できず。関東勢は吉田が打鐘から掛けましたが、その仕掛けでは宿口では無理と思えました。古性は2コーナーからあっさりまくりました。関東3番手の平原が一見絶好の展開になった事で、硬くなったか動きが遅れました。古性に切り替えていれば優勝だったと思います。1番脚を貯めている選手がいい位置から勝負させて貰えたレースです。ただ誰もが4コーナー勝負と思っていました。それを思うと、古性の凄さが分かります。流石の古性でした。
グランプリは関東有利とファンの方には人気でした。しかしライン形成が強力自力連携で無かったと言う事に、気付いている方は少ない状況でした。古性と郡司は番手捲りでも捲れると思っていたでしょう。それがこの結果になりました。2021を締めくるレースに相応しいか相応しくないかは別にして、古性のレースっぷりはグランプリでも発揮された事。これに尽きます。ながらのライン形成でなく、自分で勝負する事。これをこれからの選手には見習って欲しいです。また2022年はどんなレースが繰り広げられるのでしょうか。楽しみにしましょう。