過去の競走データを基にして、注目選手を分析する「選手分析シリーズ」。今回登場するのは千葉・90期の田中晴基選手です。今年はすでにS級シリーズで3度の優勝を飾っており、連対率も約59%と安定した成績を残しています。ビッグレース初出場も果たしており、今後ますますグレード戦線を賑わしていきそうな要注目の選手です。
中村浩士さんのアドバイスで、レースへの考え方が変わった
最近の成績
昨年12月に岸和田でS級初優勝を達成すると、今年は一気呵成に3度の優勝を果たすなど争覇級に成長。4月には共同通信社杯でビッグレース初出場も経験した。
直近4ヶ月の成績(10月18日現在)
勝率 |
23.5% |
連対率 |
58.8% |
3連対率 |
64.7% |
バック本数 |
9本 |
平均競走得点 |
110.12 |
「徐々に力は付いてきているなと思いますね。展開に恵まれた面もありますけど、先行で優勝も獲れているので。普段から中村浩士さんの道場で練習をやらせてもらっている成果もあると思いますし、自転車をいろいろ試していてそれが噛み合ってきたと思います。中村道場では参加させてもらう前よりも実戦に近い練習が増えたし、練習が実戦に活かされるようになりました。競走での力が付いてきたという感じですね。自転車は、性格的に固定できないで『もっと良くなるんじゃないか』と思って、セッティングとかいろいろいじってしまうんですよ。たまに失敗もありますが、それもほぼ順調に来ていると思います」
バンク周長別
勝率を比較すると、333が一番高く500が低くなっており、周長が短い方が好成績を挙げているデータになっているが、本人はどう捉えているのだろうか。
バンク別の成績
|
333m |
400m |
500m |
勝率 |
32.1% |
21.2% |
6.7% |
連対率 |
46.4% |
43.9% |
26.7% |
3連対率 |
53.6% |
60.6% |
33.3% |
「今はこの数字を見て、自分でもビックリですね。勝率でみると差がありますけど、500が苦手という気持ちはないです。基本的に先行主体でやっているので(周長が)短い方が良いし、333は先行で残れているかなと思っていましたけど、それも気にしていないというか、500に比べて333が好きというのもないですね。特に好き嫌いがないんですよ。でも、風は気にしますね。ホームとバック、どっちが向かいでどっちが追いだから嫌だというのもないですが、走る前にチェックをしてその風に合った走りをしようと作戦を立てています」
グレード別成績
FIとGIIIでは、そこまで勝率に差が出ていない。GIIは今年4月に初出場で、データがまだ4走のみなので数字の動向には今後も注視したい。
グレード別の成績
|
FI |
GIII |
GII |
GI |
勝率 |
23.80% |
20.80% |
0.00% |
- |
連対率 |
46.30% |
37.50% |
25.00% |
- |
3連対率 |
58.80% |
50.00% |
25.00% |
- |
「これも数字にビックリですね。GIIIはまだ決勝に乗っていないですし、FIでは優勝もしているのでもっとFIの方が良いと思っていました。GIIIでは準決勝で負けてしまって、やっぱり相手が強いなと感じますね。ビッグレースは共同通信社杯が初めてで、初日からFIの決勝みたいなメンバーでした。FIでは自分より点数が低い人が相手だったりするんですけど、ビッグはみんなが強いので、今は展開が向かないと勝てないなという感じはしましたね。まだまだ上があるので、きついなと思うけど楽しみだなと思うようにしています(笑)」
開催日別
最近まで予選スタートが主だったため、初日の3連対率はさすがの数字を残す。際立っているのが、決勝の勝率がどこよりも高いという点だろう。
開催日別の成績
|
初日 |
二次予選 |
準決勝 |
決勝 |
敗者戦 |
勝率 |
17.6% |
16.7% |
18.5% |
36.4% |
26.7% |
連対率 |
50.0% |
16.7% |
37.0% |
45.5% |
43.3% |
3連対率 |
70.6% |
50.0% |
40.7% |
54.5% |
53.3% |
「初日は予選回りだった頃、魅せるレースよりも結果にこだわったレースをしていましたね。緊張もしましたし、早く特選にいきたいと思っていました。今は特選を回れるようになって、予選に比べれば余裕が出来ました。でも予選のときから変わらず、今も初日に合わせていく感じです。尻上がりに上がっていく感覚というのを今まで味わったことが無いんですよ。前検日に軽かったらずっと(感触は)良いですし、セッティングを変えて良くなったことはあっても、疲れが抜けたとか(開催中に)調子が良くなっていくというのはあまりないですね。準決勝では、S級に上がったばかりの頃はチャレンジャーだったので思い切って走っていましたが、最近は競走が小さくなって…。でも8月の前橋のときに中村(浩士)さんから『出し切ったレースをしたほうがいい、結果はあとから付いてくる』と教えてもらって、そこから成績も良くなっていきました。準決勝の考え方もそこから変わりました。決勝は不思議ですね(笑)。仕掛けるところはちゃんと仕掛けるという感じで、全レース、力を出し切ることだけを考えているんです。精神的にはそんな強いとは思っていないので、勝負強いかどうかは分からないですけどね(笑)。敗者戦は最近人気になるので、逆にどのレースよりも緊張します(笑)。前はかなり引きずってしまったんですけど、最近は気持ちも切り替えられるようになって、それも成績に繋がってきているのかなと」
戦法
バックのみのときは3連対率85%と驚異的な数字。主導権を取れなくても、しっかりと対処できており戦法の幅も広がってきているようだ。まだ回数は少ないが、同地区の同型と同乗時は番手回りのケースも出てきている。
ホーム・バック数から見る成績
|
Hのみ |
Bのみ |
HB |
HBなし |
番手 |
勝率 |
0.0% |
46.2% |
11.6% |
28.2% |
40.0% |
連対率 |
33.3% |
76.9% |
25.6% |
48.7% |
60.0% |
3連対率 |
44.4% |
84.6% |
46.5% |
56.4% |
60.0% |
「バックを取ればいいという風には思っていないですけど、意識はちょっとありますね。対戦相手のバックが多いと嫌だとし、僕も多く持っていたいなとは思います。本来はそんなに長くもがける方ではなく、捲りの方が勝率は上がると思いますけど、今は前よりも先行で残れるようになったかなと思いますね。番手回りは、番手は番手の仕事がありますし、うまく出来るかなとか先頭のときと違う緊張がありますね。あまり回数がないし、まだまだ慣れていないです。戦法的には、今のスタイルのままもっと全体的に上げていきたいと思います。先行を6~7割やって、あとは展開に応じて何でもやる感じですね」
メッセージ
今後の出走予定
一宮GIII |
10月25日~27日 |
防府FI |
11月13日~15日 |
松戸FI |
11月20日~22日 |
「体調によってレース内容を変えることはないので見分けるのは難しいと思いますが、先行して3着以内にしっかり残れているときは良いと思いますね。普段から切磋琢磨している中村道場のみんながGIの舞台で待っているので、そこに混じることができるように。それと、お客さんに楽しんでいただける、完全燃焼できるレースを心がけていきたいと思います!」
※11年5月から12年10月7日までのS級戦の成績を集計したものです。