解説&分析

 過去の競走データを基にして、注目選手を分析する「選手分析シリーズ」。今回は長野・95期の上原龍選手をピックアップしました。在校時は95回生在校1位、卒業記念レースも制して2冠を達成した上原選手。昨年はケガで大きくリズムを崩しましたが、和歌山FIを制するなど復調してきました。今後も「昇り龍」のような活躍を期待したいところです。
うまく組み立てて、しっかりとレースの流れを掴んでいく
最近の成績
 昨年は4月の別府で落車を喫し、そのケガが響いて本来の力を発揮できずに終わったが、年末にはヤンググランプリに出場を果たすなど関東期待の逸材であることに疑いの余地はない。ケガも癒えると、今年は8月の和歌山で久々の優勝を決め、巻き返しがスタートしている。
直近4ヶ月の成績(10月18日現在)
勝率 32.0%
連対率 60.0%
3連対率 64.0%
バック本数 12本
平均競走得点 106.48
「昨年落車したときに鎖骨を骨折してしまいました。でも今年の3月に鎖骨に入れていたプレートがやっと取れて、それから体が思うように動くようになって来たと思うので、今年は今のところ80点くらいですね。あの骨折で180度変わってしまったけれど、あれがあったからこそまた踏み直しができたかなと思っています。最初は怖かったけど、今はレースも見えてきましたし、これからですね!」
バンク周長別
 勝率を見ると333が一番高く、500が一番低いが、3連対率ではそこまで差がない。データ的には400で振っていないように見えるが、感覚はどうなのだろうか。
バンク別の成績
  333m 400m 500m
勝率 37.5% 25.3% 14.3%
連対率 50.0% 39.0% 50.0%
3連対率 62.5% 48.7% 64.3%
「別に得意不得意はないですよ。いつも指定練習で走ってみて、こんな感じかなというのを確かめてから走るんです。走らないと絶対に分からないし、段々走っていって特徴を掴んでいってという感じですね。400が一番(成績が)低いのは何ででしょうね。オーソドックスな面、いろんな形状もあるから組み立てづらいのかもしれませんけど、特に気にしていないんです。天候状況は無風がもちろんいいです。風向きもそこまでは気にしないです。まずは練習で乗ってみてから、考えていきます」
グレード別成績
 当然といったら当然だが、グレードが上がるごとに勝率も下がっている。今年は4月に共同通信社杯に出場、昨年は東王座戦、オールスター競輪、そしてヤンググランプリに出場しており、今後はますますビッグレースでの活躍を期待したい。
グレード別の成績
  FI GIII GII GI
勝率 31.2% 17.4% 16.7% -
連対率 45.7% 30.4% 25.0% -
3連対率 58.0% 45.7% 25.0% -
「記念にいくと準決勝から上位陣とあたりますけど、上位陣の力が飛び抜けているので、ちょっと考えないといけないなという感じです。戦う気持ちでいっていますけど、力が違いますし、挑戦者なので、うまく組み立ても考えていかないといけないです。あとは後ろに付いてくれる人も上位の人が多くなるので、それに助けられている部分もあると思います。ビッグレースも力の差を感じて、よい勉強になりましたね。4月の共同通信社杯では、完全にギア比の差を見せ付けられました。初日に対戦した小嶋敬二さんのカマシで、こんなにも違うのかと思い知らされたんです。点数も低いのに、軽いギアでは勝負にならないと思って、そこからギアも上げていった感じで、4回転も使い出しました。一つ、考えさせられたところですね」
開催日別
 近況は2班につき予選回りが主体だが、コンスタントに突破しており、初日の3連対率は70%近くに及ぶ。7月の久留米記念では予選から1着2着で準決勝に進んで、好調気配だ。当然だが、こちらのデータでも勝ち上がるにつれて勝率が低くなっている。最近のレースでは決勝でホームバックを取っていることが多いが、意識してのものだろうか。
開催日別の成績
  初日 二次予選 準決勝 決勝 敗者戦
勝率 39.7% 15.4% 20.0% 16.7% 23.1%
連対率 54.0% 38.5% 32.5% 16.7% 38.5%
3連対率 69.8% 53.8% 42.5% 38.9% 44.6%
「僕は完全に調整して入っていくタイプなので、レース前検の3日前から調整して、前検でバンクの感じ、自転車の感じを見て、それで初日を迎えることが多いですね。  予選は失敗してしまうときもあるんですけど、(人気になっても)プレッシャーは昔から感じる方ではないですね。とりあえず自分のやることだけしっかりやろうと思って走っているので。  準決勝もまずはレースの流れを見てからです。無理やり先行にいくとか、無理に捲りに回るのではなく、体があまりにも調子が良い感じだったら、先行中心な感じで組み立てていきますけど、だいたいは流れを見ていきます。  決勝は勝負ですけど、力の差がなくなるので、しっかり組み立てて流れに乗っていかないと勝てないなと思っています。でも最近は、流れが回ってきているから先行になっているんでしょうね。(先行の)意識はしていないです。タイミングや順番が来たからいく、という感じですね。  敗者戦については、なんで負けたのかを考えて、あとはやりたいことをやる感じです。勝たなくてはいけないというのが頭にありますが、内容も大事ですし、あとは気持ちの切り替えですよね。点数や賞金ではなく、次に走るためにベストにするためにどうしたらよいか、そう考えて敗者戦は臨んでいます」
戦法
 バックのみになったときは3連対率80%、ホームバックを取ったときは63%とバックを取ったときは車券貢献率も高い。取れなかったときも、データ的にはうまく対処しているといえよう。
ホーム・バック数から見る成績
  Hのみ Bのみ HB HBなし
勝率 15.4% 35.0% 20.3% 30.4%
連対率 23.1% 60.0% 40.6% 38.2%
3連対率 38.5% 80.0% 62.5% 42.2%
「今はうまくやらないと、と思っています。まずは流れを考えて、無理に出ていっても、そこで脚を使ってバックで終わってしま ってもいけないですし、考えてからの組み立てですね。だからバック本数は特に気にしていないです。捲りに回ったら本当に冷静 になって仕掛けどころだけは間違えないようにという意識でやっていますね。(仕掛けのタイミングは)見極められる方だと思うけど、上位陣に比べるとまだまだ甘いですよね。上位は、思ったところでは、もう駆けていないといけないので。流れに対応できるように早めに踏むとか、考えてはいるんですけど、流れ的に遅れてしまうという部分もあるので、そこはしっかり考えてやっている部分です」
メッセージ
今後の出走予定
大垣GIII 11月1日~4日
静岡FI 11月16日~18日
「調子が良いなと思えるのは、しっかり先行して、逃げ切れているとき。脚がしっかり動いているし、レースも見えているということなので、そこですね。しっかりやることをやっているとき、という感じです。タイムはあまり気にしていないです。  今後はGIという大きい舞台にいかないと話にならないので、しっかりGIに乗れるように成績を積み上げて、力をつけて頑張っていくので応援をよろしくお願いします。期待されたり、頑張れ!と言ってもらえると、力になりますし、すごい嬉しいですからね」
 ※10年1月から12年10月23日までのS級戦の成績を集計したものです。