過去の競走データを基にして、注目選手を分析する「選手分析シリーズ」。今年ラストに登場するのは、新潟の鈴木庸之選手です。今年は2月に宇都宮FIでS級初優勝を達成し、スピードある先行・捲りを武器に、成長の一途を辿っています。2013年は今年以上の活躍が大いに期待される選手の一人なので、要注目ですよ!
スピードタイプなので逃げ4割、捲り6割が理想です
最近の成績
2007年7月に青森競輪場でデビューした鈴木庸之。09年にS級初昇格、その後は一度A級に降格するも、11年7月に再昇級し、現在はS級に定着している。今年の2月には通算100勝を伊東競輪場で達成、そして2月の宇都宮FIではS級初優勝を逃げ切りで決めた。今後さらなるグレード戦線での活躍、そしてビッグレース初出場に向けて、レベルアップに努めている。
直近4ヶ月の成績(12月5日現在)
勝率 |
27.7% |
連対率 |
55.5% |
3連対率 |
66.6% |
バック本数 |
9本 |
平均競走得点 |
106.33 |
「今年(2012年)は前半戦にS級初優勝もあったんですけど、S級1班の点数を狙っていたのに、失格をしてしまって…。でも後半戦になってから良くなってきた感じですね。青森で落車してしまったときにフレームが壊れてしまったんですけど、そのときからフレームをA級のときに使っていたものに変えたんです。そのフレームは先行しか出来ないようなフレームで、それを使っていたら一時期、バック本数も20本くらいに増えていきました。今は新しく作ったフレームを使っているんですけど、先行も出来るようになって良い感じになりましたね。あと冬季移動先での練習も良かったと思います。今年で2回目なんですけど、競輪学校に移動することにしたら、グランプリ前の深谷(知広)君とかもいて、すごく良い練習が出来ました。夏くらいから、その練習の成果も感じましたね」
バンク周長別
勝率だけ比較すると500バンクが勝率33%で、最も好成績なのが分かる。確かにS級初優勝も宇都宮バンクだった。意外なのは、データ的には400バンクで苦戦しているところだろうか。
バンク別の成績
|
333m |
400m |
500m |
勝率 |
17.6% |
15.4% |
33.3% |
連対率 |
47.1% |
37.2% |
50.0% |
3連対率 |
58.8% |
48.7% |
58.3% |
「脚質がダッシュタイプなので、500バンクは展開が向くことが多いと思います。初優勝も宇都宮でしたし、A級のときも優勝していますし。400バンクの数字が低いのは、多く走っている分、良いときも悪いときもあるからだと思います。バンクは重いところと、風が強いところが苦手ですね。FIではS級だと後ろの方のレースなので、前に走っているA級のレースを見たり、話を聞いたりして、そこから風向きも考えて作戦を立てている感じです。直線も短い方が好きですね。相性が良い競輪場は平塚です。A級のときから、調子が悪いときでも決勝に乗れたりして、いついっても成績が良いです。あと、お客さんがたくさん入っている競輪場は自然と力も入りますね」
グレード別成績
現時点ではビッグレースへの出場はない。今後、出場機会が出てきたときの走りは楽しみにしたい。FIとGIIIとの比較になるが、勝率も3連対率も、そこまで数字の差はないことに気付く。
グレード別の成績
|
FI |
GIII |
GII |
GI |
勝率 |
17.9% |
17.4% |
- |
- |
連対率 |
41.7% |
34.8% |
- |
- |
3連対率 |
51.2% |
52.2% |
- |
- |
「数字はFIと記念で同じ感じなんですね(笑)。グレードレースは、S級に上がってから(11年7月から12年12月5日まで)まだ記念の一次予選を突破できなかったことはないと思います。もちろん記念の方が相手も強いので(モチベーションも)高くなっていると思います。FIでは自分を中心にレースが回ることがあるので、それが勝ちやすくて良いときもあるんですけど、きついこともあります。だから1班の点数を取りたかったんですけどね。上で戦うためには、もっと先行で勝てるようにならなくてはいけないなと思います」
開催日別
11月の大宮では初日予選で9着と失敗してしまったが、初日は3連対率66%と堅実なレースが目立っている。決勝については、初優勝したことで得たものも多かったという。敗者戦は初日ほどでないが、車券貢献率が高いと言えよう。
開催日別の成績
|
初日 |
二次予選 |
準決勝 |
決勝 |
敗者戦 |
勝率 |
25.7% |
0.0% |
0.0% |
16.7% |
21.4% |
連対率 |
54.3% |
0.0% |
16.7% |
33.3% |
45.2% |
3連対率 |
65.7% |
0.0% |
33.3% |
33.3% |
57.1% |
「(調整として)僕は完全に前の日は自転車に乗らないですね。その前の日までに、しっかりと練習するものだと思っています。そのやり方は3年前くらいからずっとやっていますね。そうやって(開催に)入ると、準決勝のときくらいに一番軽くなっていく感じがします。準決勝は、相手次第なんですけど、僕は徹底先行というわけでもないので、相手が先行だったらやり合って、もう一つのラインに捲られても仕方がないし、自分の仕掛けられるところからという感じですね。今年の目標が決勝を走ることだったんですけど、2月の宇都宮で初めて決勝に乗って、いきなり優勝できました(笑)。嬉しかったですし、早く獲れたことは良かったと思います。『こんなにたくさん賞金がもらえるんだ』ということも分かりましたし、『あれを貰っている人がいつもいるんだな』と、モチベーションも上がりました(笑)。敗者戦はどうしても(勝ち上がりに比べると)モチベーションは下がりますけど、うまく走れている方だと思います。大宮でも初日9着のあとに連勝したんですけど、もっと先行で勝てるくらいにならないといけないと思っています」
戦法
スピードタイプらしくバックのみの仕掛けになったときは連対率88%と驚異的な数字を残している。現在の戦法として、先行と捲りの良いバランスを目標に掲げており、バック本数に関しても現在(直近4カ月集計で9本)よりも増やして維持していきたいという。
ホーム・バック数から見る成績
|
Hのみ |
Bのみ |
HB |
HBなし |
番手 |
勝率 |
0.0% |
41.2% |
10.8% |
17.8% |
‐ |
連対率 |
12.5% |
88.2% |
40.5% |
26.7% |
‐ |
3連対率 |
37.5% |
88.2% |
45.9% |
44.4% |
‐ |
「カマしていってバックを取れたときは残れる自信はありますね。ホームバックを取ったときでも、もっと成績を上げられればと思います。バック本数は自力選手として絶対に必要なものなので、意識はしていますよ。減ってきたら、増やすレースもしますしね。バック本数があるときは、自分の思うように順番も来るんですよ。今月(12月)に入ってだいぶ減ってきていて、(直近4カ月で)1ケタになったのかな。だから、また増やさないといけないなと思います。バック本数は常に12~13本持っていると警戒されますしね。自分もそこを意識して対戦相手を見ています。(バックを取れなかったときは)まだうまく対処できていないですね。いけるところがあったのにいけなかった、見ちゃっている感じだと思うので、もっと攻めることが出来れば、もっと上がっていけると思います。元々、スピードタイプなので、逃げ4割、捲り6割が理想だと思います。この割合が崩れてくると、良くないですね」
メッセージ
今後の出走予定
宇都宮FI |
12月18日~20日 |
静岡GIII |
1月19日~22日 |
「捲りでは(調子を見極める)あてにならないと思うので、初日に逃げて勝てているときが良いと思います。あとはお客さんが一杯いる競輪場が好きなので、そこは無条件でいつも以上にやる気が入ります。お客さんが一杯見に来てもらえれば、自分も成績が良くなります(笑)。今回は権利が獲れなかったんですけど、地元のGIがあるので、それに出たいというのがありますし、出来るだけ早く出られるようになりたいですね。新潟の先輩は、こういう若手を待っていたと思うので、連係が出来るようにこれからも頑張ります」
※11年7月から12年12月5日までのS級戦の成績を集計したものです。