解説&分析

 過去の競走データを基にして、注目選手を分析する「選手分析シリーズ」。今回ピックアップするのは熊本90期の服部克久選手です。昨年からメキメキと頭角を現してきており、現在も1着を量産中。今年は昨年以上にグレードレース、そしてビッグレースでの活躍が大いに期待されます。豪快な捲りを武器に、どこまで登り詰めていくのか、今後の成長から目が離せません!
常に気持ちを切らさず、挑戦者の気持ちで走っています
最近の成績
 2011年は勝率26%、連対率39%だった成績が昨年は勝率31%、連対率47%まで上昇してきている。FIで決勝進出を逃すシーンもまだ見られるが、記念でも予選から準決勝まで駒を進めたり、3月には日本選手権でビッグレース初出場が控えているなど、戦うステージを一歩ずつ押し上げていっている。
直近4ヶ月の成績(1月21日現在)
勝率 37.9%
連対率 62.0%
3連対率 66.5%
バック本数 8本
平均競走得点 103.72
「昨年の後期はS1の点数も取れたと思いますし、年間を通してもダービーの出場権利が取れたので、自分的には悪くなかったと思います。調子が良いときは逃げても1着が取れていたし、けっこう何かが掴めた感じがしていました。今は大ギアが流行っているので、合志(正臣)さんや先輩たちにもアドバイスをもらって、その踏み方に対してフォーム修正をしたら踏めるようになったので、3.77から4.08にしてから感じが良いですね。戦法的には自在でやりたいんですけど、前に比べたら後手を踏むことが減ったのも好成績に繋がっていると思います。また周りもギアを上げてきているけど、大ギアの中でも回転をもう少し上げられれば、上のクラスでもやっていけるのかなというのはありますね」
バンク周長別
 勝率で333から500バンクまでを比べてみると、勝率に関しては周長が長くなるほど上がっているが、3連対率に関してはどれも50%以上で同等程度と見ていいか。周長以上に、服部のスピードを活かせるバンクかどうかがまずは大事なようだ。
バンク別の成績
  333m 400m 500m
勝率 12.5% 28.3% 38.5%
連対率 37.5% 44.2% 50.0%
3連対率 50.0% 50.7% 57.7%
「イメージ的にはスピードバンクが好きなので、333バンクは好きな方だし、小倉も相性が良いのでドームも好きですね。500も巻き返しがきくので、苦手意識はないです。(500の勝率が高いのは)直線も長いので、後手を踏んで捲り追い込みになっても、届いているのかなと。400バンクは、どちらかというと捲り主体なので、捲りがきくバンクが得意です。でもバンクの特徴によっては先行した方が良いバンクもあるので、そこは考えながら走っています。  競輪場によって、けっこう風が強いところはあるんですけど、小柄なのでそこらへんが苦手ですね。そこをどうにかして克服していきたいなというのはあります。記者の方に競輪場の風がどうなのかいろいろ聞いたりしますし、FIなら自分が走る前のA級のレースを見て、逃げが残っていたら逃げが有利なのかなとかバンクコンディションを掴んで走っています」
グレード別成績
 現時点ではビッグレースの出場はないので、FIとGIIIでの比較となる。勝率はGIIIが若干だが高く、3連対率も差はほとんどない。全体的にGIIIでの善戦も目立ってきているといっていいだろう。
グレード別の成績
  FI GIII GII GI
勝率 28.8% 31.3% - -
連対率 46.2% 39.6% - -
3連対率 52.3% 52.1% - -
「自分の中では記念の方が初日に飛んだりしている感覚なんですけどね。記念は気持ちが入りすぎて、空回りしている部分もあると思います。でも初日に飛んでも、2日目からの敗者戦はまとめないと点数も下がるし、絶対に勝つという気持ちですね。最近では富山記念で準決勝までいって333バンクで前々を踏んだ結果4着だったので、その部分に関しては、気持ち的に上でももう少し戦えるのかなという感覚がありました。FIは、人気になっていることを意識すると飛んだりするので、日頃と変わらないように挑戦する立場で走っています。常に、受け身じゃなくて、一般戦だとしても挑戦する意識で戦っているつもりでいます。 (ビッグレースに向けては)まだ基礎的なことなんですけど、上のクラスは踏みだしにしても、トップスピードにしても隙がないので、今後も成長するためには全体的にいろいろトレーニングしていかないといけないですね」
開催日別
 今はS級2班なので、基本的には予選スタート。FI予選はかなりの高確率で突破しており、取りこぼしはほとんどないといっていい。まだ現段階ではS級優勝がないので、そろそろ初優勝も欲しいところか。3連対率60%近くの成績を残している敗者戦での健闘も光っている。
開催日別の成績
  初日 二次予選 準決勝 決勝 敗者戦
勝率 37.5% 16.7% 18.9% 0.0% 37.1%
連対率 60.7% 16.7% 29.7% 18.2% 45.7%
3連対率 64.3% 50.0% 29.7% 18.2% 58.6%
「(レース前の調整としては)今は大ギアを使っているので体のケアを第一に考えています。腰痛が出てもいけないし、あいているときはしっかり追い込んで練習して、中3日とか詰まっているときはケアしてスピード練習という感じですね。でも今年一発目の佐世保みたいに、初日にジャン先行して押し切ったんですが、2日目3日目には大ギアで脚を使ったのかなという感覚があったので、もっともっと大ギアに対しての筋持久力をつけていかないといけないのかなというのはありますね。  初日からお客さんが賭けてくれる限りは全力を出し切って、メンバーが良くても、自分が本線でも勝って頑張っていかないと自分の生活もありますからね。初日が一番大きいので、今のシステムだとFI準決勝で9着すると最終日は一般戦に落ちてしまうので、もっと勝つレースを心がけていかないといけないというのはあります。  準決勝は小さいレースをするよりも、先のことを考えて積極的に逃げたり、出し切る競走をしたいです。負けても次の課題を見つけられますからね。決勝に乗ってもその気持ちは同じですね。いつかは優勝できるだろうと思ってはいますが、今年は最低一回くらいは優勝したいです。でも実力的にもまだまだという感じもありますし、以前優勝を意識してずっと捲りに構えていたら、勝てなくなってA級にも落ちてしまったこともあったので、逃げて力を出し切る競走をしていけば、次に繋がっていくのではと思っています。  気持ちを切らせてしまったら負けるので、敗者戦でも準決勝や決勝と同じように、常に一生懸命走っています。結果を残せばお客さんにも周囲にも貢献できますしね。負けて下のレースになっても、最終日は絶対に連に絡むぞという気持ちで臨んでいますし、気持ち的にもそこで9着を取ったら楽しくないですからね。そこはA級のときからずっと意識しています。お客さんが車券を買ってくれているからこそ、自分達があるわけですからね」
戦法
 あまりバック本数自体は多くないが、得意の捲りでバックのみになったときは連対率80%越えと驚異的な数字となっている。ホームバックを取った先行時でも勝率は30%を越えており、オールラウンダーとして今後ますますの成長が期待されるところだ。
ホーム・バック数から見る成績
  Hのみ Bのみ HB HBなし 番手
勝率 0.0% 56.3% 30.8% 28.2% 25.0%
連対率 22.2% 81.3% 42.3% 42.4% 25.0%
3連対率 33.3% 87.5% 46.2% 50.8% 25.0%
「今の戦法は前々に、後手を踏まないようにして、緩んだらカマしたり、先行したりですね。そこはレース展開にもよります。以前よりかはバック本数も増えてきたと思いますし、今のスタイルというか、今年は自在として粘ったりもしてみたいと思っています。バック本数はそれほど意識してないんですけど、展開で抑え先行になったり、来なければ突っ張ったり、そうした戦法の幅もきかせておけば周囲も見ているので、捲りやすくなったりとか、勝利に繋がるとは思っています。捲りの自信は、まだそこまでないですよ。自分なりに納得するレースがあればいいですけど、100%捲りが決まるかといえば、まだそうでもないですしね。埼玉から新井(秀明)が移籍してきて、新井は追い込み屋なのでいろいろ競りの仕方を聞いたり、父も選手で追い込み選手だったので、いろいろ横の動きのアドバイスを聞いたりしていますよ」
メッセージ
今後の出走予定
別府FI 2月4日~6日
向日町FI 2月13日~15日
日本選手権 3月19日~24日
「バロメーターとしては、やっぱり捲りでぶっちぎって勝てたときは調子が良いのかなと思いますね。あと小倉決勝で2着になったときも、2日目に捲ったときのタイムも良かった(10秒7)ので、タイムも参考にしてくれればと思います。  前の期にS1の点数が取れたので、今期もという気持ちはあります。それと来年のダービーの権利をまた取ることと、出来れば記念の決勝にも乗りたいですね。今年はそこを目標にしています。まだまだこれからですけど、ひとつずつ段階を踏んで、成績に繋げていければいいかなと。常に一戦一戦を大事に走って車券に貢献できるように頑張っていきたいと思います」
 ※11年1月から13年1月21日までのS級戦の成績を集計したものです。