解説&分析

 過去の競走データを基にして、注目選手を分析する「選手分析シリーズ」。今回注目するのは埼玉91期の岸澤賢太選手です。昨年は記念でも2度決勝に進出するなど、自力主体ながら戦法の幅を広げようと着手してきたことが実を結びつつあります。今後はもうワンランク上の舞台に戦いのステージを移していきたいところで、ますます注目度も増していくことでしょう。
基本は先行捲りですが、何でもできるスタイルが理想です
最近の成績
 昨年1月にS級1班へ返り咲き。2月には花月園メモリアルin小田原で決勝進出を果たし、5月には平塚記念でも決勝まで駒を進めた。その反面、まだまだFIで決勝進出を逃すなど成績に波はあるが、試行錯誤しながら一歩一歩成長を遂げているといっていいだろう。
直近4ヶ月の成績(1月30日現在)
勝率 14.7%
連対率 29.4%
3連対率 44.1%
バック本数 8本
平均競走得点 103.20
「昨年前半はけっこう良かったんですけど、後半に入ってから良くなかったので、波はあった感じですね。別の練習をはじめたのが原因かなと思っています。まさか乗れると思っていなかったので、記念決勝に2回も乗れたことは自分でもびっくりですね(笑)。昨年はいろいろな経験が出来た年だったと思います。成績はまだ上がってきていないんですけど、今はだいぶ調子も良くなってきました」
バンク周長別
 それぞれの勝率を比較すると400バンクが約22%で最も高い数字を示している。だが3連対率を見ると、若干ではあるが333バンクが400を上回る。その2つに比べ、500バンクの成績はやや低めに推移していると言っていいだろう。
バンク別の成績
  333m 400m 500m
勝率 14.7% 21.8% 13.6%
連対率 32.4% 32.7% 27.3%
3連対率 50.0% 45.5% 40.9%
「500バンクは走り方が難しいなという感じはありますね。競輪場自体も少ないですし、たまに走ると仕掛けるポイントとか掴めていないところもあると思います。333バンクはいつも展開が重要だなと思って走っています。後方になってしまうと厳しいので、前々にいないといけないと思って特に集中していますね。400バンクが一番、レースがしやすいです。(直線の長さも)そんなに気にしないですね。徹底先行の選手だったら直線が短い方が有利だとは思いますけど、今の僕は捲りに回ることも多いですから。割と風が強いときは、成績が良い気がします。たまたまだとは思うんですけど(笑)、割と風は大丈夫なのかなと思っています。先行してもそんなにタイムが出る方ではないので、もしかしたらそういう重いコンディションの方が合っているのかなと。最近は走っていないんですけど、重いバンクと言われる立川とかも成績が良かったので、そういうバンクの方が良いのかなと思います。雨が降るときは、捲りのタイミングが取りづらかったりしますね。だから、ちょっと先行意識も強くなっているかも知れないです」
グレード別成績
 過去2年のデータ集計(11年1月から13年1月まで)では、GII以上のレースに出場していないため、FIとGIIIでの比較になる。勝率こそ8%近い差が出てFIが高くなっているものの、連対率は1.7%しか差がなく、ほぼ同等の数字と見ていいだろう。
グレード別の成績
  FI GIII GII GI
勝率 19.7% 11.4% - -
連対率 30.3% 28.6% - -
3連対率 44.7% 40.0% - -
「確かに、GIIIでは準決勝くらいまで勝ち上がることが多いですね。記念はやっぱりメンバーが良いですよ。二次予選にしても敗者戦にしてもメンバーが良いなという感じがします。点数を持っている選手が単純に多いですし、特選選手が落ちてきて一緒になることもありますし、3着以内に入らないと勝ち上がれないですし。そこまでその相手を意識はしないですけど、FIよりも記念の方がやっぱりきついですね。記念決勝はFIの決勝と全然違いました。お客さんの声援もすごくて、なかなかそういうところで走る機会は少ないので、違いを感じましたね」
開催日別
 際立っていいのが二次予選の数字だろう。勝率は11%だが、3連対率は67%を越えており、善戦が目立っている。逆にちょっと寂しい数字なのが決勝だ。まだS級では優勝経験がないだけに、そろそろS級初優勝も欲しいところ。敗者戦では3連対率45%をマークしている。
開催日別の成績
  初日 二次予選 準決勝 決勝 敗者戦
勝率 30.8% 11.1% 14.3% 0.0% 15.9%
連対率 42.3% 33.3% 26.2% 0.0% 31.8%
3連対率 55.8% 66.7% 40.5% 5.9% 45.5%
「(調整は)前検の2日くらい前から落とし気味に練習して、という感じですね。それより前はけっこう気にせずに練習しています。レース内容にもよりますし、そのときの調子にもよりますけど、以前はけっこう最終日が良い(調子が上がってくる)かなという時期がありました。でも今は大ギアもありますし、前とは違う感じもありますね。(二次予選は)割と勝ち上がれている気がします。メンバーは厳しいなと思ってはいるんですけど、けっこう3着に入れたりして。やっぱり相手が強くなればなるほど、前々の意識がより強くなるからだと思います。先行するつもりで出ていって、前にいれば後ろから仕掛けられても1車や2車だけ来たりする場合もありますから。それが良い結果に繋がっているんだと思います。  準決勝も、そこまで意識はしないでメンバー次第で走っています。戦法も相手次第で考えます。決勝は大敗が多いですよね…。(昨年は)決勝にはけっこう乗れていると思うんですけど、良い着がなかなか取れないです。狙いにいっている意識もないですけどなかなか難しいですね。S級での優勝は何年も前から目標にしているんですよ。最近は決勝にあまり乗れていないので、まずはコンスタントに乗るようにならないと優勝は難しいですね。そうすればチャンスが出てくると思いますから。  敗者戦は逆に頑張って終わろうという感じなので、最終日はけっこう良い成績だと思います。気落ちは多少ありますけど、レースになってしまえば、最終日だし力を出し切って終わろう!という感じです。車券の対象ですし、まずはしっかり走ろうと思っています。それに大敗してしまうと点数にも関わってきますし、そういうところも大事ですからね」
戦法
 近況は捲りの決まり手が多く、集計データでもバックのみになったときは3連対率72%と高い数字を残している。ホームバックを取ったときの勝率はやや低めだが、3連対率では43%と残っている。番組次第ではあるが、今年に入ってから番手回りも数回経験している。
ホーム・バック数から見る成績
  Hのみ Bのみ HB HBなし 番手
勝率 10.0% 44.0% 7.1% 17.2% 0.0%
連対率 30.0% 52.0% 26.2% 25.3% 33.3%
3連対率 40.0% 72.0% 42.9% 37.9% 33.3%
「今の戦法は、基本自力でメンバーや流れに応じて先行、捲りという感じです。最近は捲りが多くて、タイミングも取れるようになってきましたし、得意になってきたかなと思っています。逆に先行が残れなくなってしまったのはありますけどね。バック本数は、そこそこ付けておきたいというのはあります。2~3本しかないと、相手の見方も変わってきてしまいますし、駆けることもあるだろうな、と思わせるくらいは(バック本数を)持っていたいです。それと最近は位置もだいぶ取れるようになってきました。以前は、先行するか後方におかれるかが多かったんですけど、考えて走れるようになってきたと思いますね。何回も経験しましたけど7番手になってしまうと厳しいので、それなら前々に踏んでいった方が良いかなと。もちろん先行捲りは基本ですが、捌きもやって何でもできる感じが今の理想ですね。そういう選手を目指したいです。  自力基本ですが、付かせてもらえるなら番手も回りたいと思います。付くからにはしっかり練習して、迷惑かけないようにしないといけないですよね。実際付いてみたら良い経験になりました。こういう感じなんだなというのが分かって、自力にも活かせるかなと思いましたね。(番手も)展開次第ですんなりならいいですけど、タイミングも前の人に合わせないといけないし難しかったです」
メッセージ
今後の出走予定
熊本FI 2月12日~14日
小倉FI 2月26日~28日
「仕掛けが早いときは調子が良いときだと思います。前を見ちゃっているときとかは、自信がないときだと思うので。データにもありましたけど、バックを取ったときに成績が良いのは、捲りでも1コーナーとか早めに仕掛けられているときだと思うし、そういうときは体が動いていて調子が良いときだと思います。  今年は、高いレベルで安定して、ビッグレースに出られるような成績を残せればいいなと思っています。毎レース、力を出し切れるように一生懸命頑張っていますので、応援して下さい」
 ※11年1月から13年1月30日までのS級戦の成績を集計したものです。