解説&分析

 過去の競走データを基にして、注目選手を分析する「選手分析シリーズ」。今回注目するのは、京都93期の山田久徳選手です。今年に入るとFI戦でコンスタントに決勝進出し、1月の西武園ではS級初優勝も達成しました。強力な自力型が多数在籍する近畿地区に、新たな逸材が成長しています。
先行基本にゴール線までモガキ切ることが一番大事です
最近の成績
 08年1月に四日市競輪場でデビュー。10年7月にS級に初昇格、当初は苦戦も続いたが、今年に入ると和歌山記念で2勝を挙げ、1月西武園FIでは念願のS級初優勝も果たした。その後も連続して決勝に駒を進めており、小倉は決勝3着、玉野は決勝2着と好成績を残している。
直近4ヶ月の成績(3月20日現在)
勝率 36.0%
連対率 48.0%
3連対率 60.0%
バック本数 15本
平均競走得点 106.44
「昨年の末くらいから1着を取れるようになり、そこから調子は良いかなと思っています。それに1月の西武園で優勝してから流れも良くなったのか、成績が安定していますね。(好調のキッカケは)特になかったんですけど、昨年の末から自分のレースをして落ち着いていけたら1着が取れる感じがあって、それが今年に入っても続いている感じです。西武園の決勝では、先行してどこまで残れるかなと思っていたら、展開上番手に入る形になって、そこから捲りで車もけっこう出たので、正直獲れるとは思っていなかったんですけど、獲れたことは嬉しかったです。番手に入ってもすぐ2コーナーで仕掛けられたのは、今までの練習と競走スタイルが結びついたのかなと。昨年はあまり成績が良くなかったんですけど、(村上)博幸さんや藤木(裕)さんに、いろいろ聞いたり教えてもらったりしてずっと練習をしてきましたし、その練習を継続してきたことも良かったんだと思います。本当は昨年くらいに結果を出したかったんですけどね」
バンク周長別
 数字を比較すると333バンクの勝率があまり良くないのが、3連対率では500バンクを上回っている。成績が良いのは400バンクで勝率から3連対率まですべてトップの数字で推移している。333や500に苦手意識はあるのだろうか。
バンク別の成績
  333m 400m 500m
勝率 8.3% 22.2% 18.2%
連対率 16.7% 34.9% 22.7%
3連対率 33.3% 44.4% 31.8%
「向日町が400バンクなので、400が一番走りやすいです。多少仕掛けどころが狂ったとしても、いつも練習している400バンクなのである程度分かっていますしね。400なら僕の中ではどのバンクも同じ感じです。333と500はあまり走る機会がなくて、仕掛けどころが分からないわけではないんですけど、分かっているつもりなのにもうひとつな感じです。まだ333は先行したら残れるかなというのはありますが、500は長いなぁというイメージはあります(苦笑)。333はモガく距離が長くなるので、(勝率が低いのは)その分かなと思いますけど、333と500なら333の方が残りやすいイメージです。500はけっこう力勝負で勝たないといけない部分もあるし、仕掛けどころも難しいです。バンクはやっぱり軽い方が良いですし、あとは風がきついところはあまり好きじゃないですね。脚質が地脚なので、どちらかといえば得意だとは思うんですけど、風は朝の練習で確かめたり、乗った選手に聞いたりして確認してから走ります。同じ1周を駆けるにしても、風によって踏み直すところが全然違うので、考えて走るところはありますね」
グレード別成績
 FIとGIIIの比較では、さすがにFIの成績が上回っているが、勝率ではGIIIでもFIと遜色ないくらい善戦している。10年7月に寬仁親王牌への出走歴はあるが、それ以降ビッグレースへの参戦は無し。今後は上のステージでの活躍にも期待だ。
グレード別の成績
  FI GIII GII GI
勝率 19.5% 18.6% - -
連対率 35.2% 18.6% - -
3連対率 43.8% 30.2% - -
「GIIIの勝率は敗者戦での部分が多くて、あまり勝ち上がりでは…。GIIIは、FIとちょっと違うところもありますし、1回飛んだら終わりで、初日に負けるとけっこう長いんですよね。それとGIIIは準決勝での9着が多くて、もちろんまだ決勝にも乗ったことが無くて、(勝ち上がりは)勝率が悪いと思います。ここ最近のFIでは、メンバーが多少緩かったりして決勝に乗ったり、準決勝で1着を取れたりしていますけど、記念を走っている選手や1班の選手が多い開催でも決勝に乗れるようにしていきたいなと思います」
開催日別
 やはり予選スタートが多いので、初日の3連対率も60%をオーバーしている。直近8場所を見ても、1着5回、2着1回、3着1回と初日は安定。逆に、準決勝の成績は勝率は8.8%と低く、3連対率も17.6%に留まっており気になるところだが、今年に入ってFI戦の準決勝は5場所走って4度決勝に進出しており、今後も数字はどんどん上昇していく傾向になるだろう。
開催日別の成績
  初日 二次予選 準決勝 決勝 敗者戦
勝率 32.7% 22.2% 8.8% 16.7% 16.2%
連対率 43.6% 22.2% 11.8% 33.3% 32.4%
3連対率 60.0% 33.3% 17.6% 50.0% 39.2%
「前検日の前日は練習をしないか、身体を休めるか、乗っても軽めの調整をして(開催に)入りますね。A級のときは前検日前でもモガいていましたけど、S級に入ってからは前検日の2日前まではしっかりと練習して、前日は休んで入っています。これだと、けっこうきつめに練習をしても疲れが抜けていきますし、レースの内容にもよりますけど、走る度に良くなったらいいなという感じです。今はまず初日を突破しないといけないですしね。(初日は人気になることも多いが)あまり直前にオッズを見る方ではないんですが、この間の玉野FI(予選1着通過)はたまたまオッズを見たら1.6倍になっていて、さすがに緊張しました(笑)。 (準決勝は)やっぱり特選の強い選手と走るので、どうしても強い人が中心のレースになってしまうので、そう考えていたら自分のレースができなかったり、力が違いすぎて早めに捲られてしまう、そういう飛ぶパターンが昨年は多かったですね。前は何でもかんでも主導権を取ろうという感じもあったんですけど、今は自分のレースをしてからの結果だと思っているので、ゴールまでモガキきることをまず考えて、その上で先行できたら良いなと思って走っています。 決勝ではみんな1着を狙ってきて仕掛けが遅くなったりしますけど、自分の持つ距離だったら、どこからでもいけると自分では思っています。まだGIクラスの選手が入ってきたら変わってくるとは思いますが、ここ最近は決勝で逃げても2着や3着に残っているので良いかなと思いますね。 (敗者戦は)多少気持ちが落ちるところはありますが、先行選手が落ちてくることが多いので、そこで先行争いになったりして、それで連対率が落ちているのかなと思います。でも、レースに入る気持ちはいつも変わっていないです」
戦法
 自力型に共通していえることだが、さすがにバックのみになったときは車券貢献度も高くなっている。ホームバックを取ったときは勝率こそ17.5%だが、3連対率を見てみると47.4%と約50%は3着圏内に入っており侮れない数字となっている。また現在は直近4カ月のバック本数が15本となっているが、バックへの意識や戦法面への考え方は変化していっているのだろうか。
ホーム・バック数から見る成績
  Hのみ Bのみ HB HBなし 番手
勝率 0.0% 58.3% 17.5% 24.4% -
連対率 4.5% 66.7% 33.0% 29.3% -
3連対率 9.1% 75.0% 47.4% 34.1% -
「バックだけ取れるときは、カマシたりして距離が短くなるので高くなるのかなと思いますけど、ホームバックを取ったときと取れなかったときは、数字を見てけっこう変わるんだなと思いますね。今は先行基本の考えは変わっていないですけど、以前のように無茶駆けしないで、レースも巧くなってきたのかなと思います。ギアもかかってきているので、打鍾のときが一番難しいんですよね。打鍾のピッチがラスト1周に繋がるのかなと思うし、あまりしないですけど出させるところは出させたり。まずは先行できる組み立てを頭に入れて走っている感じですね。自分のピッチで先行したら、やり合わない限りは連に絡めるかなと思っています。ホームバックが取れなかったときの半分は、浮かされたりしたときだと思います。飛んでいるときはホームで無理やり仕掛けたら相手に合わされて浮いてしまったときなので、捲りに構えて連に絡まずに終わっていくというのは、あまり自分の中では印象にないです。必ずアクションを起こそうと思っているし、捲りになったときは、捲り切って1着か2着なので、(ホームバックが取れなかったときの勝率は高いが、3連対率が低いのは)そういうところだと思います。2月の玉野FI決勝でも自力は多かったんですけど、先行意欲が一番大きかったのは自分だったのに、駆けて1着が取れなかったんです。けっこうそういうことが多いので、先行一車というのは僕の中で難しいと思って。でもそれをモノにできれば、成績はもっと変わると思うので、しっかり駆けて1着を取れるようになれば、もう少し上位の選手とも戦えるようになるかなと思います。先行が基本だと思っているので、あとはしっかりとゴールまでモガキ切ることを頭に入れています。バック本数は多少気になりますけど、相手の先行選手が14~16本くらい取っていたら僕も警戒しますし、自分がいつも通りのレースをしていたらそれくらいは取れているので良いとは思います」
メッセージ
今後の出走予定
いわき平FI 3月28日~30日
川崎GIII 4月4日~7日
高松FI 4月17日~19日
「やっぱり初日を先行で押し切れたときは、その後の2日間も(感触が)良いと思います。もし準決勝で負けてしまっても、最終日はしっかり着に残れたりというのも多いので、まずは初日の動きが一番大事だと思いますね。 とりあえず今年の目標はS級1班の点数を取ることで、それは絶対に取らないといけないと思っています。今年も積極的に自力で頑張ります」
 ※11年1月から13年3月20日までのS級戦の成績を集計したものです。