競輪補助事業紹介

競輪の売り上げの一部は医療、福祉、ものづくり、スポーツ振興など様々な分野の活動に役立てられています。選手の走りと、ファンの皆さんとで創り出す競輪補助事業。どんなところに、どんな形で支援が行われているのか、ご紹介していきます!
今回は日本最大級の自転車レース、ジャパンカップサイクルロードレースです。
小嶋敬二、成田和也、新田祐大が宇都宮の街を駈ける!

10月20日に宇都宮駅前の大通りで開催された
ジャパンカップクリテリウム

レースが始まる前に行われるパレードラン。
チームを組んだテオ・ボス、ロビー・マキュアンとともに小嶋、成田、新田が登場

パレードにはガールズケイリンの選手たちも参加

クリテリウムを走る成田(手前)と新田(奥)

レース後はトークショーに出演した競輪3選手。
午前中には一般サイクリストと走るフリーランにも
参加するなど、大会を通じて競輪をアピール
 1990年にアジアで初となるUCI世界選手権が日本で開催された際、ロードレースの舞台となったのが宇都宮。その記念大会として創設されたのがジャパンカップサイクルロードレースです。ちなみにトラックレースは前橋で開催され、現在の寛仁親王牌・世界選手権記念トーナメントが誕生しています。

 これまでもツール・ド・フランスなどを走る一流選手たちがこの大会を彩ってきました。テレビの中でしか観られなかった世界が宇都宮の地で繰り広げられ、今では毎年たくさんの観客が詰めかける一大イベントに。2008年には大会のランクも世界最高クラスに引き上げられ、名実ともに日本を代表するロードレース大会となっています。

 そんなジャパンカップに2010年、新たにクリテリウムレースが加わり、大きな話題となりました。クリテリウムは1周1km~5km程度の短い周回コースで争われるレースですが、なんとその開催場所は宇都宮駅前の目抜き通り! 封鎖された街の中心部を、時速60km近いハイスピードで自転車の大集団が駆け抜ける様はまさに圧巻の一言です。実はこのクリテリウム、初開催となった3年前より競輪選手も参加しており、これまで村上義弘選手、渡邉一成選手、新田祐大選手、脇本雄太選手、深谷知広選手といった、そうそうたる顔ぶれが走っています。

 そして今年チャレンジするのが、昨年に続いて2度目となる新田選手に、小嶋敬二選手と成田和也選手の3名。日本でもお馴染みのテオ・ボスや、ロビー・マキュアンとともに特別チームを組み、レースに臨みました。総距離35kmを走るクリテリウムは競輪選手にとって決して得意分野ではありません。陸上競技に例えるなら、短距離走の選手がマラソンを走るようなもの。それでもスタートダッシュを決め集団前方まで上がってみせた小嶋選手、激しい位置取りにも対応していた成田選手、集団から遅れながらも食らいついて走り続けた新田選手に、沿道に集まった観客から大きな声援が飛んでいました。本来の力を発揮できるレースではないものの、真剣に挑戦し、そして心から走りを楽しむ姿から、競輪選手の心意気と存在感を感じ取ってもらえたら嬉しいですね。

 主催者から発表された今年のクリテリウムの観客動員数は、なんと3万8000人! 翌日、宇都宮市森林公園で行われたロードレースの7万8000人と合わせると11万人を超える観客数となり、本当にジャパンカップは多くの自転車ファンに愛されている大会なのだと実感します。

 競輪選手がレースに参加するだけでなく、ジャパンカップでは地元栃木支部の選手たちが報道関係者やゲストを乗せるレース車両のドライバーを務めたり、運営面での協力など、競輪界をあげて様々なサポートが行われています。実はこのジャパンカップをはじめ、競輪が支援する自転車レースやイベントは数多くあり、競技者の育成や自転車人口の拡大に一役買っています。競輪、ロードレース、MTB、BMX…。種類は色々あれど、同じ自転車。垣根を越えて自転車を楽しむ環境作りを、競輪補助事業が後押ししているのです。皆さんももっともっと、自転車を楽しんでみませんか?

インタビュー
小嶋敬二 石川・74期
ジャパンカップクリテリウムに出場した小嶋敬二選手にお話を伺いました。

クリテリウムを走る小嶋
─今回ジャパンカップ参加のお話を聞いた時はいかがでしたか?
「もう二つ返事ですよ(笑)。競輪選手って脚が太いので、運動力学的なことを言えばロードを走るなんて不向きなんですよね。今回参加させてもらったクリテリウムはロードレースほど距離は長くないとはいえ、それでもスピードがないと勝てないわけで。でも通用するとかしないじゃなくて、僕ら競輪選手が走ることによって、こういう自転車選手もいるんだよってことをロードのファンの方々にも知ってもらえる良い機会になるんじゃないかなって思ったんです。ジャパンカップは日本最大の自転車イベントと言ってもいいくらいの大会ですし、アピールの場としてすごく大きいですよね。ロードの選手は身体も脚も細いですけど、『競輪選手はこんなに脚が太いのか』とか『がっしりした身体なんだな』とか、ちょっとでも興味を持ってくれた人の何%かでも競輪場に足を運んでいただけたら嬉しいなと」
─実際にクリテリウムを走られた感想は?
「本当に楽しかったです! もうすごい観客で、ずっと応援が途切れない感じでしたし、なにしろ宇都宮の駅前をレースで走るなんてことは普通できないので、良い経験になりました。やっぱり一度走ると、また走りたいなと思いますね。ジャパンカップだけでなく、ホビーレースと言われるような一般の方が楽しむ大会にも競輪の補助が出ていたりするんですけど、これって自転車文化を根付かせる意味でもすごく重要なことだと思うんですよ。大会がなかったら実際にレースを走ることも見ることもできないわけですから。これからも補助事業でこういうレースイベントはどんどんやっていってもらいたいなと思いますね」
─最後に競輪のお話も。大きな怪我もありましたが、現在の調子や今後の抱負など聞かせてください。
「すぐに全盛期の調子に戻すのは年齢的にも難しいと思うんですけど、少し長いスパンで見て、年内に落車する前くらいまでの力に戻れば来年は戦えるかなと思っています。自分の中で焦りはあるんですけど、焦る度にまだまだ先だぞと言い聞かせて。だから目標としては競輪祭あたりで決勝に乗れたらいいなと。そうしたら来年一年間またやっていけるかなという気はしているんで。来年は44歳になるんですけど、松本整さんの(GI獲得最年長記録)43歳を超えられる歳になったんで、そろそろ狙いにいこうかなと思っています(笑)」