競輪補助事業紹介

競輪の売り上げの一部は医療、福祉、ものづくり、スポーツ振興など様々な分野の活動に役立てられています。選手の走りと、ファンの皆さんとで創り出す競輪補助事業。どんなところに、どんな形で支援が行われているのか、ご紹介していきます!
今回は、高知県高知市の障害者支援施設「高知ハビリテーリングセンター」を訪ねました。
車椅子対応の車両を導入し、利用者の送迎サービスを拡大

高知ハビリテーリングセンター

センター長の上田真弓さんから施設について
説明を受ける野本博俊選手

競輪補助事業で導入された車椅子仕様の車両

高知県内ではこの施設でしか受けられない、
身体に障害を持つ方の機能訓練

障害者の就労支援のひとつとして行われている
パン作り。他にも農芸や印刷などの作業もある

お世話になった職員の皆さんと野本選手
 高知駅から車で30分ほど、土佐湾を望むのどかな場所に「高知ハビリテーリングセンター」があります。
 もともとこちらの施設は、「県立身体障害者リハビリテーションセンター」として設立され、2010年4月から民間移管し、社会福祉法人ファミーユ高知が「高知ハビリテーリングセンター」と改称して運営をスタートさせました。
 現在は身体だけでなく、精神や知的障害を持つ方も含め、自立した生活が送れるよう社会復帰のための機能訓練や生活訓練、就労支援など幅広い障害者支援を行っています。

 「ハビリテーリング」という言葉を聞いて「リハビリとは違うの?」と思われた方も多いのでは。
 「よく間違われるんですよ」と微笑む、センター長の上田真弓さんに伺うと、ハビリテーリングという言葉自体はスウェーデン語なのだそうですが、「もともと英語でリハビリテーションというのは、取り戻すという意味の『re』と、能力を獲得するという意味の『habilitation』でできた言葉ですが、この施設の利用者は医療的なリハビリを終えた方や、生まれつき障害を持った方です。その方々にとっては、これから新しく習得することのほうがはるかに多い。ですから、あえて『ハビリ』と付けました。この施設は、利用者の皆さんが各自の目標を明確にして、新たな能力を獲得するためのトレーニングセンターなんです」。

 多機能な障害者支援を行う高知ハビリテーリングセンターでは、利用者の障害の種類も様々。なかでも、身体に障害を持つ方を対象にした身体機能向上のための機能訓練は、高知県内ではこの施設でしか受けられないそうですが、自力で通うことが困難な方もいらっしゃること、また公共交通機関が不便なこともあり、個人レベルでの送迎サービスはなくてはならないものだといいます。
 そのため施設では何台かの送迎車を所有していますが、平成24年度の競輪補助事業「福祉車両の整備補助」を受け、新たに車椅子仕様(スロープ式)の移送車1台を購入。車椅子のまま乗車することができるため、様々な障害の状況にも対応でき、また車両の台数が増えたことで、利用者の自宅への送迎だけでなく、外出訓練などの増加にも繋がっているそうです。取材に訪れたこの日も、競輪マークの送迎車は細かい時間単位のスケジュールで、忙しそうに走り回っていました。
 「施設の立地が不便なこともあり、送迎はとても重要なサービスです。民間の社会福祉法人にとって、こういう補助は本当に有り難く、大きな財産になっています」と、上田センター長。

 今回、施設についてご説明いただいた上田センター長は、明るい笑顔と快活な語り口で、とてもパワフルな印象。
 そんな上田センター長ご自身も20代で事故に遭い、身体に大きな障害を負われました。事故後、数年のリハビリを経て、病院のソーシャルワーカーとして勤務しながら福祉について学んだのだそうで、実は県から移管したこの施設の運営も、当時上田センター長が務めていた病院グループのトップに自ら掛け合い、実現に至ったという経緯だといいます。
 上田センター長は、「私自身も障害者雇用でソーシャルワーカーとして働かせてもらったわけですが、社会復帰、就労ができたことは本当に有り難いことでした。私のようなケースが珍しい世の中ではなくて、この施設を利用してくれる障害を持った方たち皆が、社会復帰や就労に繋げていってくれたら、という思いが私の中にあるんです」。

 今年4月で高知ハビリテーリングセンターが誕生して丸5年。6年目のスタートとともに、障害児の放課後等デイサービスなど新たな事業も始められたそうで、上田センター長は「今後もまだ高知県で足りていない障害者支援をやっていきたいと考えています」と、さらなるビジョンを語って下さいました。

インタビュー
野本博俊 高知・56期
今回の取材に参加して頂いた高知支部支部長を務める、野本博俊選手にお話を伺いました。

野本博俊選手(高知・56期)
─まずは施設を見学されてどんな感想を持たれましたか?
「僕ら選手も、競輪の収益から機械産業だったり福祉だったり、色々なところに補助金を出して役立てられているというのはもちろん知っているんですけど、実際にこういう施設に来てお話を伺う機会はなかなかないですし、今日はすごく勉強になりました。微々たるものかも知れませんが、こういった施設に補助が出て、喜んでいただいているということを嬉しく感じましたね」
─こちらの施設では今回の車両だけでなく、以前に競輪補助事業で導入されたリハビリ機器やパソコンも見せていただきました。
「競輪マークの入った検診車とか今回のような車両は、実際に走っているところを見たりもするんですけど、パソコンとか機器とか、そういうものにも活用されているんだなと改めて思いました。やっぱり施設の中にあるものは目に触れる機会が少ない分、知らない方も多いんじゃないですかね」
─支部のお話も聞かせてください。現在の高知支部の雰囲気などは?
「人数はちょっと減ったんですけど、若手が育ってきていますし、ガールズのほうでも102回生の山口菜津子に続いて、104回生の山原さくらが加わりました。山原はデビュー戦で優勝して、これまでガールズは東に強い選手が多い印象でしたけど、西からも強い選手が出てきてくれて嬉しいですね。後輩の山原が出てきたことで、山口もこれまでとは違った意識になると思いますから、お互い切磋琢磨して頑張ってもらいたいなと思っています」
─最後にファンの皆さんに一言お願いします。
「通常、高知の記念競輪は4月なんですけど、今年は7月に開催されます。高知のS級選手も7月からちょっと人数が増えますし、地元で頑張ってくれるだろうと思いますので、ぜひ応援していただければと思います」