競輪補助事業紹介

競輪の売り上げの一部は医療、福祉、ものづくり、スポーツ振興など様々な分野の活動に役立てられています。選手の走りと、ファンの皆さんとで創り出す競輪補助事業。どんなところに、どんな形で支援が行われているのか、ご紹介していきます!
今回は、公益社団法人日本将棋連盟が主催する「文部科学大臣杯第9回小・中学校将棋団体戦」の東日本大会に取材に伺いました。
将棋自慢の小・中学生が日本一を目指す。学校対抗の将棋大会

文部科学大臣杯第9回小・中学校将棋団体戦の
東日本大会

大会審判長を務められた日本将棋連盟の島常務理事

都道府県の予選を勝ち上がった
小・中学校各32校が出場場
対局を行う中学生達

小学生達も真剣な面持ちで将棋を指す

子供達を前に講演を行う小嶋敬二選手
 今年で9回目を数える「文部科学大臣杯小・中学校将棋団体戦」は、同じ小学校・中学校に通う生徒3名でチームを組み、学校対抗で競い合う将棋の団体戦です。各都道府県の代表に選ばれたチームが、まずは東日本大会と西日本大会に分かれて対戦。それぞれの成績上位2チームが決勝大会へと進み、小学生の部と中学生の部で日本一を決定します。

 全国から多くの小・中学生が参加する非常に規模の大きな将棋大会ですが、この大会の開催には競輪の売上金が活用されています。
 今回は7月25日に東京都・江東区の「東京スポーツ文化館」で行われた、東日本大会を訪問。現役のプロ棋士でもある、日本将棋連盟の島朗(しまあきら)常務理事にお話を伺いました。

 将棋の世界では珍しい団体戦という形を取るこの大会について、「今はどうしてもコンピュータやネット関係など、個に走る傾向が時代背景としてありますが、まったく知らない別地域の子と対面して戦う中で、子供達が団体の連帯感や友達同士のことを色々知って深め合う、非常に貴重な場になっていると思います」と話す、島常務理事。
 団体戦ならではの魅力を伺うと、「3人でチームですから、例えば強い子が1人いても、2人が負けてしまったら勝てないわけです。自分が苦しくなって早く勝負を投げてしまうと、他の子に影響してしまうので、すぐに諦めずに頑張り続ける。そんなふうに、苦しいところで耐えることを練習する一日にもなると思うんです。子供達は一日で色々なことを吸収しますから、朝から夕方まで大会をやれば、将棋が強くなること以外に人間的にも成長すると思うので、保護者の皆さんにはそういったところも見て欲しいですね」

 現在の将棋人口は800万~1000万といわれていますが、中でも女の子を含めた小学校低学年の割合がかなり増えているそうで、全国の将棋教室も子供達で賑わっているのだといいます。
 「私ども将棋連盟としても子供達への普及に力を入れておりますが、これには競輪の補助をはじめとした様々なご支援が追い風となっていますし、また保護者の方の熱意やご理解が非常に大きいと思います」。
 島常務理事は、「将棋には挨拶や礼儀、秩序など、子供の頃に身につけておくと将来大きな財産になるような、大切な要素がたくさん詰まっているんです。私自身も小学3年生から将棋を始めて、将棋から学んだことがたくさんあります。将棋は教育の宝庫ですよ」と、ゲームとして楽しむだけではない、将棋の奥深さを語って下さいました。

 また、今回の東日本大会では小嶋敬二選手の特別記念講演が企画され、子供達を前に自転車競技を始めたきっかけや、オリンピックを目指した日々、そして競輪選手としてデビューしてからの話などを披露。
 将棋と自転車、ジャンルは違えど勝負の世界に生きる小嶋選手の言葉に、「小さな勝負師達」も目を輝かせて聞き入っていました。

インタビュー
小嶋敬二 石川・74期
講演を行った小嶋敬二選手にお話を伺いました。

小嶋敬二選手
─今回は40分ほどの講演でしたが、いかがでしたが?
「最初はどれくらいの子供達が聞いてくれるのかなとか、やっぱり緊張しましたけど、本当に時間が短く感じたので、僕自身楽しかったんだなと思います。小・中学生がメインだったので、自分の小学校、中学校の頃の話をちょっと熱く話しすぎたのもあって、最後のほうは時間が足りなくなっちゃいましたけど、でも子供達も食いついて聞いてくれていたので、良かったなと。僕が小さい頃自転車に乗れなかったという話には、びっくりしてましたけどね(笑)」
─小嶋選手が自転車競技を始められたきっかけも、ちょっとしたことからだったそうですが、どこに可能性が転がっているか本当に分かりませんね。
「そう、友達の家に遊びに行く時、自転車を漕ぐのが速かったからという(笑)。まあ今回の子供達もこれから先、仕事として将棋をやっていけるかどうかとか、そういう事はまだ考えていないと思うんですよね。たまたまお兄ちゃんやお姉ちゃんが今日この大会に出るから自分も見に来たとか、そういう子もいると思うんです。でも、何がきっかけになるかって本当に分からないし、可能性はたくさんあるので、小さい頃はどんどん何でもやったほうがいいですよ」
─負けから学ぶことがたくさんある、というお話も印象的でした。
「僕はやっぱり負けているイメージのほうが強いんですよ。競輪の世界でもグランプリも獲っていないし、賞金王にもなったことがない。まだ一番上になっていないんです。でも逆に言えば負けている人生だからこそ、この年齢までこうして努力していられるのかなとは思いますけどね。村上(義弘)君や神山(雄一郎)さんとか、自分より活躍している選手がいるので、自分もまだまだだなと」
─9月にはオールスター競輪も控えていますが、今年後半戦への思いを聞かせて下さい。
「正直、こんな悪い成績の中でファン投票を入れていただいて(20位)、オールスターに出場できることになったんですけど、こういう応援があるからこそ辞めずに走れるのかなって。投票してくれたファンのためにも、もっと頑張らないといけないなと改めて感じましたね。もう年齢も年齢なので、とにかく一走ずつしっかり集中して行かないと。今は勝利数より、いかにインパクトがある強い勝ち方ができるかに重点を置いているので、その結果としていい成績に繋がるように、そういう形を目指して行きたいなと思っています」