競輪補助事業紹介

競輪の売り上げの一部は医療、福祉、ものづくり、スポーツ振興など様々な分野の活動に役立てられています。選手の走りと、ファンの皆さんとで創り出す競輪補助事業。どんなところに、どんな形で支援が行われているのか、ご紹介していきます!
今回は、国内最高峰の自転車レース「2013ジャパンカップサイクルロードレース」です。
浅井康太選手、深谷知広選手がクリテリウムに参戦!
ガールズ選手もスペシャルレースで盛り上げる!

クリテリウムで先頭に立つ深谷

ロード選手に引けを取らない走りを見せた浅井だが、
無念のリタイア

クリテリウムの前に行われたガールズケイリンの
レース。誘導員は栃木支部の福田支部長

ファンとともにロードレースのコースを走るフリーランには
勝負服姿の栃木支部の選手たちとガールズが参加。

ロードレース会場のJKAブースでトークショーを行う深谷

森林公園でのロードレースは雨と寒さで過酷なものに
 1990年に栃木県宇都宮市で開催されたUCI世界選手権のメモリアルレースとして誕生したジャパンカップサイクルロードレース。アジアでは数えるほどしかない超級カテゴリーという格式はもとより、世界のトップチーム、選手たちがこれだけ多く顔を揃える大会は国内では他に類を見ず、まさに日本最高峰の国際レースとして自転車ファンに絶大な人気を誇ります。

 22回目を迎えた今年は、10月18日(金)~20日(日)の3日間に渡って開催。今大会はツール・ド・フランスなどに出場するUCIプロチームから過去最多の7チームが参戦し、大いに盛り上がりました。

 競輪界はジャパンカップの発足当初から関わり、様々なサポートを行ってきました。特に地元の栃木支部は、レース中の車両の運転をはじめ、運営面で多くの協力をしています。また、かつては森林公園でのロードレースに競輪選手たちがチームを組んで出場したこともありました。
 現在、ロードレースに競輪選手の出場はありませんが、2010年より新設されたクリテリウムレースに参加、ロードのトッププロたちと共に走りを披露しています。
 これまで2010年は村上義弘選手、渡邉一成選手、脇本雄太選手、2011年は村上義弘選手、新田祐大選手、深谷知広選手、2012年は小嶋敬二選手、成田和也選手、新田祐大選手が出場。ロードレースの一大イベントに、競輪界もそうそうたる顔ぶれを揃えて大会を盛り上げてきました。

 そして今年このクリテリウムにチャレンジするのは初参加となる浅井康太選手と、2011年に続いて2回目となる深谷知広選手。
 1周1.55kmのショートコースを20周する約31kmのレースに、昨年のクリテリウム優勝者のヤロスワフ・マリチ選手、現役時代は数々の戦歴を誇った名スプリンターのロビー・マキュアン選手、世界の舞台で活躍する別府史之選手と共にスペシャルチームを組み、臨みました。

 このクリテリウムは本戦のロードレースの前日に行われるレースですが、宇都宮駅前の大通りを封鎖する大規模なもので、沿道は詰めかけた観客で埋め尽くされるほどの賑わい。
 そんな大観衆の中、まず魅せてくれたのは深谷選手。レース前、「長い周回を走るのは厳しいので、とにかく1度は先頭に立って存在をアピールしたい」と宣言していた通り、スタートダッシュを決め、直線をトップで通過! 会場を沸かせます。
 「競輪選手初の完走を目指したい」と話していた浅井選手は、ロードのトップ選手たちに混じり、集団中程でレースを展開。中盤過ぎまでポジションをキープする見事な走りで、完走も見えてきたかと思いましたが、サドルにトラブルが起き、残念ながら終盤でリタイア。浅井選手、深谷選手ともに完走はなりませんでした。

 短距離が専門の競輪選手にとって、高速で長い距離を走ることは決して得意分野ではなく、不向きなレースではありますが、2人の「少しでも競輪をアピールできれば」という思いと、「レースを楽しむ」という姿勢は、この日観戦した多くの観客の皆さんにも伝わったのではないでしょうか。

 また、今年はクリテリウムに先立って、ガールズケイリンの選手たちによるスペシャルレースも行われました。参加したのは小林莉子選手、森美紀選手、白井美早子選手、田畑茉利名選手、競輪学校106回生の小川美咲生徒、青木美優生徒の6名。先頭誘導をつけて1列で周回し、ラスト500mほどの直線で勝負を決するスプリントレースは、競輪をイメージしやすく、短距離選手の持ち味を披露できるスタイルで、観客からも大きな声援が飛んでいました。

 このクリテリウムの観客動員数は主催者発表で3万8000人! 翌日のロードレースは冷たい雨が降り続く生憎の天候でしたが、それでも6万2000人の観客を記録し、2日間で10万人という大勢の人がジャパンカップを観戦したことになります。
 20年掛け、これだけの自転車ファンが集まるビッグイベントに成長したジャパンカップ。競輪界も自転車界全体の発展を目指し、サポートを続けています。

ジャパンカップに参加した浅井康太選手、深谷知広選手、白井美早子選手にお話を伺いました。
浅井康太 三重・90期

─クリテリウムは初めての出場になりますが。
「競輪選手はまだ誰も完走していないということで、まずはゴールすることが目標ですね。ロードのトップ選手と良い勝負ができればいいなと。僕らは競輪でS級S班にいますけど、やっぱりどの世界でもトップ選手というのはすごいと思うし、また違ったジャンルのトップ選手と走って刺激を受けることは自分のこれからのモチベーションにもなってくると思うし、良いトレーニングにもなりますから。今回のために車輪も買ったので(笑)、しっかりアピールできるように頑張りたいですね」
─このジャパンカップをはじめ、補助事業として競輪がサポートしている自転車イベントはたくさんありますが、そのあたりは?
「競輪がロードとか他の自転車関係に関わるのはすごく良いことだと思います。ロードが盛り上がっていて、そのお客さんたちに競輪にも興味を持ってもらえたら、競輪界ももっと盛り上がってくると思うので。同じ自転車業界ですし、お互いを盛り上げられればいいのかなと。僕が思うのは、まず子供たちに自転車の楽しさを教えてあげることが大切で、それが将来的な裾野の広がりに繋がると思うんです。それと、イベントなんかに出させてもらった時によく言うことなんですけど、まずは競輪場に足を運んでみて下さいって。とにかく興味を持ってもらうことが最優先なので。そういう意味で競輪が色々な自転車イベントやレースに関わることは大事だと思いますね」

★浅井選手のレース後コメント
「残念ながら完走はできませんでしたが、大観衆の中で気持ちよく走ることができました。サドルが急に壊れてペースを乱してしまいましたが、チャンスがあればリベンジしたいですね。初めてのクリテリウムでしたが、ロード選手のトップ選手達と走って勉強になることが多かったです。この経験を競輪に繋げられたらと思います。
また、今回多くの観衆の前で走らせてもらいましたが、やっぱり気持ちいいですよね。競輪ももっと工夫して集客することの大切さを再認識しました」
深谷知広 愛知・96期

─今回は2回目のクリテリウム出場ですが、どんな作戦を?
「今回は5周ついていくか、もしくは1回先頭に出て見せ場は作ろうかなと思っています。やっぱり先頭に出ればみんな見ますからね(笑)。どこかで存在感だけは出したいなと」
─ロードのトップ選手と一緒に走るというのはどんな気持ちですか。
「高校時代からロードも好きでよく観ていたし、今回(チームメイト)のロビー・マキュアン選手とかもテレビで観て憧れていた選手なので。ロードの好きな先輩からは羨ましがられてます(笑)。やっぱりそういう選手と走れるのはすごく貴重な機会なので、楽しんで走りたいですね。観客も多くて、走っていて気持ちいいです。今回のレースを楽しんだらちょっとリセットして、競輪もまた頑張りたいなと思っています」

★深谷選手のレース後コメント
「すごく楽しかったです。やっぱり観客がたくさんいるので、歓声がすごかったですね。スタートでとりあえず前に出られたから、これで仕事は完了だなと思いました(笑)。来年も出場させてもらえたら、今度は5周目のスプリント賞を狙って頑張りたいですね。競輪ファンの方にもぜひジャパンカップに足を運んで観戦してもらえれば嬉しいですし、ロードファンの方も競輪を見に来てもらえれば嬉しいです」
白井美早子 大阪・102期

─今回初めてジャパンカップに参加し、大観衆の前でレースも披露しましたが、どんな感想を持ちましたか。
「クリテリウムのコースを走ってパレードした時に、声援も本当にすごくて、自転車競技のファンの方がこんなにたくさんいるんだなっていうのを実感しました。自転車競技を世の中のたくさんの人に知ってもらうためにも、こういう大会に競輪補助事業が活用されることはとても良いことだと思います。ただ、自転車競技と競輪はまだうまく繋がっていないように感じていて、自転車ファンの中にも、ガールズケイリンのことをあまり知らない方も多くいると思うので、これからもどんどんピーアールしていかなくちゃいけないなと思いました。
 自転車競技にはロードだけでなく、トラック競技もあって、日本には世界で活躍するトラック選手もいるので、ロードのファンの方にはまずトラック競技からでも興味を持ってもらって、そこから全国の競輪場に来てもらえたら嬉しいですね」